表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

21/54

奥様、覚醒する

【奥様、オラつく】


 さて、私は毎朝恒例の姑と小姑の嫌味を受け流しつつ、

 今日も畑で種をまいたり、

 荒れ地を開墾したり忙しく働いていた。


 農民には多くの知り合いができた。

 もともと私は孤児の中で育ってきたから、

 彼らとのコミュニケーションは悪くない。


 驚いたのは、農村の貧しさ。

 孤児院の暮らしは幸せだったことがわかる。

 春窮という言葉がどこかの国であったらしいけど、

 それはこの村に来るとよくわかる。

 

 畑の成長が貧弱。

 ようやく収穫しても、税や小作料でがっぽり削られる。

 ちょっと冷害とか水害とかがあると、作物が全滅する。


 ちゃんと収穫できても、

 春の終わり頃、新しく種を巻き始めるすこし前頃には

 食べ物がなくなる。


 夏もそうね。

 秋の収穫前には蓄えがなくなる。



 食べるものがなくなれば。


 森に入ったり川へ行ったりして食べるものを探すか、

 隣村とかに盗みに行く場合もある。

 それはとってもナチュラル。


 流石に同じ村の中のものは盗まない。

 バレたら村から追放されるから。

 でも隣村へは気軽に出かける。

 もっと遠くへ遠征する場合もある。

 

 もちろん、見つかったら袋叩きにあう。

 大抵は村に帰ってこれない。


 ただじっと家にいても餓死するだけだから、

 みんなはせっせと遠征する。

 


 そんな暮らしだから、

 身の回りに気をつける、なんてことはない。


 お風呂どころか、体を拭く習慣のないものもいる。

 日に焼けて体も泥まみれだから、

 臭いし、目だけギョロギョロしてる人もいる。


 いろいろ改善したい。

 少なくともみんなが飢えないように。


 でも、話を聞いてくれない人が多い。

 私はよそから来た嫁で、かなり立場が弱い。



 中には不愉快な輩がいる。


「おうおう、奥様よ。毎日ご苦労さまですな。まるで馬車馬のように働いておいでで」


 そうからかう馬鹿な農民。

 この男はバロー家の遠縁にあたる。

 それもあって、驕ってる面がある。

 それと、元々かなり性格が悪い。

 

 その時の私は虫の居所が悪かった。


「そうよ。私は馬車馬。ところで、そんな私からあなたにプレゼントを送るわ。普通の奥様パンチと、怒った私のヒスパンチ、どっちがいいかしら?」


 私はそう言い放ち、拳を握りしめた。


「ヒス奥様パンチ!」


 私はアースクェイクを拳にこめ、

 地面に向けて拳をイキリ立てた。


『ゴゴゴッ!』


 凄まじい轟音とともに、地面が割れた。

 地割れは幅2m,深さ10m,長さ50mに達した。


「さて、これ以上のファッキン奥様パンチがあるけど、受けてみる?」


 私は馬鹿な農民を振り返ってそう言い放つが、

 勿論農民は腰を抜かしてそれどころではない。

 目一杯目を見開いて、

 アワアワわけのわからない声を上げるのみだ。


 

 この騒動は村中を驚かせた。

 その噂が館に届いた。


 さすがに姑たちも驚いたようだ。

 表立って嫌味をいわれることはなくなった。

 すこし私の立場が改善したか。


 そうなのよね。

 この世界、力を見せないと舐められる。

 拳を見せるといろいろ捗るのよね。


 前世日本だとそんな暴れん坊、嫌がられるだろう。

 ところが、この世界ではそうでもない。



 しかし、流石は姑・小姑だ。

 そんなことではへこたれない。


 嫌味は地下に潜って、地味な意地悪が。

 ただでさえ少なかった会話がほとんどなくなった。

 会話というか、業務指示のみだ。

 

 たまに言葉を振ると、

 キモいとかウザいなどと言われるか、

 返事をしてくれないことも多い。


 すぐにものを隠されるので、

 自物はマジックバッグで管理するのが必須となった。


 悪い噂は近所でばらまかれ放題。

 この村で料理をしたことがないのにメシマズと言われる。

 まあ、メシマズは事実なんだけど。

 でも、本当の私の料理を食べたわけではない。


 家でも非常に横柄で寝汚いとの噂を流される。

 口が悪くて姑たちはじっと耐えていることにされている。

 いや、逆なんですけど。


 ご飯も床にこぼし放題とか。

 どこのサルですか?



 クチャラーと言われたのはかなり頭にきた。

 それは小姑のことだ。


 ついでに、小姑、ワキガ臭い。

 結構遠いところにいても臭いでわかるし、

 彼女が部屋に入ろうものなら、

 まず換気が大変だ。


 口も臭いので、僅かな指示出しが憂鬱だ。

 完全に息をとめて話を聞く。

 彼女が去るとダッシュで窓をあけ、

 新鮮な空気を体内に入れる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ