覚醒
その血の色は何色だろう。人間の血ように赤にも見えるが、黒くも見える。
それをガリルは飲み干した。
「ぐっ、ぐあっっ…ああぁー」
声にならないほど喉が熱くなり、ガリルの精神に直接響くように身体が震える。
アイビスの血を飲むという事は魔王の中の魔王アイビスのほんの一部の力を受け入れる事を意味していた。
そのガリルの様子をアイビスは、ただじっと見つめる。
「ちから…力が沸いてくる…」
ガリルは歓喜に満ちていた。
これ以上の喜びを感じたことはない。
以前とは比べ物にならない力を感じた。
そして今までなかった背中には翼が生えていた。
「こっ、これで私も魔王の一人に…」
(はぁはっはは…ははぁ)
震えも止まり、そこには魔王と呼ぶに相応しいオーラを纏ったガリルが立っていた。見た目は背中に翼が生えただけであり黒を主体とした姿である。
「ガリルよ。これでお前も魔王の一人だ。これからは魔王ガリル=ナキアスと名乗るが良い」
「はい、ありがとうございます。アイビス様」
ガリルは丁寧に、そしてアイビスを畏怖するかのようにお辞儀をした。魔王になったとしてもガリルは、まだひよっこである。ガリルの成長は、ここから始まる。
「せっかくだ。魔王になったからには従者が必要だろう?」
そういうと魔王アイビスは指から血を一滴、地面に落とす。その血は地面に消え、そこから闇が生まれた。それはやがて人型となる。
「この者を好きに使え」
「はっ、ありがとうございます」
その人型は魔王になる前のガリルと同程度の力を宿していた。




