第3話 先を読む事
お父さん、お母さん、お元気ですか?
私はいま、
高原諏訪城の地下牢獄に幽閉されています。
「なんだこれぇぇぇえええええええ!?」
姉小路頼綱。
かつて飛騨(北岐阜)の統一を果たした戦国時代の大名である。
「殿、あのような不気味な女子、何故にすぐ殺さないのです!?」
高原諏訪城内のとある部屋。
そこに座す、飛騨国の主、姉小路頼綱。
と、先ほどの甲冑男子3人。
三木国綱、内ヶ島氏理、塩屋秋貞である。
「・・・興味があったのでな」
そう言うと、頼綱は最初にハルが持っていた、ゲームのコントローラーを手にする。
「・・・国綱よ、これが何か分かるか?」
「いや・・・まったく持って分かりません」
「・・・であろうな」
コントローラーのアナログスティックを親指でぐりぐりと回し、難しい顔を作る頼綱。
「・・・もうすぐ、羽柴との戦が始まる」
その言葉に息をのむ3人。
「いくら柴田や佐々が味方にいようとも、相手はあの第六天のサルだ。恐らく、姉小路家にとって最も過酷な戦になるであろう」
今度はコントローラーのR2ボタンを押しては離し、押しては離し、を繰り返す頼綱。
「・・・そんな大戦の前に突然現れたあの女。どこの文化かも定かではない着物を纏い、生まれもとーきょーなどと言う意味の分からなさ。そしてこれ、女曰くこんとろーらーとか。全く持って意味が分からない」
そしてコントローラーを氏理に向かい、投げ渡す。
氏理、キャッチ失敗。顔面にコントローラー直撃。
「いたっ」
「何を馬鹿しておるか」
「いや、今殿が高めに投げたからっ!」
「ため口か。斬首だな」
「本当に・・・ここは・・・天正の時代なのでしょうか・・・」
冷たい牢獄の中、私は1つため息をつく。
もう立つ気力もなく、冷たい床に座り込んで。
うーん・・・いや、そんなタイムスリップとかね、非科学的なそんな馬鹿なうん。
けども・・・
あの草原での一件のあと、この城に連行されるときに見た、町の風景。
あれは明らかに現代の世ではありえない、昔の街並み・・・
木造平屋の長屋(何か言いにくいね)に、みんながみんなボロボロの朝の服を着てて、電気もなくて、道も舗装されてなくて、野良犬が腐るほどいて。
「・・・・・・」
ほっぺつねり。
「・・・痛い」
いったい、何がなんやら・・・
その時、
「敵襲!! 敵襲!!」
どこからともなく聞こえた、叫び声。
「広瀬城、高堂城に敵襲! 頼綱様に援軍の用意をと!!」
「て、敵は金森長近隊と・・・
は、羽柴秀吉本隊!!!!」
「よお女」
「あ、どうも」
それからしばらくして。
地下の牢獄にお殿様ご自身がいらっしゃった。
「国綱、氏理は入口見張ってろ。秋貞は裏口な」
「「「ははっ」」的な」
そして、牢獄の柵越しに私と会いまみえる殿さん。
私はさっきから座ったままなので、立ってる殿には見下されてる感じに。
「・・・なんですかお殿さん。私は」
「女、お前、羽柴の密偵か何かか?」
「は?」
何か知らないけど、疑われていた。
「聞いてんのか? お前は密偵か?」
「のー!! 違います!!」
ハイ! とか言ったらまず斬首っしょ。
「・・・では、お前は何者だ?」
殿の顔は険しく、そして何かを見つめていた。
「わ、私は・・・」
なんとなくだけど、ここは私のいた世界とは違うって、気づきだしてはいた。
なんか。全てが違う。
「・・・・・・」
「私は・・・分かりません」
いやホントに。
私はただ、家でゲームしていただけなのに。
それなのに、気が付いたら知らない草原にいて、捕まって、今こうして・・・
「・・・この世の中、いつ命を狙う刺客に会うかわからんからな」
そして、殿はそっと片膝を着いた。
座っている私と視線の高さが同じになる。
「・・・お前の動揺っぷりをみていて、敵の刺客ってのは無いなと思った」
「え?」
「俺の命を狙うヤツなら、最初の草原で殺せただろうし、お前のその目、生気を失ってるかのよう」
「なっ!?」
「そんな死んだ魚のような目、凶作の年の百姓ですらなかなかにしないぞ」
「え、そんなに危なっかしい目をしてます私!?」
「危なっかしいと言うよりかは、哀れな目だな」
「・・・哀れ」
なんか自分が嫌になる。
でもまぁ、この状況的にしょうがないっちゃしょうがない・・・
「・・・お前を処刑する」
「・・・はい?」
唐突に、なんの前触れもなく、
あのとげとげボイスで、そう言った殿。
「え?」
歴史に詳しい方だともう察してると思いますが、はい。
史実と大分設定が違ってます。
あくまで今作は仮想歴史ですので、あしからず。
時代的には賤ヶ岳の戦いの後の話ですが、勝家は何故かいます、登場します。
佐々成政もいます。
金森長近だけではなく、サル自ら飛騨攻めしちゃったりしてます。
が、今作ではあくまで1つのフィクションのキャラクターとして、の登場ですので、1話前書きにも書いた通り、ファンタジー小説感覚でお願いします。