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第33話:一騎打ち

 

 天空から見下ろしている太陽とアリッサの声援に後押しされ、宗一郎は城壁の下へと降り立った。対象が近いほど魔法の威力は上がる。そのため宗一郎は危険を顧みず、魔物で溢れかえっている地へと身を投じたのである。

 真横にはおびただしい数のホープとゴブリンの群れ。叫び声を上げ、西門へと体当たりを繰り返しダンへの侵入を阻む壁を取り除こうとしている。

 

 宗一郎に一番近いゴブリンは宗一郎が降り立ったことに気づいたが、門を破るのが先とばかりに無視をして、顔を城門に向けた。この常識的な判断を下したゴブリンはその選択肢が間違いであったことを痛感することはなかった。

 なぜならば……


「お前らの相手は俺だぜ。【鎌鼬】」


 鎌鼬。

 民間伝承で妖怪の類とされているものである。

 旋風の中心に出来る真空、非常な低圧により皮膚や肉が裂かれる現象と言われている。

 しかし皮膚はかなり丈夫な組織でありそのようなもので傷を負うとは考えづらい。また鎌鼬がおきた時点で皮膚以外の物に傷をつけたという話も残っていない。そのため現代では皮膚表面が気化熱によって急激に冷やされるために、組織が変性して裂けるといったような生理学的現象あかぎれと解釈されている。

 宗一郎は文系であかぎれ説を知らないため、単に風の刃を乱射する魔法として使っている。

 魔法はイメージが大事で、ブラックホールの様に想像もつかないモノは不可能だが、親が東北出身で子供の頃から聞かされ、刷り込まれた鎌鼬を再現することは可能であった。


 無数の風の刃が宗一郎の手からホープの群れへ放たれた。


 直近のゴブリンは反応する間もなく事切れた。

 他のゴブリンは宗一郎の風魔法に反応したが、物体ではない風の刃は、木の棒や斧で弾くことも出来ず、かといって乱射された風魔法に逃げ場はなく、身体を切り刻まれていった。

 矢では貫通できなかったホープの肉体も、宗一郎の鎌鼬の前には意味をなさなかった。


 胴と足が離れたもの、足から先がなくなったもの、腕を切られたもの、首と胴が離れたもの、ゴブリンとホープ双方に被害があったもの、片方だけが被害をうけたもの、宗一郎が鎌鼬を乱射したため、被害は一様ではなかったが、宗一郎の鎌鼬が通った後は死屍累々、阿鼻叫喚の地獄絵図であった。


 城壁の上の人間は歓声を、ホープとゴブリンは悲鳴と怒号をあげていた。


 ホープは仲間が切り刻まれている事に気づくと、一旦城門への体当たりを止め、宗一郎に向かって一斉に突撃した。鎌鼬に切り刻まれて連れをなくしたゴブリンは生き残ったホープを見つけて乗馬し、傷だらけながら、突撃に参加した。


「【竜巻】」


 宗一郎の周りには竜巻が現れ、それに触れた魔物は巻き上げられ、天を舞った。天を舞う仲間の姿を見てホープは足を止めたが、当然後方のホープは反応が遅れ、玉突き事故のようにぶつかり、何匹かは竜巻の被害になった。空中で竜巻から弾き飛ばされ地面に落下していく魔物は、他の魔物を巻き込み更に被害を拡大した。

 魔物が宗一郎から距離をとった時には、数が半分に減っていた。

 そこに宗一郎が追い打ちをかけるべく魔法を発動しようとしたら、


「マ…………………テ」


 ホープキングに乗馬しているゴブリンキングの叫び声が聞こえた。

 その声で宗一郎は魔法の発動を止めた。

 「待て」ーー確かに宗一郎にはそう聞こえた。ゴブリンキングが人語を操ったのである。


(ゴブリンキングが言葉を?言葉を話すのは知性がある証だ。もしかすると交渉出来るかもしれない)


 宗一郎は自身の魔法で容易に多数の魔物を倒せた結果(・・)に満足していたが、ホープとゴブリンの死体が地面を所狭しと埋めている現実(・・)を見て吐き気を堪えていた。

 宗一郎は事前に魔物を殺戮する覚悟を決めていた。しかし実際に多数の魔物を殺すと、その覚悟は雪のように溶け去り、魔物の惨殺死体が宗一郎の倫理観を揺さぶった。血や臓物を撒き散らした死体が、その匂いが、魔物の怒号が、宗一郎を厭戦気分にさせた。出来れば交渉して撤退させたいと宗一郎は思った。


「言葉を話せる……のか?」


「アア………ユッ………ク………リ……ナラ」


 間を挟む必要はあるが、ゴブリンキングは宗一郎に語りかけてきた。


「なぜこの町を襲う。お前らの目的はなんだ?」


「ヨバ………レ………タ。オオ………ニ」


「オオ?」


「オ………ウ。ワレ……ラ……ノ……オ……ウ」


「オウ……王か?それがこの町にいるってのか?」


「ソ………ウ」


「しかしお前達をこの町に入れる訳にはいかない。王だか何だか知らないが帰ってくれないか?」


「ダ………メ。オウ……タ……ス……ケ……ル」


「だからそれを叶える訳にはいかない。俺だって魔物を殺すのには抵抗があるんだ。頼むから引き上げてくれ。こっちも追撃しないから」


「ダ……メ」


「こっちは引くつもりはないぞ。そもそも襲ってきたのはそちら側だ。こっちが譲歩する言われはない」


 苛立つ宗一郎に対して、ゴブリンキングは慮外の提案をした。


「イッキ…ウ…チ」


「一騎打ち?俺がそれを受けてお前を倒せば引いてくれるのか?」


「アア。ナカマ…コロ…シ…タク…ナイ」


 慣れてきたのかゴブリンキングの言葉の間が減ってきた。


「わかった。その申し出受けよう」


 宗一郎が返答すると、ゴブリンキングが雄叫びを上げ、配下に指示を出した。ゴブリンは即座に動き出し、ゴブリンキングの後ろに半円をつくった。


 宗一郎はその間にまじまじとゴブリンキングを見て、ほんの少しの恐怖を覚えた。


(結界魔法を使えなかったら、絶対に逃げ出していただろう)


 普通のゴブリンの身長は1m弱。ゴブリンキングはその倍以上、2mを越す巨漢であった。大きく突き出た鼻と耳、焦げ茶色の肌と豚面からは、知性や理性を感じれなかった。むしろその醜悪な顔は本能のまま殺戮し喰らい尽くす、野生の獣を想起させた。右手に持つ巨大な斧は対峙者にとっては死神の鎌のようにみえるであろう。


 ゴブリンの布陣が完成したのを見届けたゴブリンキングは下馬し、宗一郎から10歩離れた地点で斧を掲げて静止した。


「なんだ?」


「ブキ…アワセ…ル。タタ…カイ…ノ…ギシキ」


「儀式ったって、俺はそんなもの……」


 「持っていない」そう言いかけた宗一郎は言葉を飲み込んだ。

 ーー思い当たる武器が1つあったからだ。


 現在宗一郎は武器を2つ持っていた。

 1つは女神から下賜された名前入りナイフ、宗一郎の胸ポケットの中にある。使う機会が無くて失念していたが、確かに護身用として携帯していた。しかしゴブリンキングの斧と合わせるのに刃渡り20cm程度のナイフは不釣り合いである。

 だが、よくよく思い返して見るともう1つあった。

 ゴブリンキングの斧と合わせるのに十分な長さ、品格があるモノ。


(使わせて貰うぞ。ロンベルク)


 宗一郎は空間魔法からシャフタール家の家宝「何物も切り刻む剣」を取り出した。


「あれは……シャフタール家の家宝『何物も切り刻む剣』ではありませんか?なぜソウ様が?」


「事情があるのだ。今は黙って見ていろ、ドーン」


「……後で事情を聞かせて貰いますよ」


 宗一郎は剣を右手に持ち、ゴブリンキングに近づき斧と合わせた。「カンッ」と乾いた音が鳴り、宗一郎とゴブリンキングは同時に後ろへ飛び距離をとった。宗一郎が身構えているとゴブリンキングが斧を振り上げて襲ってきた。

 

 宗一郎は剣を掲げて斧を受け止め……られなかった。


 ゴブリンキングの一撃は宗一郎の手から剣を弾き飛ばすのに十分な威力を誇っていた。見様見真似で剣を掲げてみたが、ゴブリンキングの斧を受け止められなかった。


(剣を手放したロンベルクを笑えねーわ)


 自嘲する宗一郎へゴブリンキングは斧を振り下ろした。宗一郎はゴブリンキングの一撃で手が痺れていた。


「【カーテン】」


 宗一郎は結界魔法をかけ、ゴブリンキングの斧を弾いたが、その一撃で結界魔法は破壊された。凄まじい威力である。宗一郎の結界魔法はミハエルの光魔法を相殺した。つまりゴブリンキングの一撃はミハエルの光魔法以上の威力があることになる。しかもゴブリンキングには詠唱の時間がない。ただ斧を振り下ろすだけである。ミハエルより数段上の敵である。

 手の痺れが取れるまで、宗一郎は結界魔法を貼り続けたが、力が上がったのか結界魔法を破壊してなお、ゴブリンキングの斧は宗一郎へと振り下ろされた。


「アブねっ」


 宗一郎の結界で勢いが死んだ斧は、容易に避けることが出来たが、宗一郎は追い詰められていた。

 

 結界魔法は相手との間に空間がないと発動しない。密着している状態で結界魔法を使おうとすると、密着した相手も結界魔法の内部に取り込むことになる。修行期間にそれを試してアリッサから「閉じ込めてどうするつもり?まだそんな気はないんだからね」と言われて回し蹴りを食らったことは良い思い出であった。


 つまりゴブリンキングの身体が宗一郎に触れていたら、結界魔法を発動させるのが不可能になる。結界を貼れずにゴブリンキングに密着されたら死ぬーーその危険性を感じさせるほどゴブリンキングの圧力は強く、結界魔法を破るごとに少しずつ近づいてきている。ジリジリとだが確かに。

 2歩ほどあった距離が、半歩縮まり、1歩半になっている。


(距離をとらないと)


 そもそも魔導師が、接近戦でゴブリンキングに勝とうとするのがどうかしているのだ。

 ゴブリンキングはゴブリンが進化した魔物だが強さは桁違いにあがっている。ゴブリンは訓練した兵士で互角に戦えるが、ゴブリンキングには到底敵わない。優秀な指揮官の元2〜30人で取り囲んで戦うか、魔法で遠距離から仕留めるしかない。

 そもそもキングの発生は稀であり、以前そういう記録があるだけで、このゴブリンキングをその条件で倒せるかはわからない。

 ーー実力未知数。そう言っても過言ではないだろう。

 宗一郎の相手はそんな化物なのである。


「フ…ム」


 ゴブリンキングは首を傾げ、叫び声をあげた。するとゴブリンキングの後ろで見守っていたゴブリンの一体が斧を宗一郎目掛けて投げてきた。


「汚ねー。一騎打ちじゃなかったのかよ?」


「チ…ガ…ウ」


 ゴブリンキングの非道に憤る宗一郎に対して、ゴブリンキングは否定の言葉を述べて、飛んできた斧を後ろ向きで受けとめた。


「コウ…スル…タメ…ダ」


 何のことはない。1本の斧じゃ埒が明かないと思ったゴブリンキングは、配下のゴブリンの斧を借りて2本の斧で宗一郎に攻撃することにしたのだ。ただそれだけのことだが、それは宗一郎にとって「死」を意味した。1本の斧でさえ完全に弾けずにジリ貧になっていたのに、数が増えれば更に状況は悪くなる。

 ゴブリンキングと密着したら「死」ーーそしてそれはダンの町の壊滅も意味した。


 宗一郎の魔法は瞬時に発動できるが、それは何のプレッシャーもない安全地帯にいてのことである。

 ゴブリンキングが猛烈な勢いで斧を振るってくるこの現状では、魔力を練る事が出来ず、威力の低い魔法しか発動できない。同じ魔法でも練る魔力の量によって、威力が違う。詠唱を瞬時に出来る宗一郎でも、瞬時に魔力を練る事は不可能であった。

 威力の低い魔法ではゴブリンキングに効果があるとは思えない。


(やはり距離を取るしかない)


 宗一郎がその結論に達した時、ゴブリンキングは器用に両手を使って斧を振り下ろした。空気を切り裂き、振り下ろされる斧は、容易く宗一郎の結界魔法を破壊してた。

 宗一郎は次々に結界魔法を唱えたが、唱えた(はな)から破壊されていき、段々とゴブリンキングとの距離は縮まっていく。


(マズイ、ヤバイ、死ぬ)


 宗一郎が死を覚悟して上を見上げると、太陽が目に入った。宗一郎は反射的に目をつぶったが、【カーテン】と唱えることを忘れておらず、ゴブリンキングの斧で斬られることはなかった。


「アブなっ。ふざけんな」


 宗一郎は太陽に文句を言った。


(戦いの最中に上を向いた俺も俺だが、まさか太陽に目潰しされるとは。目潰し……待てよ)


 宗一郎はこの閉塞的な、絶望的な状況を打破するきっかけを太陽から受け取った。

 宗一郎が()使える魔法では、ゴブリンキングと距離をとることは出来ない。


 しかし宗一郎には『加護:器用貧乏』がある。

 見た魔法を使えるチート能力。

 そして宗一郎は確かに新しい魔法を見ている。

 ミハエルの使った魔法。

 威力が低くても、距離を取ることが可能な魔法。


 ゴブリンキングの目をくらませれば良いのだ。


「【電球】」


 そう唱えると、斧を振り下ろしているゴブリンキングの目元に、丸い光が現れて周囲に拡散した。

 宗一郎の10種類目の魔法が発動した瞬間であった。


「グァァ」


 雄叫びを上げて、目元を抑え、身体を丸めるゴブリンキング。その反応は人間と同様であった。同じく後ろで見守っていたゴブリンも身体を丸めていた。


 宗一郎は目をつぶっていたため影響はなく、雄叫びをあげるゴブリンキングを尻目に後方へ走って距離を取った。


「すまんな、これで終わりだ。【鎌鼬】」


 宗一郎の手から風の刃が飛ぶ。

 ゴブリンの身体を両断したその刃は、身を丸めているゴブリンキングの胴体を切断した。ゴブリンキングの身体はやはり頑丈で、ゴブリンへ放った【鎌鼬】は貫通して背後にいたゴブリンをも両断したが、ゴブリンキングへ放った【鎌鼬】は背後にいたゴブリンへ届くことはなく消えていった。

 ゴブリンキングはへその辺りで真っ二つになった。

 切断された箇所からは血が湧き出し、まるで噴水のように空を泳いでいた。


 目に明かりが戻ったゴブリンとホープが見たのは、雄々しく戦ったゴブリンキングの切断死体だった。

 何度も何度もゴブリンキングの死を確かめる魔物、意気消沈している魔物、反応は様々だったが、全ての魔物から戦意は消失していた。

 その群れの中からホープキングが出てきた。

 ホープキングは横たわったゴブリンキングの死体に近づき、何度か舐めると、ゴブリンキングの使っていた斧を口で加えて、宗一郎へ向かってきた。


(次はお前か?)


 宗一郎は身構えたが、ホープキングは宗一郎に近づくと、斧を大地に置いて取って返した。


「戦わないのか?」


 反射的に宗一郎が問いかけた。


「イッキ…ウチ…マケ。ソレ…オマエ…ノ…モノ」


 そう言い残したホープキングは高らかに叫び声を上げて、ホープとゴブリンを集め、去っていった。

 ホープキングは、一騎打ちの勝者は敗者の物を手に入れられるという戦いの仁義を守る男だった。


「清々しい奴ってところかな?」


 宗一郎が苦笑すると、背後の西門から歓声が上がった。中には泣き叫んでいる者もいる。


「やったー」


「魔物が去ったぞ」


「我々の勝利だ」


 肩を組み、手を取り合いながら勝利を喜んでいた兵士は、次第に「ソウ」「ソウ」「ソウ」と宗一郎の名前を連呼した。宗一郎は、クルッと振り向き片手を上げてガッツポーズをつくった。

 それを見た兵士は一際大きな歓声を上げて喜んだ。


 だが……


 その歓声をかき消す絶叫が背後から聞こえ、宗一郎は即座に振り返った。


 そこには想像出来ないような光景が広がっていた。


 先ほど協力しながら西門を攻撃していたゴブリンとホープが殺し合いをしていたのだ。

 ホープに騎乗しているゴブリンが優勢で、上から振り下ろされる斧や木の棒にホープは成す術なく殺されていった。

 ゴブリンを載せていないのはホープキングのみである。そのホープキングがゴブリンの凶行に気づいて止めようとしたが、時既に遅く、相当な数のホープが身体を横たえていた。

 ホープキングはけたたましく鳴いて、ホープを殺し地面に降り立ったゴブリンに攻撃した。流石にホープキングは強く、ゴブリンを次々と吹き飛ばしていった。しかしゴブリン共もホープキングを取り囲み、着実に攻撃を与えていった。


 宗一郎は呆然としていたーー一体何が起こっているのか理解出来なかったのだ。

 協力していたゴブリンとホープの戦い。ゴブリンがホープに騎乗するという前人未到の行いで門を破ろうとした魔物。そんな奴らが同士討ちをしているのだ。

 ゴブリンキングが死んだことによる影響か?と誰しもが思ったが、その答えは何処にもなかった。何しろ共生関係にない魔物たちが協力しあうのが異常な事態なのである。それが協力しあった後に、仲違いを始めたケースなど有史以来ありはしない。


 血で血を争うような戦いにピリオドが打たれた時、地に立っていたのはホープキングただ1体。他の魔物は、死に絶えたか、自力では立ち上がれない程の損傷を負い地に伏していた。唯一立っていたホープキングでさえ、あちこちに傷を負い、左前足と左後足が骨折しており、右前足と右後足のみで立っている状態であった。ホープキングと言えども、何十体ものゴブリンに囲まれて無傷ではいられなかったようだ。


 満身創痍のホープキングは右足でケンケンして、宗一郎の下へゆっくり向かってきた。

 宗一郎はホープキングをまんじりともせず待っていた。

 たっぷり時間をかけて宗一郎の下へ到着したホープキングは、宗一郎の前でうつぶせになった。


「コロ…シテ」


 ホープキングは息も絶え絶えにその言葉を捻りだした。


(仲間が全員死んで絶望したのか?)


「わかった」


 宗一郎はその言葉を真摯に受け止め、死を待つばかりのホープキングの願いを叶えた。


「おやすみ、【鎌鼬】」


 ゴブリンキングと同じ魔法でホープキングにトドメをさした。

 バラバラになったホープキングの口元が僅かに笑っているように見えたのは、宗一郎の勘違いであったのだろう。



 こうして宗一郎の1対多の初めての戦いは、魔物の全滅という結果で幕を閉じた。



 何とも言えない後味の悪さを残して。

鎌鼬の下りはネットで調べました。友人に言われて初めてあかぎれという説を知りました。

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