光魔法
「やっぱりルイは皇子だったんだね」
俺の言葉にルイは、こくんと頷いただけだった。
今は、そんな世間話をしている状態ではないのだ。
だがバッカスも思った通りの人物であった。
となるとエリアやジル、クールなども知っていたのだろう。
そんな気はしてたけどルイが皇子とは思ってもみなかった。
エリアも先の部屋の肖像画に描かれている人物に似ていたけど若干、肖像画の方が大人びて見えた。
エリアがお姫様かといっても不思議ではない。
そんな事を思っているとバッカスが俺を隠すように大きな身体でビクスとの間にはいる。
「おいおいイチゴ嬢に何かするつもりか?」
どちらかというとビクスよりバッカスの方が悪人に見える。
バッカスは構えの姿勢をとった。
先程の攻撃が効かなかったのもあり慎重になっているようだ。
「ふっふふ…今のわたしにはルイ皇子など赤子と同然ですからね。後でいくらでも調理できます。ですが、そちらのハイエルフには何かあるかもしれませんしね」
ルイは、その言葉に沈黙する。自慢の光魔法も今は使わない。
ルイはタイミングを見計らっているようだ。
ならば俺が注意をひくことにする。
俺にはザックが人型の姿で守ってくれている。
ちょっとぐらい無理をしても大丈夫だろう。
そう思った次の瞬間。俺の胸辺りが何かにより貫かれた。
もちろん構えをとっていたバッカスの脇腹を貫いてだ。
「ぐっ」
「うっぅ…」
バッカスは、その攻撃に耐えた。
腹を押さえながら苦痛に耐えている。
俺はというと気絶しそうになった。
こんな痛みは初めてであった。
ザックも何があったかわからない様子で俺へと近づいた。
「サイトーさん」
必死で呼び掛ける。
「これは…光魔法か?」
悶絶する俺の傷を見てルイが答えた。
魔族に成り下がったビクスが放ったのは光魔法であった。
それをルイは見抜いた。彼も又、光魔法を使うからだ。
「ふっふ、驚きましたか?」
闇魔法と相反する光魔法。たしかに以前のビクスは光魔法を少しは使えていた。それでもルイは勝てると思っていたが今の状態では光魔法を使っても相殺される。ルイは苦痛に耐える俺達を見ているだけであった。




