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やっぱり、イケメンには注意しよう

【やっぱり、イケメンには注意しよう】


 バロー家のイケメン三男といい、

 隣国王家のイケメン長男といい、

 おかしな男が続いた。


 致命的な男運の悪さか。

 それとも、私が貧乏神なのか。


 あー。

 確かに、私はイケメンに弱い。

 それは認める。


 だって、前世日本の芸能人がゴボウに見えるような

 超イケメン、もちろんスタイルも抜群に良くて、

 雰囲気も優しい、

 そして上流社会のスマートさが身についている、

 そんなモリすぎなのが現れたら、

 目がお星さまになるに決まってる。


 でも、流石に二人変なのが続くと、

 もうイケメンはいいや、って気分になっている。


 いや、気分じゃない。

 イケメンって、レッドアラートよ。

 危ない。

 イケメンを見たら、ドクロマーク。


 次からは絶っっ対にイケメンに近づかない。

 2度あることは3度ある。

 もう騙されません。



 などと断固たる決意をしていたところ、

 やっぱり、現れた。

 新たな敵が。


 相変わらず教会で働いていると、

 イケメンが。


 真打ち、ってぐらいのイケメンだ。

 俳優でいうと、トム・ヒドルストンみたいな。

 育ちの良さ、気さくさ、甘さ、知性が同居していて、

 一発で主人公ってわかるオーラ持ち。

 胡散臭すぎ。

 

 これがラスボスか?

 もう勘弁して。


 修道女がキャアキャア言ってる。

 神に使える身ではしたない。


「だって、あんなイケメン、ちょっといないわよ」


「そうよ。眼福、眼福、目の肥やし」


 だから駄目だって私は思うのだけれど。


 顔で判断しちゃダメよ。

 中身で勝負なのよ。


 でも、私の100%真実の言葉は通らない。


 そう冷ややかに見ていると、

 イケメンが私の病院室にやってきた。

 怪我したらしい。



「君は落ち着いているんですね」


「?」


(僕を見てどうして騒がないのか?と言ってるのかしら)


「ひょっとして、ルックスに自信あり?」


「そういうわけじゃないんですが」


「まあ、そう思っていても嫌味がないわね。確かにあなたは美形よ。凄ブルつきのね。でも、イケメンは間に合ってるの」


「いや、それは誤解ですよ」


「とにかく、忙しいから」


「ああ、失礼しました」


 あの手は、というか男なんて優しくすると

 勘違いしてとことんつけこんでくるからね。

 初手からガツンと言っておかなくちゃ。


 ただ、ちょっと心が動いたのは認める。

 イケメンすぎるから。



「あなたは修道女じゃないと聞きましたが」


「ええ。バイトで働いてるの」


「バイト?」


「大きな声では言えないけど、神には不信感があるの」


「不信感があるのですか。神はいないとでも?」


ハゲはいるわよ」


「神はいると。会ったことがあるような口ぶりですね」


「まあ、その程度には神を信じているのよ。でも、いい加減な存在」


「はは」


「あのさ、忙しいんだけど」


「いや、申し訳ないです。でも、患者、僕で最後ですよ。というか、僕、怪我してるんですが」


「ああ、じゃあそこに腰掛けて」


 ちちんぷいぷい


「おおっ、結構な傷なのにあっという間に完治した」


「そんなの重傷のうちに入らないわ」


「はは。おかしな呪文なんですね」


「何だっていいのよ。呪文なんて。景気づけみたいなものね」


「景気づけですか。詠唱が必要ないと?」


「ホントの詠唱なんてしたことないわ」


「詠唱したことがない?印を結んだりしないのですか?」


「印って、術使いが術を使う時に手指をこねこねしたりするやつね。そういうのもないわね」


「ほお、全くのノーリアクションで魔法を発現できるのですか。それでもこの効果。傷が完治してるとは」


「終わったから、かえってちょうだい」



 その身元不明の男は実は脚長おじさんであった。

 教会に多大な寄付金を進呈し続けている。

 この教会だけじゃなくて、

 付近の教会では有名なイケメンらしい。


 だから、この程度の患者が私のところに回ってきたのか。

 お得意様なのね。


 まあ、かなりの慈善家。

 人を助けるのが嬉しいらしい。


 でもね。

 私の鋭い鼻は真実を探り当てつつある。

 この男には裏の顔がある。


 いや、根拠はないんだけど。

 ていうか、単なるイケメン警戒なんだけど。



「あ、これお礼の」


「いや、そういうの要りません」


「まあまあ、後で皆さんで食べてくださいね」


 無理やりおいていった。



「あ、エミリ。それバーナさんの?」


 バーナさんとは、先程の患者バーナバーシュのことだ。


「ラッキー、それ、甘くてすっごく美味しいのよ」


「そうなの?」


「前、持ってきたときはみんなで取り合いになったわ」


「私、知らないわ」


「だって、あなたいなかったもの」


 うーむ。なんだかずるい。


「すねないの。さあ、みんなでお茶の時間にしましょ」


「すねてない」


「何、言ってるの。あなたが甘いもの好きなの、昔からでしょ」


 この世界は甘いものが少ない。

 果物ぐらいなんだけど、酸っぱいのが多い。

 それでも、甘みがあるというだけで果物は大好き。



 で、お茶の時間になった。

 お茶は、ライ麦を煎ったものだ。

 さっぱりした麦茶という感じになる。


「なにコレ!すっごく甘い!」


「だから言ったでしょ。前回なんて、みんなで取り合いになったんだから」


 これはクッキーだ。

 砂糖が豊富に使われている。

 しかも、サクサク。

 どうみても、クッキーの作り方を知っている人のものだ。


「これ、砂糖が入っているんでしょ?高級品よね」


 砂糖は南国から輸入される。

 希少品なので、随分と高価で庶民には手が届かない。


 こんなものを気軽に持ってくるとは。

 やっぱりイケメンには注意しなくちゃいけない。

 裏があるに決まってる。



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