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文学

墓地

作者: 緋西 皐

 幽霊は自分の墓地を持っていない。

 だから各地の墓地を転々とするが、それでも一人ぼっち、寂しいだけだった。


「私は存在しているの?」訪れる子供に聞く。

 子供はそんなの無視して誰かのお墓に上って遊び始めました。


 大人は「やめなさい!」と怒って子供は泣いて出ていきました。


 ああ、羨ましいことですね。うらめしや。


 あるところには殺人鬼の墓があります。

 酷いことでしょうか、一週間に一人は誰かが来て、酷い言葉を吐いていきます。

 ボロボロな墓でも、そこが誰の墓だと覚えられている。


 ああ、羨ましいことですね。うらめしや。


 土地を通ればそこに感情が芽吹き、渡る桜に涙を浮かべるように、哀しくとも、あるいは怒り狂おうと、そこに何かがあったとわかるものです。


 でも私の墓はどうでしょうか。誰かがそこで泣いてくださるでしょうか、怒ってくださるでしょうか。

 きっとどこにもない墓なのでしょう、何もなく通り過ぎるだけです。まるで時が止まっているように。


 しかしながらどうでしょうか。誰しもが悲しくて、叫んだり、あるいはなんとか生きようと、それか血脈に残そうと、でもどれもエネルギー保存的には在るのですが、きっと終わりもあることでしょう。


 とても大きなお墓を建てました。それは三角錐の山のよう、他は鍵穴のようでしょう。

 でも人類が滅んだ後は消え去り、地球が無くなる頃にはガスでしょう。


 どれほど存在を求めようと消えていくのです。何の意味があるでしょうか。


 ええ、意味などないでしょう。でももしも、私が幽霊だって、誰か私がいると認めてくれれば、私が成仏できない限り、宇宙の終わりまであなたのことを覚えていてあげましょう。


 ああ、うらめしや、そう呪ってる。あなたが気づかなくとも。

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