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星空の下で  作者: 春野涼
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男の子の正体

次の日の朝、わたしはいつものように学校へ向う。教室に入って自分の席に着席すると後ろから声をかけられた。



「アヤナ、おはよー」



わたしが振り向くと、そこにいた声の主は同じクラスの城崎莉子だった。

この学校に転校してから、初めてできた友達で、面倒見のいいお姉さんタイプだ。



アヤナというアダ名も彼女がつけた。

綾瀬奈々だから、略して「アヤナ」

わたしは、このアダ名がけっこうお気に入りだ。



「おはよー、莉子。 今日の髪型可愛い!」



莉子はいつも黒髪のロングストレートだが、今日は緩く巻いてある。



「ありがとう! 今日は久しぶりに敦とデートだから頑張ってみたんだ」



莉子は嬉しそうに笑った。



『敦』とは、莉子の他校の彼氏でサッカー部だ。他校なので、なかなか会えずようやくデートができると喜んでいた。



恋をしている、キラキラ輝いている莉子が可愛く微笑ましく思う。



わたしも恋をしたいけど、今までの恋バナは聞くの専門で、全く経験がないからなぁ。



恋に落ちるってどんな感じなんだろう?



そう考えていると、何故か昨日会った男の子が浮かんできた。


……何であの男の子がでてくるんだ?



ぶんぶんと頭を振っていると莉子が不思議そうに聞いてきた。



「アヤナ、どうしたの?」



「う、ううん。 何でもないよ。今日のデート楽しんできてね!」



「うん、 ありがと!」



莉子と話していると予鈴のチャイムがなった。



「じゃあ、また後でね」



「うん、また後で」



莉子が席に戻り、わたしは1限の現代文の準備を始めた。



教科書とノートを机の上に置き、わたしはボンヤリと窓の外を見ながら考える。



どこかに恋落ちてないかなぁ……なんて。



16歳、恋愛経験ゼロのわたしがそんなことを思っていると、本鈴がなり今日も1日が始まった。



始まったけれど



……眠いな。



現代文の授業中、わたしは眠くてあくびを何度もした。



眠気の原因が授業というのもあったが、昨日の男の子が気になって帰ってきた後も考えていたせいだ。



何か寂しそうな感じがしたんだよなぁ……。

また会えるかなぁ?

なんでわたし、こんなにあの男の子のこと、考えているんだろう?



こんな風に考えていたから寝不足だ。

しかし、授業は真面目に聞くのがわたしのモットーだから頑張ろう。


1限目が終わり、2限目の数学、3限目の英語も眠気との闘いであったが、なんとか堪えて、午前の授業が終わった。



午前の授業が終わるとお昼ご飯だ。

わたしは莉子と同じクラスの友達の葵と悠里の4人で机をくっつけてご飯を食べる。



葵は黒髪のショートカットの女の子でハキハキしてる体育会系の女の子。



悠里はわたし達、四人の中で一番お洒落で茶髪のロングの女の子だ。



いつもこの四人で行動していて笑いが絶えない。たいていの話題は授業の事や先生の事、恋バナだ。



この日のお昼ご飯は、葵の笑い話で盛り上がっていた。すると突然、窓の外から女子達の黄色い声援が聞こえてきた。



何の騒ぎかと思って窓の外を覗いてみると、男子達が4人でバスケをしていた。



「ショウタ、格好いいー!」



「コウキー、ファイトー!」



バスケを応援している女子達がキャアキャアと盛り上がっている。



「お、ショウタ達じゃん! あそこのメンバー、イケメン揃いだよね!」



葵が校庭でバスケをしている男子達を眺めながら言った。


「そうそう! 格好いいし皆から人気あるし! 特にショウタは他校からのファンも多いし、うちの学校で一番じゃない?」



悠里も頷き葵の意見に同意した。



へー、そうなんだぁと思ってよく見てみると……



ん?あの前髪をあげている黒髪の男の子って、花園公園で会った男の子じゃない?



まさか、同じ学校?



わたしがビックリしたのが顔にでていたのだろうか。



「どしたの? アヤナ?」



莉子が首を傾げて聞いてきた。



わたしは、なんとなく昨日会ったことが言い出せなくて



「いや、あまり見かけたことがなかったなって思って」



と答えた。



莉子は納得したような表情で



「あぁ、あのメンバー2年3組だからね」



と教えてくれた。



なるほど。

だから、あまり見かけなかったのか。



わたしの学校は同じ校舎だけれど、1組から3組が北側、4組から6組が南側となっている。



あと、この学校はとても広くわたしは最初、校舎でよく迷っていたものだ。そんな時、担任の先生から「アルファベットのUを想像すると校舎の形が分かりやすいよ」と教えてくれた。




話が脱線してしまったが、1組から3組の北側と4組から6組の南側を繋ぐ廊下が長く、1組から3組の人が4組から6組へ行くことは用事がなければあまり行くことはない。逆もまた、然りだ。



唯一、体育の時間だけ3組と4組が合同だが、それ以外、北側と南側の人達が出会う接点はなかなか無いのだ。



莉子が続けてわたしにバスケをしている男子達の名前を教えてくれた。



「えっと、メガネをかけているのが真野広哉、あの中で一番背が高い高野良介、茶髪で可愛い系のが、吉原光輝、そして前髪をあげている黒髪の男の子、今スリーポイントを決めようとしているのが、成瀬翔太だよ」



莉子が成瀬君に指をさして教えてくれたのと同時に成瀬君がスリーポイントを決めた。



再び女子の歓声があがり盛り上がる。



スリーポイントを決めた成瀬君は、満面の笑みで広哉君とハイタッチを決めていた。



……格好いいけどああいう人達とは縁がなさそうだなぁ。



わたしは、窓の外をボンヤリ眺めながら思った。



派手でクラスの人気者。

そして、周りを囲む女子達もクラスの中心グループにいるような派手でお洒落な子達だった。



対照的に、わたしは地味な方だから今までの学校生活でもあ あいったタイプと仲良くなることはなかった。



あの人達が見ている世界って毎日キラキラしているんだろうなぁ。


と思うと同時にわたしは少しだけ成瀬君の事が気になった。



「さてと、次の時間体育だし早めに移動して着替えよう」



悠里が言って、わたし達はお昼ご飯を食べ終わった後、更衣室のある体育館へ向かった。







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