保護者の喧嘩~5通目の手紙
~~~~~手紙は全部で40~~~~~それぞれに考察が付いていて39通~~~~~最後は小説~~~~~
神様へ
みんなが唯花と悠希を殺してくるんだ。
今日は、お菓子工場の感謝祭があった。工場には、いろんな出店が並んでいた。
僕が着いた時には、家が遠い学校の友たちも、その親たちももう来ていた。
「芽依たちのママきれい!」
コツコツ音をさせながら、芽依たちのお母さんたちが来ていた。
「え、そう? 普通だよ?」
愛と芽依がそう話して盛り上がっていた。女の子は、そういうものに興味があるのだろうか。
広場にはたくさんの人たちが集まっていた。
お兄ちゃんもかっこいいスーツを着ていた。お兄ちゃんの親は市長さんで、今日のお兄ちゃんは忙しそうだった。
愛の両親も、さっきお兄ちゃんたちと話していた人と話していた。
「あのうわさって本当かな?」
「うわさ?」
「悠希のお母さんが、外部組の親がやってるんじゃないかって」
「あ~。元々はばつあったしね。でも、そこまでするかな?」
「はばつって結局、唯花と悠希でしょ」
「ずっと物隠し合ったり、悪口言い合ったりしてるらしいね」
「そんな事ないよ! 唯花と悠希仲良いよ?」
「あら、そう? でも、そんな事ないんじゃない?」
「お母さん同士もあんまり仲良くないし、ねえ」
確かに、唯花と悠希はずっとケンカしている時があったけど、四年生になってからは、仲良くしていた。なのに、なんで今もケンカしていると、決めつけるんだろう。まるで、唯花と悠希を殺してるみたいだ。
僕は、出しゃばり過ぎてしまったと思って、少し離れた。その後も、うわさ話は続いていた。
「え~、さすがにそこまではないんじゃない?」
「でも、愛のお父さん警察官だからあっても……ね」
「あなたがやったんじゃないの?」
悠希のお母さんがどなり声をあげた。
「言ってたのよ! 悠希が、成績の改ざんの事件の前に、学校の職員室に愛のお母さんが一人でいたって。だから悠希を連れて行ったんでしょ!」
悠希のお母さんが愛のお母さんをつかみかかろうとした。
つかむ前に、愛のお父さんが止めた。
僕たちは、お姉さんに連れられて、工場内の出店に行った。
「愛のお母さんが犯人って事?」
みんなが、愛を見た。
「こんな事言うのはやめよう。まだ愛の母親が犯人だと決まった訳じゃない」
湊斗がそう言ってくれた。
「いや、あの感じだったら、その可能性が高いでしょ!」
「確かに、悠希のお母さんが言ってるしね」
「でも、愛のお母さんが犯人なのかは、確かめた方がいいと思う」
「それは本当だと思う。だって、俺たちもあの時悠希と一緒にいたから」
「え。彰もお母さんを見たの?」
「うん。悠希が職員室から戻ってきた時、愛のお母さんがいたって……」
「ほら、やっぱり! 犯人は愛のお母さんだよ!」
「それも、確かかわからない」
「俺はウソなんかついてないよ」
「でも、その時はテスト終わりで職員室には入っちゃいけない決まりだろ?」
「いや、先生がいないはずなのに、コツコツ音がしたから窓からのぞいたんだ」
「芽依、さすがに成績を改ざんしたのは愛のお母さんでも、悠希を誘拐したりまではしないんじゃない?」
「じゃあ、いなくなった唯花と悠希はどう説明するの!」
「いや、それはわからないけど……」
彰も見たと言っているし、やっぱり犯人は、愛のお母さんなのかな?