いつか世界を壊せるように マリオネットの少女の願い
いつか世界を壊せるように。
その少女は願う。
今はできなくても、いつか壊せるようにと。
ただただ祈り続ける。
少女は力がなく、何もできなかったから。
その少女はマリオネット。
都合の良い家の道具。
自分の意思など何もならないから、誰かに操られるだけの人生を送っていた。
「それなら私じゃなくて、ただの人形でも良いでしょう?」
少女は次第に生きる意味を見出せなくなった。
しかしそんな少女に手を差し伸べる、存在がいた。
太陽のように眩しい笑顔の少年。
彼がいつか、少女を解放すると約束したのだ。
しかし少年は、少女を取り囲む大人たちの手によって殺された。
だから少女は、自分を取り巻く環境に絶望し、憎んだ。
いつか世界が壊れるように。
自分にその力はないけれど。
何でもいいから世界が壊れるようにと。
「おとぎ話にある邪神でもいい。隕石が降ってくるのでも構わない。なんでもいいから、この下らない世界を滅ぼしてほしい」
いつか世界が壊れるように。
少女は最後まで、それだけを願いながら、自分の人生に幕を下ろした。