教会上層部
【教会上層部】
「エミリなる女が開拓した村の話、聞いたか」
「ああ。とうとう大賢者派なる教会を立ち上げおったぞ」
「中身が大問題だ」
「免罪符も聖札も寄進も不要。祈りだけで神のもとに召されるという」
「そんなものを認めるわけにはいかない。教会の根幹に関わるからな」
「しかも、飲酒も妻帯も許している。なんと薄汚れた教えなんだ」
「異教と認定せねばなるまい」
「ああ。そのうえで、信者は見つけ次第火炙りだな」
「だが、奴の開拓村、防御が厳重だぞ」
「うむ。村人関係者以外は容易に中に入れない」
「旅人のふりしても駄目みたいだ。中に入るには特別な腕輪が必要で、これは簡単に取得できない」
「村人から奪っても、個人認証されているみたいで使えない」
「奪ったものは、森の奥に捨てられるようだ。処刑と同じだな」
「困ったことに、この開拓村、経済力が半端ない。信者にはパンとワインを与えているという」
「だから、周辺の限界集落のような村がどんどんと開拓村を目指している」
「それだけじゃないぞ。周辺の村々には密かに改宗している教会があるようだ」
「異教認定したら、そういうのはどうするつもりだろう」
「逃げるだけだろ」
「商人も開拓村に入りたがっている。この村でしか産出しないものがあるからな」
「ああ。薬、小麦、酒など高級品ばかりだ」
「少し前まではアジャン街で売られていたんだがな。あそこの孤児院教会がそのまま開拓村に移転してからは、入手できなくなった」
「特に薬に関しては大騒動だな」
「高級薬だとほとんどエリクサーみたいな効き目だったもんな。神の奇跡を起こせたのに、今後はそれができない」
「どうする?」
「どうするも何も、見逃すわけにはいかんだろ」
「簡単にはいかんぞ。エミリなる娘は例の4属性持ちで地震や雷を起こすとさえ言われている」
「回復魔法も唱えることができて、聖女呼ばわりもされてるな」
「それこそ、聖教会に所属すべきなのに」
「彼女は神聖回復魔法だ。失われた古代の魔法を唱えることができる。ほとんど奇跡のような術理だからな。聖教会とは筋が違う」
「大賢者とやらがバックにいるという話だが、そんな人物に心当たりがあるか?」
「森の奥で千年にわたる修行を積んだ高所様だという」
「どうにも信じられんのだが」
「だが、大賢者様を軽んじると祟りが起こると言っておる」
「実際、不可解な目にあった神官が何人かおる」
「これは禁術を掘り起こす必要があるかもな」




