最後
緊迫の状況の中、後ろの方から叫び声が聞こえる。
「サイトー様に…何をしたあぁぁー!?」
鬼気迫る顔でエリアが空を飛ぶ。
そしてビクスに一撃を加えた。
ビクスの動きを読むかのようにエリアが空中を飛び、一撃を加えると又離脱した。
「くっエリアか?うっとおしい。お前がきたという事は下の者達を倒したのだな」
「ええ、そうよ。私達で倒しました」
息がきれているが皆、無事のようだ。
後ろにはクールと他の者達もいる。
ジルも一緒になり、事の行き先を見ていた。
「ふんっ。しかし、お前達が来ても何も変わらん。見よっ」
ビクスが指した方にはバッカスと俺が痛みを堪えている。
「サイトー様、バッカス殿!」
エリアが叫ぶが答えたのはバッカスであった。
「すまん。不意をつかれた」
脇腹を手で押さえつつ苦しそうだ。
「今、手当てを!」
エリアが手当てをしようとバッカスと俺に近づこうとする。
だが、その声に反応するかのように人型のザックが近づき俺を包む。
バッカスの方には脇腹に水をかけた。
その水は意思があるかのように傷口をふさぐ。
「!?」
エリア、バッカスが驚く。
「おいらに任せてよ。さぁーサイトーさん」
そう言うとザックが俺の身体に包む形となり俺の全身を覆った。
驚く事に痛みは消えた。精神体と繋がるとは違い俺自身とザックの身体が融合しているようにみえる。何よりも痛みもなく身体も軽い。
それを見たビクスが驚いている。
「なんだっ、それは!?魔法なのか…」
その言葉に反応したのはザックという鎧を身につけた俺である。
「これは魔法ではない。水の精霊王と真の契約をしたザックと俺の力だ」
焦ったビクスは、また同じ光魔法を使おうとしていていたが俺は、そのスピードより早くビクスの懐に入り拳を突いた。中学校と高校で武道を少し習った程度だが思ったよりスムーズに身体が動いた。
「ぐふっ…」
ビクスの身体を覆う闇魔法をも無効にする一撃であった。
その瞬間にルイが短剣を俺の足元に転がした。
その短剣は光輝いていて魔法が施してあるようだ。
俺はルイに目線をうつし、その短剣を拾う。
その短剣を手に取り俺はビクスの身体を貫いた。
体感時間としては一瞬の出来ごとであった。
「ぐっ…そんな、わたじのやぼっ…げっぶぉ…」
ビクスは、そう言うなり地面に倒れたのだった。その姿は老人の姿と成り果て、生気がなくなっていた。




