開拓村経済圏の広がり
【開拓村経済圏の広がり】
開拓村が教会やギルドに睨まれているのは、
「大賢者派」の教義だけが理由ではない。
開拓村に行けば、飢えることがない、というのが広まりつつある。
開拓村では税金はあまり取らない。
収穫量の2割程度だ。
対して、よそは通常は5割以上を持っていかれる。
それに、食料が不足してもなんらかの援助を与えている。
なんらかの労働をしてもらって、その対価として
食料を配っているのだ。
この国では冬季とか穀物の収穫期前などは
食料が底をつく家庭が多い。
餓死する人も珍しくない。
でも、開拓村ではそこまで悲惨な事例はない。
だから、どんどんと開拓村に集まってくる。
移住までいかなくても、出稼ぎのような形で
開拓村で働いて糊口をしのいでいる。
逆に開拓村の周囲の村は人口流出がはっきりしてきた。
目に見えて人口が減っているのだ。
「開拓村に流出した村人を返せ!」
こう文句をつけに来る人もいる。
それも一人じゃない。
返せと言われても。
餓死するしかないような人が開拓村に集まってきているのだ。
開拓村にいられないのなら、どこか他所にいくか、
あるいは、首をくくるか、などと切羽詰まって人ばかりだ。
村に帰るわけがない。
それに、腹を膨らますだけが目標じゃない。
開拓村の農産物は王国でもトップクラスの品質だ。
しかも初めて見るような料理やお菓子も多い。
いや、砂糖や油を多用するようなお菓子は
平民レベルでは手が届かないのだ。
貴族や富裕層しか食べられないのである。
高価だから。
クッキーとかフライドポテトとか、
超高級料理になるのだ。
毎日のパンでさえ、品質が全然違う。
一応全粒パンなんだけど、
王国基準で言えば、フワフワで新鮮、味が濃い。
これも、上位貴族や富裕層しか食べられないレベルなのだ。
【開拓村の防衛】
開拓村は周囲の村や教会から睨まれている。
でも、開拓村は治外法権。
王国の管轄外に村があるからだ。
でも、覚悟している。
奴らは必ず攻めてくる。
だから、大賢者派を名乗る前に、
防衛力を強化することにした。
現状では、村全体を結界の魔導具で覆っている。
この結界を強力なものにバージョンアップしている。
スパイチェックなる魔導具も開発した。
邪な気配を漂わせる人をあぶり出すのだ。
そして、武器。
攻勢魔法を放つことのできる魔導具を研究中だ。
形としては前世のアサルトライフル。
まあ、適当な形なんだけど。
だって、ゲームでしかみたことがないし、
そんなに興味のあるものでもない。
魔法としては火魔法ファイアボールとか
風魔法風刃とか。
これらを連続発射できるようにする。
エネルギーは魔石。
自動的に魔素を補充するようにしているから、
魔石を取り替える必要はない。
「こりゃ、すげーな」
「形もいけてるな」
「魔法をつかえねー人は勿論、無限に魔法を使えることになるから普通の魔道士以上の性能だな」
「もっと性能の高い武器も作るわよ」
「おお」
「でもさ、そこらへんの敵ならエミリが一発で吹き飛ばすと思うんだけど」
「だよな。王国軍とか教会軍とか攻めてきてもあっという間に逃げてくんじゃねーか」
「いや、跡形もなくなるだろ」
「エミリは無慈悲だからな」
「私がまるで神の敵みたいなことをいうな」
「あ、エミリが怒ったぞ。だれか、甘い物もってこい!」
私が甘いものを食べると機嫌が良くなることが
バレている。
私は子供か。
まあ、ただのじゃれ合いなんだけど。




