花を飾りたい・魔導三輪車
【花を飾りたい】
「私ね、街づくりには夢がある」
「エミリ、夢ってどんな?」
「花で飾りたい」
「魔法高等学院みたいに花壇をたくさん作るってこと?」
「もちろん花壇も欲しいけど、窓を花で飾れないかって」
「へー、映える話ねー」
「実際に飾り付けてみるね」
私は前世のヨーロッパでよくみかけるように、
窓辺に花鉢を置いて花を植えてみた。
イメージはエギスハイム。
「フランスの最も美しい村」協会に認定されている。
※美しい村の一つという意味。
単純に窓の外に植木鉢を置くための台座、
つまりフラワーボックスに花鉢を置いてみたり、
ハンギングバスケット、
つまり窓枠に花鉢を吊り下げ、
そこにモコモコと咲き誇る花を植えてみたり。
「実際に見てみると、思った以上に華やかね」
「キレイなだけじゃなくて、室内を外部からの視線から防ぐこともできるのね」
「うん。ただ、花はなんでもいいわけじゃないから、花の選定を考えてほしくて」
「そうよね。なるべく長く咲いてほしいし、手入れも楽なほうがいいし」
「それと、虫も大変なのよ」
「あー、蔦に絡まる家とかおしゃれなんだけど、夏とか虫すごいらしいよね」
「パラルゴスっていう花があるんだけど」
「ああ、虫よけに室内に植える人もいるよね」
「高温多湿が苦手なんだけど、逆にいうと手入れはあまりいらない、1年中花を咲かせているっていう」
「なるほど。パラルゴスが第1候補なのね」
ということで、パラルゴスを中心に
あといくつかの花を選択して
みんなに参加を呼びかけた。
「あと、ぶどう棚があるでしょ?」
「天井を格子状に組んでぶどうの蔓を這わせるやつね」
「そうそう。あれを狭い路地なんかに設置して、花のトンネルにするとか」
「観光名所になりそうね」
「でも、これも手入れが大変そうよ。虫だって湧いてくるし」
「あのさ、街を区画割りして区画ごとに競わせるってのはどう?」
「なるほど。優秀な区画には懸賞を進呈すると」
「日当たりの悪い場所とかは割増点数が必要ね」
この案は、アジャン街では採用されなかったが、
開拓村では大々的に取り入れられた。
後年、光り輝く花の村という呼称で呼ばれるようになる。
もっとも、その美しさを味わうのは村人だけだ。
外部の人は簡単には入村できないからだ。
◇
「こんなに村がキレイになるのなら、やっぱり馬車をどうにかしたいよね」
「ええ、あれだけボタボタ見境なく馬糞を落とされると辛いものがあるわ」
「一応、バケツをぶら下げてるんだけど。馬車を乗り入れ禁止にするとか」
「やっぱりそうなるよね」
「うーん、馬車にかわる乗り物かー」
もちろん、私には思い浮かぶものがある。
自転車とかバイク、自動車だ。
でも、簡単に作れるものじゃない。
とりあえずは自転車とかを作って
電動自転車みたいに魔導具でアシストしようか。
鍛冶職人を中心に開発に着手することにした。
原案はあるんだから。
あとは、それを形にするだけ。
当初は自転車にしたのだが、
運転には練習が必要だ。
だから、三輪車にすることにした。
後ろを二輪にするのだ。
ペダル、チェーン、ギアの仕組みは前世と同じ。
ハンドルやブレーキもそう。
ライトは魔導具で。
魔導具アシストは、プロペラを風魔法で回して
ペダルの動きを補助する方向で考えた。
オートバイや自動車にすることもできる。
つまり、人力なしで動かすこともできるが、
構造にはさらなる研究が必要だった。
これは今後の課題とすることにした。
魔導アシスト三輪車はすぐに前世の
トゥクトゥクのようになった。
屋根をつけて簡易なタクシーあるいは荷台とするのだ。
これらの交通機関を村の要所に設置し、
専用ドライバーにて運用してもらう。
当初はメイン道路の一部でのみ運用されたが、
そのうち各所に広がった。
また、幹線道路ではぐるぐると定期便を運行させた。
つまり、バスである。
より定額で利用できるようにして喜ばれている。
◇
開拓村では、上記のような美しい村づくりの他に、
便利性も追求してみた。
シャワー温水魔導具(無料貸与)
日本からの転生者としては、これははずせない。
できれば、お風呂にしたいのだけど、
手軽さからシャワーにすることにした。
温水であることはすべての人に喜ばれている。
王国ではお風呂はごくお金持ち以外には利用されない。
井戸の水とか川とかで体を洗うわけだけど、
当然、冬は極寒だ。
だから、冬だと体を洗わない人が続出する。
温水魔導具のお陰と、開拓村の美化作戦と相まって、
毎日、人によっては毎日数回、シャワーをあびる
習慣が身についてきた。
そうなると、石鹸とか香水とかも欲しくなる。
これは今後の課題だ。
エアコン魔導具(無料貸与)
これもはずせない。
日本の夏ほどの蒸し暑さはないけれど、
それでも、やっぱり夏は暑い。
むしろ、この地方は冬が寒い。
池とかバリンバリンに凍るぐらいだ。
他にもチャッカマン魔導具とか上水道魔導具とか。
魔石生成装置を取り付けてあり、
半永久に使える。
なお、これら魔導具は開拓村の結界内でのみ、
使えるようにしてある。
こんなものを村外へ持ち出されたら、大騒ぎだからね。
ああ、それから村の住宅は無料だ。
あらかじめ、私を始め土魔法の得意なものにより、
住宅が供給される。
教育も無料。
病院は1割負担。
無料でもいいんだけど、無料にすると
病院がたまり場になるのを避けた。
税金はないけど、
そのかわり、土地や魔導具に私有は認めない。
魔導具は貸与になるし、農民もサラリーマンとなる。




