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第4話 戦支度

「お前は怪しい。いくら死んだような目をしていようとも、刺客ではなかろうとも、国の不安材料と化すゆえに処刑する」


「ちょちょちょちょ、まって! 今なんか雰囲気的に同情してくれるとか、そんな感じじゃなかった!? 私の勘違い!?」


一気に命の危機が到来。


これはアカン。


「お前のような怪しいヤツなど、生かしておく理由がないからな」


「ヒドイ!!」


「とりあえず首出せ女」


「いやだ! まだ死にたくない! まだ遺言書いてないし遺産だって(無いけど)相続とか」


「何を言っている、いいから首」


「いやぁまだ渡りたくない三途の川! 向こうに見えるのはお花畑!?」


「花畑などではない。血の海だ」


「っハ!!」


「覚悟はいいか?」


「南無阿弥陀仏! アーメン! 何妙法蓮華! あれ、漢字これであってたっけ!?」


命を掛けた大茶番、もとい寸劇。


全てに必至こいてる私を見て、鼻で笑うお殿様。


「ははっ、まぁ落ち着け女。そんな今すぐに処刑、ってのはしないさ」


「な、ななななんと! あなたが今首出せとか言うからてっきり!!」


「ここでお前を斬ったら牢獄が血で汚れるからな。掃除がめんどい」


「そんな理由!?」


「まぁ掃除すんのは秋貞なんだがな」


「結局なんなんだよ!」


こんどはハハハっと高らかに笑うお殿様。


「まぁ、斬首するかどうかはお前次第なのだがな」


「・・・え?」


そして、姉小路頼綱は私の目を真っ直ぐに見ながら、


明らかに何か企んでいる顔で、


「お前に、我が姉小路家にとって何か、利用価値があるのであれば、処刑はしない」










「おうおう、まさかこんな弱小国に太閤自らがおいでなするとは、全く運がねぇな、ガハハ!」


飛騨国、松倉城


「いや、ホントですよ・・・何とかならないモノなのですかね・・・」


松倉城内のとある和室にて、2人の男が座して対話していた。


「まぁ来ちまうモンは仕方ねぇよ。もうこの際、太閤をぶっ潰すしかねぇな」


全身に古傷が残る筋肉質の大男、柴田勝家。


「そんな・・・相手はあの羽柴ですぞ? なんとか穏便にいかないものなのか・・・」


気弱な細身の男性、鍋山(三木)顕綱。ちなみに姉小路頼綱の弟である。


「そもそも兄上が本能寺の後に羽柴側へ移っていれば、こんな事には・・・」


と、1人ぶつぶつと文句を言いながらも顔を真っ青にし、ガクガクな顕綱。


そんな彼を見て、勝家はさらに豪快に笑う。


「ガハハ! お前、もし姉小路が羽柴側に回ってた場合、そんときゃ俺らが敵だったんだぜ!」


「はっ・・・し、柴田殿が敵・・・」


「そうだ。どうだ顕綱? お前、俺に勝てんのか? あ?」


「うっ。そ、それは・・・」


そしてまた1人、ぶつぶつと文句を言いだす顕綱。


「ぅぅ・・・も、元はと言えば明智殿が謀反さえ起こさなければ、こんな事には・・・」


「まぁ、過去の事を言ってもしょうがないぜ顕綱。今はとりあえず、目の前の敵を・・・」


その時、


「て、敵襲!! 広瀬城と高堂城に敵襲!!」


城内に響き渡る兵士の叫び声。


「・・・来たか」


「ああ、来てしまった・・・」


2人が2人、全く違う反応を見せる。


「て、敵は羽柴本隊、そして金森長近隊!!」


そして、その呼ばれた敵の名前を聞いて、勝家は表情を変えた。


「・・・ほほぅ、長近の野郎が、か」










「・・・羽柴秀吉、ねぇ」


飛騨国、高堂城。


の、城門前。


「・・・ま、いっちょ気合入れないとな」


そこに、1人の男がいた。


「あ、いた! 佐々様、こんな所で何をしてるんですか! 敵はもう近くに!!」


城の方角から、1人の兵士が男性の元へ駆け寄ってくる。


「ん? ああ、そうだな。近いな」


男性・・・佐々成政は遠くの山を見つめる。


「ああ、そうだな・・・って、敵はあの羽柴秀吉ですぞ!? 早く城に戻って籠城の準備を!!」


兵士は大慌て。


「・・・籠城、ねぇ」


城に籠れば、多少なりとも時間は稼げる。


が、


「どうせ時間稼いで柴田や頼綱を待った所で、勝ち目は・・・」


しばし考え込む成政。


そして・・・


「・・・おい、小太郎」


「は、はい?」


成政に呼ばれた兵士(小太郎)は、成政の言葉を待つ。


そして、成政は遠くの山を見つめながら、


「・・・出陣すっか」


「・・・はい?」

 








そして再び高原諏訪。


「あ、殿! 戻られましたか!!」


「殿、敵は高堂城の目前まで迫っておりまする! 早々に出陣の準備を!」


「松倉にいる柴田殿、顕綱殿は既に高堂に向かっている的な」


三木国綱、内ヶ島氏理、塩屋秋貞の3人は牢獄に続く階段の前で頼綱を待っていた。


「ああ、すまんな。よし、出陣の準備を皆に」


そして牢獄方面から現れる頼綱。


そして、その横には・・・


「・・・(ゴクリっ)」


隣にいるのは、学校の制服の上から甲冑を纏った、


「・・・もう一度問う。出来るのだな、女?」


頼綱は彼女に問う。


「は、はいっ!(た、多分・・・)」


頼綱の問に、おっかなびっくりと言った様子で答える、ハル。


「・・・頼むぞ、軍師」


頼綱はかすかに微笑んだ。



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