皇子
ジルの前に現れたのはルイであった。
それを見たビクスは不敵な表情でルイを見る。
まるで、ここにくるのを待っていたかのように。
「ぐぶっ…おまちじてましだよ…ルイ皇子」
そう…ルイは、このルメリシカ王国の皇子であった。
王バリクと正室の息子であり、いずれは王になる予定であった。
そんな彼はビクスの手から逃れていた。
ビクスの目的は、このルイを始末する事であった。
彼がいるとビクスは安心できない。いくら王権を握ろうと、この王家の血筋には勝てないからだ。
そんなルイが自らビクスの目の前に現れたのだ。
ルイの手には短剣が握られている。
その短剣には金の装飾が施され束の部分には王家の紋章がしてあった。
金で飾られた丸の紋様が二重にあり中央に鷹の絵がかかれている。
これも、ただの剣ではなさそうである。
そしてルイが先程放ったのは光の魔法であった。
光魔法を使えるのはルメリシカ王国においてほとんど使える者はいない。
ルイは光魔法が使えるが完璧ではない。
唯一、完璧だったのはビクスに仕えていたリオであった。
ルイが幼少の頃、彼はザイラムとビクス、それにリオに教えられていた。
その中でもリオは光魔法に特化していたのだ。
その頃のリオは今と違い権力には無縁の男であった。
彼が何故ああなったかを知る人は今やビクスだけである。
ビクスによる言葉巧みか、それとも洗脳か?
そんなビクスも今は魔族による操り人形である。
リオはカラムの街でルイによる光魔法で死んだ。ルイは理解していた。
リオによる光魔法がどんなに危険なのかを知っていた。
だから、あの時はああするしかなかったのである。
ルイは優しい心の持ち主であるがため民を一番に考えている。
その為には時に非情になる。
それが王国の為であるからだとルイは思っている。
先のカラムの街の戦いでのリオの死は魔族のガリルや、ビクスには予想外であったが今のビクスには問題なかった。
当初の目的であるルイ皇子が、ここにいるからだ。
魔族であるガリルは失敗だと思っているが、このルイ皇子を始末すればビクスの野望は達成できる。たとえ操り人形であったとしても。




