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能力増進

【能力増進】


 魔力や体力が増進したのみではない。

 私には新しいスキルがどんどん追加されていた。


「なにこれ。宝の山じゃない」


 そう驚きの声をあげたのは、地下室。

 私は地下室の清掃を命じられ

 何年も掃除していないであろう、

 蜘蛛の巣だらけの汚い地下室に降りていった。


 カビ臭い臭いが充満している。

 そこには埃まるけの古めかしい本が

 大量に積んであった。

 ざっと見ても数百冊はありそうだ。


「こんな田舎の家にこれほどの本が?」


 この世界では本は高級品だった。

 宝石と同程度か、宝石以上の値段がついた。

 その本が数百冊。


 たかが子爵家には釣り合わない光景だった。

 祖先がどこかで盗んできたのだろうか。

 

 奥に乱雑に積まれている、異国の言葉の本。

 あるいは古代書。


 私は目に止まった1冊を拾い上げ、

 パラパラとめくってみた。

 マルチリンガルのお陰か、

 私はどんな言葉でも問題ない。


『魔法原書』


 そこにはとんでもない魔法が書かれてあった。


  魔石の作り方


「マジか」

 

 空中の魔素を集積する技術が書かれてある。

 この1冊で世の中を変革する内容。



 他の本にも手を出してみる。


  神聖回復魔法

  転移魔法

  マジックバッグ

  飛行魔法

  映像魔法(録音・録画・再生)

  体力強化の方法

  古式体術

  魔道具の作り方

  魔法陣の書き方


 とんでもない内容の記述がなされていた。


 すべて古代語である。

 この世界の人だと何が書かれてあるのか、

 ほとんど理解できないかもしれない。

 少なくとも、この家の人には理解できなかったわけね。



【魔石の作り方】


(一番最初に試すスキルは……やっぱりこれね)


 私は魔法原書を取り出した。

 魔石の作り方ののっている本だ。


 この国で最も価値の高いもの。

 それは宝石やお金ではない。


 魔石だ。


 魔石は本来魔物からしか入手できない。

 魔物を倒して初めて魔石を入手できる。


 魔石を何に使うのか。

 様々なものに使われているが、

 多いのは薬の材料と魔導具のエネルギー。


 薬の材料としては、魔力回復薬がある。

 魔石はそのままでは人の体になじまない。

 魔石に手を加えて回復薬とする。


 そして、魔導具のエネルギー。

 魔導具の中でも最も重要なものが、

 街を守る結界魔導具。


 この世界は戦争が多い。

 戦争の中心は魔道士による魔法である。

 魔法が空中を飛び交うため、

 街の外壁は役に立たない。

 外壁を飛び越えて魔法は直接街に降り注ぐからだ。


 また、外壁は対策を施さない場合、

 魔法の前では無力だ。

 あっという間に破壊され、突破される。


 それでも外壁が街を囲うのは、

 魔法の強くない犯罪者や魔物から

 街を守るため。


 魔法から街を守るには外壁は不要だ。

 強力な結界があればいい。

 その結界を維持するのは人の力ではムリ。

 魔導具を使う。


 その魔導具を維持するのが魔石なのだ。


 逆に、街の結界を破る魔法にも魔石は使われる。

 攻撃魔導具は勿論、攻撃魔法のエネルギー補充に使われる。


 戦いはいずれかの魔石が不足し始めると勝負がつく。

 盾鉾の強さも大切だが、維持力が勝負を決めることもある。


 その魔石は魔物からしか入手できない。

 現状では人が魔物を討伐し、

 彼らから魔石を入手する。


 魔物を狩るのは軍隊もあるが、

 冒険者と呼ばれる人たちの活躍も大きい。


 冒険者と呼ばれる人々は、

 有り体に言って、体制にはまらない自由人が多い。

 たいていはあまりよろしからぬ性格の持ち主だ。


 協調性がない。

 村の決まりを守らない。

 まともな就職ができない。

 そういうタイプが冒険者を選ぶ。


 いわば、はみだし者のセーフティネットワークが

 冒険者という職業であり、

 それを統括するのが冒険者ギルドである。


 冒険者は魔物と対峙することが多い。

 だから、10年生存率は1割程度と言われている。

 殆どが10年以内に命を落とす。


 たいていはその前に冒険者をやめて、

 正道にもどる。

 結婚などを契機として地道な働き口を見つけるのだ。



 さて、この本。魔石の作り方。

 これが実現されるとしよう。

 とんでもない話になる。


 冒険者や軍に依存しなくても、魔石を入手できる。

 それもタダだ。

 戦略的な波紋が大きいどころではない。

 世の中の仕組みがひっくり返る可能性がある。


 つまり、このスキルを身に着けても

 公言できないし、疑いを持たれても不味い。

 その秘密を手に入れようと世界中の人々が押し寄せてくる。



(それでっと。……フムフム)

 

 しばらく本を読むふけった私は、

 本に書かれてあるとおりに魔法を唱えてみた。


(うわっ)


 魔石。

 簡単に作れた。

 なんの衒いもなかった。


(なんて大きい魔石!)


 あっさりと、こぶし大の魔石が目の前に出現した。


 こぶし大の魔石。

 伝説のドラゴンとかを除き、現実的には

 入手できる最大級の大きさの魔石だ。


 値段は付けられない。

 買えるものではないのだ。

 これ一つで、数万人規模の街の結界を

 数年楽に維持できると言われている。



(そういえば、神様ハゲが言ってたっけ。本を読めって。もしかすると、このこと?)


 これが神様の好意か。

 争いの中心に私がいることにもなりかねないこのスキル。


 もう草原の白い家なんてポエムが通用しそうもない。

 ますます、自分の望みから遠く離れつつある。


 届かないだろうけど、私の衝撃拳。

 あとで空に向けて何発か放つことを決心する。



 他には、神聖回復魔法。

 教会の得意とする聖回復魔法とは

 体系が違うようだ。


 それでも回復魔法には違いない。

 これを取得すると、教会がやってくる。

 当然のように教会で働けと。


 これもバレるとやばい。

 対応策が必要ね。



 転移魔法。

 これもヤバい。

 さっきからヤバいばっかり言ってるけど、

 ヤバいんだから仕方ない。


 ただ、転移魔法は転移魔法陣が必要だ。

 かなり複雑で簡単に書き上げられない。

 下手すると、完成に数ヶ月かかるかもしれない。


 だから、パス。


 

 マジックバッグ。

 ファンタジーではお馴染み。

 これも所有しているのを知られると、

 商人とか軍隊とかが押し寄せてくる。


 流通を一変するからだ。

 容量次第ではこのバッグひとつで

 国のものの流れを支配できる。

 ありがたくスキル化しておくが、

 バレるとヤバいから慎重に。



 映像魔法もいい。

 こっそりと相手の秘密を探り当てて、

 証拠として提出する。

 黒い動きができる。


 その黒い動きをするために、

 忍者のような忍びのスキルがほしい。

 これが体力強化に記載されてあった。


 気配を消す方法。

 というか、ステルススキル。

 気配に同化する。


 プレデター。

 もしくは攻殻機動隊。


 

 まだまだたくさんのスキルがあるのだけど、

 簡単には処理できない。

 ゆっくりと咀嚼していこう。



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