イケメン農法
【イケメン農法】
「僕がお伝えする農法は休耕地の使い方ですね」
王国の主要な農業スタイル。
農地を
秋蒔き(小麦・ライ麦など)
春蒔き(大麦・燕麦・豆など)
休耕地(放牧地)
に区分し、順番に耕作する農法。
前世では三圃農法と言われていた。
この世界では随分古くからこの農法で耕作されている。
「耕作地を秋蒔き、春蒔き、休耕地に分ける理由はわかりますよね?」
「ええ、連作障害を防ぐためでしょ」
作物の多くは連続して栽培すると特定の栄養分だけを
消費してしまう。
その結果、発育不良をおこしたり、
病原体が発生したりする。
これを連作障害という。
連作障害を防ぐために、
同じ作物を連続して栽培することを避け、
休耕地に家畜を放牧し、
その排泄物を肥料として土地を有効に活用する。
「そうです。ただ、休耕地を寝かせておくのはもったいない。そこで、僕たちは休耕地に栽培する植物を考えました」
バーナの教えてくれた方法は、
休耕地の活用方法だった。
休耕地に新たな作物を栽培するというものである。
紹介してくれた植物は、
燕麦(オート麦、カラスムギの進化種)
クローバー
じゃがいも、里芋、かぶなど。
そして、かぶ→大麦→クローバー→小麦
といったように休耕地にこれらの作物を植えることで
土地を養い、かつ家畜の飼料も節約させるのだ。
魔石肥料や魔石飼料もあるのだけど、
さすがにこれ一択で広大な土地を賄うことは難しい。
この方法は肥料・飼料を休耕地で生産する方法でもある。
「あなたの教えてくれる内容って素晴らしいわ」
バーナの伝えてくれる内容は
王国にとってはかなり先進的であった。
「いや、こちらこそ。こんなに大量の魔石をもらえるなんて恐縮してしまいます」
「魔石は永続的に払うから」
「それは実に嬉しいお申し出ですが」
「あなた、本当に欲がないのね」
「僕は商人じゃないですから。それに魔石の価値を僕は誰よりもよく知っているつもりですよ」
紹介してくれた植物の中で、
最も価値のありそうなのがじゃがいもだ。
冷涼な気候で育つし、比較的やせた土地でも育つ。
保存性もあるので、飢饉の時の代用食糧になる。
連作障害があるのが難点か。
クローバーは根っこ窒素を呼び込むことができ、
窒素肥料のかわりになる。
燕麦は主に飼料となるが、
人の食用にもなる。
砂糖を加えて焼いたものがグラノーラ。
「ただ、この農法はいろいろ気をつける点があります」
「短所?」
「短所というか、注意点ですね。まずは、休閑作物の栽培には多額の資金と多くの農民が必要です」
「種とかを買わなくちゃいけないということね」
「そうです。土壌も肥沃であるか、もしくは大量の肥料をまく必要があります」
「なるほど。確かにお金がかかりそうだわ」
幸いなことに森の土壌は非常に肥沃、
しかも肥料は魔石肥料を大量に使用できる。
資金面も問題ない。
魔石は無限に生産できる。
「それに、いろいろと面倒を見る必要がありますから、ほっときゃいいってわけにはいきません」
労働力は不足していた。
だから、新たな労働力をどう集めるか、
が課題となった。
「休閑植物の多くが飼料用植物なのだけど、家畜を増やすとやっぱり飼料は不足していくことになります」
魔石飼料も家畜が増えれば供給が行き届かなくなる。
だから、他に牧草地が必要になる。
これが通常の農家であれば、農地の確保が大変になる。
でも、私は新たな農地開拓にさほどの努力がいらない。
拳で切り開いていけるからだ。
そこで生活している様々な生き物には申し訳ないけど。




