片想い
―ねぇ、君はもう気付いているのかな。
ずっと燻り続けていた想い。告げることなく、静かに、心の奥底へと沈んでいく。
今のままが、お互いに一番幸せなんだ。
普通どおりに過ごしていく、この関係が。
いつもと変わらない教室。
隣に座った君が、眠そうな顔で授業を受ける。そんな表情を見つめながら、気付かれないように少し笑う。
時折見せる欠伸が、普段の大人びた様子とは違って一層おかしく見えた。
いつだったからか。
「好きかも、しれない」だなんて思い始めて。
気がつくと、その思いは止まらなくなっていて。
君と一緒にいる時が、一番幸せだった。楽しそうに笑う顔を見るのが楽しくて、ただそこにいるだけ嬉しくて。
この気持ちは、恋ですか?
なんてことない動作で君の手が触れると、慌てて離す自分がいた。大して意味のないことなのに、それがどうも意識してしまって。遅れて触れた指先が熱くなるのを感じた。
もし叶うことなら、ずっと一緒にいたい。言うだけなら、少し勇気を出せば簡単だろう。でもそれではもう、元の関係には戻れない。
だから。
だからせめて、話しかけるだけの勇気を。
臆病な私に、どうか。