こんな死に方アリかよ!?
俺、三条藤四郎は現在高校一年生である。三条なのに、藤四郎とは矛盾もいいところである。
三条といえば、三日月宗近や今剣などが有名。対して藤四郎は粟田口の刀に付く銘である。
こんな、インテリ腐った事を並べて何が言いたいかというと。
「両親よ! もうちょっと刀を勉強しろ!!!」
渾身の叫びである。
「って言われてもなぁ。父さん、刀知らなかったしなぁ。でも藤四郎ってかっこいいだろ?」
のんきなことを言っているのはわが父、三条宗親。どう考えても、刀匠です本当にありがとうございました。
というか、俺現代人だよな? 父も現代を生きる人だよな? 宗親とかどう考えても現代人じゃねーだろ! ふざけんなよ! マジで!
大体、そんな名前してるんだったら刀の名前ぐらい知っとけよ、常識的に!
「いいんじゃないかしら……。だって、藤四郎って可愛いでしょ?」
スマートフォンを片手に、わずかに頬を赤らめているのは俺の母である。
スマートフォンからは「お触り禁止!」などという声が漏れている。当然、この母がやっているのは日本刀を集めてそれを乱舞させるゲームである。ちなみに、母の名前は小夜である。
うちの一家は、日本刀に呪われているのだろうか。
ちなみに、これは俺が最近刀剣が女の子にされてるゲームをやり始めたの原因で知ったことなのだが。小夜という刀は存在する。小夜左文字と言う。そして、俺の嫁でもある。
黒が似合う女の子が好きなのだ。ただし、母の名前なのがどうにも微妙だ……。
ほかの名前だったらよかった。
そんなつくづく、刀に縁のある一家の長男が俺である。呪われているのか、祝福されているのかよくわからない。しかしながら、あえて言おう! 剣は好きであると!
「まぁ、本気で悪いとは思ってないよ。……っと、そろそろ西洋の剣の展示が終わっちゃう。俺、行ってくるから!!」
俺は、そんな事を言って急いで家を出た。
背中に「気をつけてな~」とか、「夕飯作ってるわね!」とかいう両親のぬくもりを受けながら。
今は十月九日、にしては少し寒すぎる外気が息を白く曇らせる。
てか、寒すぎだろ。十月だぞ十月!
なんて、くだらないことを考えていると不意にドスリと胸に何かがぶつかったかのような音が響く。
「なんだ……?」
音のした場所を見て俺はゾッとした。
俺の胸には、なんの脈絡もなく、一本のロングソードが刺さっていた。どうせなら、日本刀の方が俺らしいなと思えたのに。
「すまぬ……こうするより他無いのだ……」
剣からは声が聞こえてきた。どこの魔王なのか? と、訪ねたいほど渋く重たい声だ。
「な……なんで……」
胸元はみるみる赤く染まり。体を伝って、足を伝って生暖かい液が流れていく。
青天の霹靂、まさにそれだった。そのせいで俺は死んだのだった。
こんな理不尽、あってたまるかってーの!!