困った人たち2
【困った人たち2】
【その3 教会の勧誘】
これが面倒。
教会にはシスターを通して話を通してあるつもり。
大抵は、問題がない。
ところが、中には不満を持つものもいるわけで。
「アジャン街の聖教会孤児院出身の娘。例の4属性持ちの」
「最近は薬師として名が売れてきているらしいが」
「本来ならば教会所属の薬師にならねばならぬものを教会を隠れ蓑にして活動しておる」
「けしからん」
「教会の中央にはかなりの寄進が渡っているとも聞く」
「我々にはない。けしからん」
「どうだ、上手いことダマクラカシて、我々のしもべにするっていうのは」
「うむ。それは神もお喜びになられるであろう」
「そうだ。かのような教会を利用するだけしておいて自分の利益を得ようなどというのは、神のご意思に反する汚れた行為だからな」
「だが、いいのか。あの娘に関しては、色々な噂が飛び交っているが」
「学院の壁を破壊しただの、地震を起こしただの、そんなありえない噂に振り回されてはいかん」
「だな。噂には尾ひれがつく。どこぞの誰かが面白おかしく話しているのであろう」
「大賢者様がバックにいるという話だが」
「それこそ胡散臭い話だろう。誰もその存在を確認しておらんではないか。噂レベルでも聞いたことがないぞ」
「うむ。少しばかり痛い目にあってもらおうか。その後は我々があの娘を預かろう」
大抵は、私の過去の暴れん坊ぶりを信じていない。
まあ、そうだろう。
確かに人間ばなれしている。
私は遠慮なくやらしてもらっている。。
本当に遠慮なくやらしてもらっている。
私がその気になれば、
教会の最深部であろうと誰にも気づかれずに
潜り込むことができる。
「誰だっ、どこから入ってきた!」
「闇の仕置人よ」
「誰か!賊……うぐぐぐ」
どこかで見たような光景が。
私に狼藉を働こうと企む輩には
どこにいようとも、私の逆襲を御見舞する。
お陰で精神にトラウマを抱え、
引きこもりの神官が大量に出た。
そもそも最初に話を通したときに、
大賢者様のお情けで薬を販売している。
そういう形をとっている。
そこに横槍を入れるような輩には
大賢者様の怒りの雷が落ちることを
宣言している。
私が教会に注意を払うのは、
教会に囲い込まれたら、
一生抜け出せなくなるからだ。
偏見かもしれないが、教会は個人の権利とか
考慮しない。
神に仕えよ。
その一言でどんなムリも押し付けてくる。
そもそも、教会は神の遣いではないと思う。
実際に神様にあっている私だからわかる。
教会はただの権力者だ。
領主とか王室とかと変わりはしない。
特に教会を束ねるような大きな教会になると、
末端の教会とは随分雰囲気が違う。
そういう教会は政治力や経済力が強い。
神官も権力志向の強いタイプが任官する。
末端の誠実な神官だととても務まらない。
誠実なタイプは食い物にされるのだ。
弱肉強食の世界だ。
タフじゃないとやっていけない。
末端の教会は違う。
誠実な人が多い。
そもそも、誠実なタイプは大きな教会にはいけない。
いい意味でも悪い意味でも。
誠実な人のいる教会は好き。
だから、ここにいる。
【神聖回復魔法】
教会も私の勧誘はあきらめたようだ。
そこで、私はもうひとつのベール、
回復魔法も開陳することにする。
私の回復魔法は神聖魔法の系列。
教会の回復魔法は聖魔法の系列。
王国の教会は聖教会が正式名称なんだけど、
聖をつける理由となっている。
一文字違いでも、体系が違う。
これは私には助かった。
いかにも大賢者様に習ったという建前がとれる。
だいたい、神聖魔法なんて古代に滅んだ
伝説的な魔法らしい。
それを私が取得していること自体が驚きなのだ。
そんな私を教会が独占しようとするのならば。
そりゃ大賢者様の怒りが落ちるでしょ。
実際に怒りを落とすのは私なんだけど。




