月の色 -- 月は赤いか黄色いか -- 或いはスーパームーンと皆既月蝕について少々
今日はストロベリームーンと呼ばれる満月の大安。
そこで、月の色について幾つか紐解いてみたいと思います。
月の色と言えば黄色という印象があることと思います。
これは、地球の大気を月の光が過ぎる際に青い光の成分が散乱されてしまう所為です。
しかし、実際にはいつも黄色に見えるとは限りません。地平線近くにあるときは赤っぽく見えますし、充分な高度があるときはかなり白っぽく見えます。
先ほどは月の光の成分のうち青い光の成分は散乱すると書きましたが、月が充分な高さにあるときは大気を通過する長さは短くなるので散乱が起きにくくそれなりに白っぽく見えます。また、月が地平線近くにあるときは大気を通過する長さも長くなるし、より地上に近いところを通過することになるので青ばかりか緑色の成分まで散乱してしまって赤く見えるわけです。低い高度だと、太陽でさえ赤く見えるくらいですからね。
また、満月は太陽が沈む頃に昇って太陽が昇る頃に沈むので昼間見えることはありません。しかし、上弦の頃は夕焼け前の高い空に白く輝く半月を見ることができますし、下弦の頃は同じく朝の空に見ることができます。
この月は白く見えるわけですが、夜の月より白くなる理由を考えてみましょう。
月が白く見える頃は夕焼け前や朝焼け後になるわけですが、この時間帯だと空は空色に見えるはずです。
つまり、月の色は夜の月の色+空の色になるわけです。このため黄色+水色で白となるわけですね。
なので、よく晴れて空が水色というより青に見える時に高いところにある月は、空の色を反映して青味がかってさえ見えます。
ところで、月は地球の周りを楕円を描いて巡っています。地球は楕円の中央ではなく焦点と呼ばれる位置にあり、従って月までの距離は大きく変わります。このため、月が特に近い時の満月をスーパームーンと呼ぶわけです。一方、その反対に遠い時には特に呼び名があるわけではなさそうです。ストロベリームーンと呼ばれるのはストロベリーの季節だからということで、月の色に由来するわけではないようです。
更に余談ですが、皆既月蝕の際の月は全く見えなくなるのではなく、暗い赤を帯びて見えてきます。
これは地球の昼間の側で反射した太陽の光が月に届いてまた地球の夜の側に戻ってくる光です。この光は地球の大気を二度も潜り抜けるわけなので暗く、しかも赤い光だけが見えているということです。
尚、次に皆既月蝕が見えるは2021年5月になりますが、赤くなる月は是非ご覧いただきたいと思います。
六話目にしてまた月に帰ってきました。
これも元はQuoraに投稿したものですが、原型が残らないレベルで書き直しました。
尚、皆既月蝕で赤くなる月を背景に据えた物語を書いています。
「赫い月に魅入られて……(https://ncode.syosetu.com/n9260fg/)」
ご興味の向きはご一読を。
というわけで、今話もお読みいただきありがとうございます。
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