絶望
30分という時間は、体内時計ではわからないが目に見える矢印の右下を見ると残り15分と書かれている。
(本当にカーナビだな…)
そう思いつつも不安は隠せない。
このまま喉が乾いて干からびて死ぬよりはいい。
食料はある。
あとは水と休める場所があれば今の状況を打破できる。
そう思い歩みを進めた。
歩く事10分。
残り5分と表示されているが見渡す限り何もない。
見えるのは砂漠だけだ。
(どうせ死ぬなら楽に死にたい)
そんな事をおもいつつも歩みを進め目的地に着いた。
その場所には青いマークが点滅している。
だが、そこには何もなかった。
(やはり、こんなものだよな…)
現実離れした現象が起こり少し浮かれていたのかもしれない。身体が前の斉藤一吾という人物が消え違う人間になってたり、誰もいないのに声が聞こえカーナビみたいな機能が発現したりなど不思議な事が起こったり。
そんな事は、もうどうでも良かった。
俺は発狂しそうな勢いで叫んだ。
「水をくれっーー」
だが、その声は砂漠の前では無に等しかった。途方にくれ食料が入っているビニールから生のままの人参をとりだしかぶりつく。
(まずっ…)
しかし、少しは喉の渇きが消えた。
残る食料はじゃがいもと胡椒、それと豚肉である。今日の晩ごはんは、肉じゃがをメインにしようと思っていたので他の物は買ってないので後悔した。
(そういや、お腹も空いたな…)
そう思い一歩踏み出し青いマークの所まで行く。
(何もないじゃないか)
そう思った矢先だった。身体がどんどん沈んでいく。
「ヤバいっ」
みるみる身体が砂の中に沈んでいく。
(このまま死ぬのか…)
それが斉藤一吾の二度目の死が迫ってきた瞬間であった。




