バロー家に嫁ぐ
【バロー家に嫁ぐ】
学院を卒業した。
すぐに私達は彼の実家で結婚式をあげることになった。
結婚式といっても、前世のような派手なものではない。
内輪でチャッチャッとやる感じだ。
孤児院からは誰も呼ぶな、ということには
わだかまりが残った。
でも、階級が違うと無理やり納得した。
結婚式の夜。
新郎は酔いつぶれてしまった。
その夜は何もなかった。
次の朝。早朝4時。
姑に叩き起こされる。
「いつまでも寝てるの!当家に嫁いだからには、当家のやり方を早く覚えてもらわなくてはなりません!農作業の格好をしたらすぐに下に降りてくるように!」
わけも分からず私は渡された農作業用の服に着替え、
1階に降りていくと、
「まずは、畑の開墾。これを日が暮れるまでみっちりとやって頂戴」
私は荒れ地に拉致された。
鍬をもたされ、
「あなたは4属性の持ち主。土魔法も優秀だと聞いてます。チャチャッとやってちょうだい」
その場に放置された。
ご飯は?
空腹をこらえ、土魔法で荒れ地を開墾していく。
「日が暮れたら、家に戻ってきて洗濯よ。水魔法も優秀だと聞いています。チャチャッとやってちょうだい」
「次は洗濯物の乾燥。風魔法も優秀だと聞いています。チャチャッと……」
「それが終わったら、お風呂の湯沸かし。火魔法も優秀だと聞いています。チャチャッと……」
なんだか、同じような指示をされて
終了するのが深夜。
へとへとになってようやく晩ごはん。
黒パン(雑穀パン)、味のないスープ、
臭い保存肉。
しかも冷たい。
初日は姑の指示通りに作業をした。
2日めからは小姑が指示をした。
「なんで、そんなに太っているわけ?ぐうたら生活ばかりで食っちゃ寝、それがあなたの毎日だったんでしょ?今後はバロー家の家風によく馴染んでしっかり働きなさい」
そういう小姑は私よりも肥満だった。
バロー家の家風。
そんなわけあるか。
冷静になればそう思える。
しかし、私はどんどん洗脳されていった。
さすが、ブラック企業にいただけはある。
私はブラック企業に染まりやすいのだろう。
過酷な日々に疑念がわかなかった。
というよりも、姑や小姑の言うことを真正面から受け止め、
自分の至らなさを責めつつ毎日を一生懸命過ごしていた。
私はどんどんと痩せていった。
普通ならこれはやつれていくように見えたであろう。
ところが、私の場合はストレス故ではなかった。
過酷な毎日が続くにつれ、
体力も魔力も増加していったのだ。
反比例してキレイになっていく私。
贅肉がとれるだけではなく、
心身ともに光り輝いていくのだ。
「あの奥様、来たときは垢抜けない肥満だったが、痩せてえらくキレイになってきたな」
村民からそう噂される。
それが姑や特に小姑の耳に入り、さらに指示が過酷になる。
夫とはベッド別。
というか、ベッドをともにしたことがない。
下手すると、1日中顔を合わさない。
顔を合わせても会話がない。
私はそれを不思議に思わなかった。
元々恋愛は不得手でおぼこい。




