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教会から独立する

【教会から独立する】


「ねえ、シスター。聞いたんだけど、教会上層部からの圧力が強いんだって?」


 私があらたに森に開拓地を作ったことで、

 その開拓地に教会を建てるよう、

 孤児院教会に強い要望がでているという。


「ああ、気にすることないわよ」


「そういうわけにはいかないわ」


 要するに陣取り合戦をおこなっているわけだ。

 教会としては。

 教会という正義を広めるために。

 実際は新たな寄進獲得を求めているのだ。


「それと、教会は必要なのよね」


 この時代の人々は信心深い。

 精神的な安心を求めている。

 

「開拓村に孤児院教会の出張所をこっそり作ってるんだけど」


「バレたら、正規の教会にしろって言うに決まってる」


 シスターは私の教会嫌いを知っている。

 同時に教会上層部の醜さも。


 神を崇めよ。

 などと教会は言う。


 その印として、免罪符を買わせる。

 これで現世の罪を許してもらい、

 死後、神のもとに召されるというものだ。


 私もシスターも嘘だって知ってる。

 お金に左右されるような神はいない。

 神に不信感のある私でさえ、

 それは神への冒涜だと思う。


 免罪符だけじゃない。

 壺を買え。

 とか

 神らしき人物の書かれた御札を買え。

 とか。


 人々は大金を教会に献上する。

 普段はお金は汚れている、とかいいながら、

 教会に献上するのは金を浄化するためだという。



「シスター、私、聖教会から独立した教会を設立しようかと思うんだけど、どうかな」


「開拓村に?うーん。法的には問題ないんだけど。でも、争いになりかねないわね」


「やっぱり?」


「内容は?」


「崇める神は従来の聖教会と同じ。教祖様は大賢者様」


「それはいいわね」


「大賢者派では寄進を不要とし、神への信仰はただ祈ることによってのみ達成されるとする」


「うわ。それは問題になるわ」


「そうですよねー」


「免罪符とか御聖像とかも不要なんでしょ。寄進とか体の良い金集めは教会の重要な財源だからね。それを揺るがすようなものは真剣に対抗してくるんじゃないかしら」


「あとね、聖教会ではミサでパンを与えているでしょ。神の体だとか言って。大賢者派でパンとワインを与えたらどうかと」


「赤ワイン?神の血とか」


 まあ、人気取りと捉えてもらってもいい。

 王国では庶民はぶどう酒なんて飲めない。

 高すぎるし、

 階級的にぶどう酒は庶民の飲み物ではないとされた。


「正解。さすが、シスターは頭の周りが速い」


「そんなあてつけ、ますます怒るわよ」


「でもさ、このままだとどうやったって教会が攻めてくると思うの。この際、開き直ったらって」


「勝算は?」


「単純な闘争なら負けることはないと思う。ていうかさ、圧迫が強すぎるのなら、遠くに逃げればいいし。手のつけられていない場所は広大だもん」


「それもそうよね。エミリの開拓力を見ればいけるかも」



 開拓村では、大々的に「大賢者派」を発表した。

 開拓村の人々からは熱狂的に指示された。

 もう1日中熱心に祈りを捧げている。


 食前食後とか目が覚めたらとか寝る前とか。

 仕事の合間にも。


 そりゃ、そうだ。

 寄進しなくてすむのだ。


 セコい考えじゃない。

 みんな、お金がないのだ。

 みんな信心深い。

 だけど貧乏だから神にご奉仕できない、

 なんて心配してる人ばかりなんだ。


 それが祈りだけでいいという。

 信仰は祈りでのみ達成されるという。

 みんな、嬉しいに決まっている。


 しかも、『神の血』まで飲ませてもらえる。

 嬉しいに決まっている。



 他にも、大賢者派ならではの規制解除を決めた。

 教会の神官は神に仕える身として、

 禁欲を貫き、妻帯してはならないし

 財産も持ってはならないと教えている。


 そんなものはムリだし、

 特に教会上層部は守っていない。

 肉を喰らい、酒をのみ、女を囲う。


 末端ではなくて教会上層部は

 寄進を強要し、権力闘争にあけくれる世俗人。

 権力者が形を変えているに過ぎない。


 だから、大賢者派ではそんな決まりは撤廃した。

 そのかわり、常識的な節制をするようにした。



 神官は誰がするのか。


「私達にまかせて」


 孤児院教会がごっそりと引っ越ししてくることになった。


 孤児院教会のような末端教会は

 誠実に神に仕えている。

 そして、教会上層部の歪みに気づいている。


 私が大賢者派構想をもらしたところ、

 孤児院教会のみんなは私以上にノリノリだった。




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