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私が魔法少女になった日 ―3―

 裏道を急ぎ、しばらくすると打ち壊された建物が見える。

 元は大型ショッピングモールとして地元の商店街とも連携していたのだが、一昨年賃貸契約が満了を迎え、閉店した。

 それから跡地利用の為に取り壊し作業が行われており、現在立ち入り禁止になっている。

 辺りに人影は見当たらない。

 周りは工事用に囲いが作られており、中をうかがい知ることは出来ないが、時間帯のためか人の気配はしなかった。

 囲いを体を横にして通り抜け、中に滑り込む。

 改めて近くで見ると、それは巨大な廃墟だった。

 打ち壊された壁からは鉄骨が飛び出し、むき出しのコンクリートは雨風にさらされたためか老朽化しており、あちこちにひび割れが見て取れる。

 まるで年老いて横たわった獣。

 その駐車場を、私は横切っていた。

 悪いことだとは分かっているが、背に腹は代えられない。

 立ち入り禁止の場所に入っている罪悪感に胸を痛めながらも、出口に向かって歩を進め、何気なく建物を見上げたその時

    

 ―――唐突に、音もなく、それは現れた


 いや、元からいた、というのが正しいのかもしれない。

 建物の二階。

 壁が取り壊され,野ざらしにされているフロアの片隅。

 それは、犬だった。

 いや,犬のカタチをした”ナニカ”であった。

 その姿は不確かで,不明瞭。

 太い丸太のような四肢を地面に着け、見るものすべてを威圧するかのように放たれる圧迫感。

 光を一切反射せず、ただそこに存在するだけの闇。

 

 ―――足が止まる。

 

 がたがた体が震え、全身の毛が逆立つ。

 冷や汗が頬を伝い、かちかちという奇音が脳髄を駆け回る。

 それが、自分の歯が立てている音だと気付くのに時間がかかった。

 目を逸らしたいのに逸らせない。

「―――」

 声にならない声が漏れる。

 心臓の鼓動がやけにうるさい。


 知識ではなく―――理性でもなく―――ただ本能が告げる。 


 ―――アレは、この世界にいてはいけないものだ。

 

 足が鉛のように重い。

 平衡感覚はぐちゃぐちゃで、今自分が立っているのか座っているのかさえわからない。


 ―――逃げないと。


 幸い,あれは壁際で何かを咀嚼しているのか,私に気づいていない。

 今なら,まだ間に合う。


 ―――逃げないと。 

 

 意識ばかりが急いて、どちらの足から動かせばいいのかさえわからない。


 ―――それでも。

 

 このままでは、私はきっと―――あれに■される。

 

 ずりっずりっ。

 思うように動かない足を引きずる様にして動く。

 引きずる音がやけに大きく聞こえる。

 

 ―――早く。早く。


 ゆっくりと。

 慎重に、音を立てないように。

 息を殺して。

 私という存在を消して。

 がくがく震える膝を押さえつけ,少しでも前へ前へ―――


 とさっ。


 音がした。

 ともすれば,聞き逃してしまいそうなほどの小さな音。

 右手を見ると、お菓子屋さんでもらった箱が地面に落ちていた。


「―――あ」


 獣が,動いた。

 20メートルは離れているはずなのに,音は聞こえてしまったらしい。

 黒一色に塗りつぶされたキャンパスに、紅い絵の具をたらした部分。

 その部分が―――私を見た。


 獣が消える。

 それが、自分に向かって跳躍したのだと気付いた時。

 何も考えず、私は横に飛んでいた。

 その直後。

「―――っ!」

 どんっ。とまるで近くで爆弾が爆発したかのような音と衝撃が私を襲う。

「っつ!かはっ、ごほっ!」

 そのまま吹き飛ばされ、駐車場のライトに背中から叩きつけられた。

 息が出来ない。

 あまりの衝撃に意識が一瞬遠のく。

 涙でにじむ視界を開けると,そこには


 獲物に襲いかからんとする,巨大な獣が迫っていた。


 上から重力を伴い落ちてくる黒い獣。

 その犬であったら爪であろう部分で,この躰を切り裂かんと迫る闇。

 避けようにも,動けない。

 先ほどの衝撃で,足に力が入らない。

 座り込んだ姿勢のまま,私はただ,見上げることしかできない。

 時間が引き延ばされ,一瞬が一秒にも,一分にも感じられる。

 

―――あぁ,私,ここで終わるのかな。


 諦めにも似た感情が思考を支配し,目をつむる。

 

 浮かぶのは,懐かしい記憶。

 泣いている私の頭に乗せられる,暖かい手。

 宝物を扱うように,優しく慈しむように撫でてくれる,私の大好きだった撫でられ方。

 不安で不安で押しつぶされそうな私を安心させるように,春の日差しのように微笑みかけてくれた大好きな笑顔。


 その時―――遠い昔に聞いたような,声が聞こえた。


「っ――――!」

 

 目を開ける。

 両手を突き出す。

 このままでは終われない。

 私は,大好きな”あの人”の分まで生きなければいけないのだから―――


 目の前に迫る獣の腕。

 ともすれば,伸ばした腕が触れそうなそれに向かって――― 


「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

―――何かが,弾けた。

 体から溢れ出す熱。

 それは暴力的なまでに熱く,殺人的な圧力を持って,私の両手から放たれた。

 

 ぎん,と。

 

 まるで,鉄を打ち合わせたかのような音。


 私を押しつぶすように飛びこんでいた獣は,何かに弾かれたかのように吹き飛ばされた。

 空中で急に力の方向を変えられ,バランスを崩した獣はそのまま地面に叩きつけられ,轟っという衝突音を立てる。

 

 何が起こったのか。

 腕を突き出した格好のまま,呆然とする私に向かって突然声が響いてきた。

「いやー,マジカルステッキなしでいきなり高圧縮の魔力衝撃とはやりますねぇ!さっすが私が見込んだお方!」

 場違いなほど明るい,まるで少女のような声に視線を上げれば

 

 そこには何とも形容しがたい棒が浮かんでいた。


 いや,棒というには語弊があるかもしれない。

 それは,私の身長ほどの長さがある杖だった。

 柄は一切の汚れがない純白。

 先端は金で縁取られており,ハート型の装飾の中央には赤く丸い宝石が浮かんでいる。

 どのような理屈で宝石が浮かんでいるのか分からないが,杖がしゃべっている事に比べれば些細な事であろう。

「おやおやん?気になります気になります?この私の純白に輝くお肌のわがままボディが気になっちゃうお年頃ですかぁ?」

「え,えっと…」

 尚も杖はふよふよと浮かびながら,いやんいやんとその身をよじるかのように柄を動かす。

 …それはまさに,異常な光景だった。

 その時,叩きつけられた衝撃から復帰したのか,獣がその身を起こす。

「ひっ…!?」

「おやおや,意外にタフですねー。見たところ,形成されて一日ってところですか?よっぽどいい餌があったってところですかねーっと」

 杖の言葉が終わらないうちに,闇はその体を深く沈みこませ,再び飛びかかろうとバネのように飛び出す。

 先ほどの奇跡がもう一度起きるとは思えない。

 腕で頭を庇うように体を縮こませ,目を閉じ覚悟を決める。

 が。

「はい,バリアーーーーー!」

 気の抜ける声とともに,がんっという重低音を響く。 

 おそるおそる見上げてみれば,闇の爪の部分が薄い膜のようなものに阻まれていた。

「い,一体なにが…」

「さて,これでしばらくは大丈夫でしょう。んじゃ,とっとと契約しちゃいましょうかね,マスター?」

 私の頭は混乱していた。

 近道しようとしたら,急に大きな犬みたいなのに襲われて。

 もう駄目だと思ったら腕からなにか光が出て。

 しゃべる杖が契約しようと迫ってくる。

 まるで,たちの悪いB級映画だ。

 なんだろう,私は白昼夢でも見ているのだろうか?

 しかし,そんな私を置いてけぼりにして杖はさらに続ける。

「私と契約するともれなくいろんな特典がついてきますよぉ!なんたって魔法少女は今小中高生その他大きなお友達に人気爆!発!中!の職業でございますからねぇ!まさにアイドル!しかもそんじょそこらのアイドルなんか相手にならないほどのステータス!そう,トップアイドルなんです!」

「ま,魔法少女?」

「そうです,魔法少女です!もちろん,タ・ダ・で・とは言いません!魔法少女になれば私,”リュミエール”があなたの望みを叶えるお手伝いをしちゃいます!ダイエットから世界征服,もちろんこ☆いのお悩みまですべて解決!きゃー!リュミエールちゃん素っ敵ー!ってあ,やば」

「え?」

 まるでテレビの通販番組のように捲し立てていた杖”リュミエール”の言葉が唐突に止まる。

 それと同時に


 ぴしっ。


 という何かがひび割るような音が聞こえた。

 音の方を見ると,闇を押しとどめていた薄い膜のようなものに亀裂が―――って

「あ,あの~…なにか亀裂みたいなものが入っているように見えるだけど…」

「…実は私も今の魔力少なくて,今張ってるこの結界がもう限界だったりー…」

 …正直,言ってることの半分くらいしか理解できなかったが,言いたいことだけは理解できた。出来てしまった。

「…まさかこの,結界?って意外と脆いんじゃ…」

 恐る恐る。

 違ってくれと,その推察は間違っていると,そう言ってくれることを半ば懇願しながら問いかける。

 ―――なぜか,リュミエールが遠い目をしたような気がした。

「……てへぺろ☆」

 

 ピシリと,空気が凍り付く音が聞こえた。


「ごめんなさいお母さん,私はもうおしまいです。ほんの十数行前にあなたの声が聞こえた気がして重要なフラグが立ったかと思いましたが気のせいのようです。ごめんねお父さん,お姉ちゃん。先立つ不孝をお許しください。そして読者の皆様,ここまでマジカルブレイバーあかなをご覧頂きありがとうございました。作者の次回作にご期待ください…」

「って早い早い!まだマジカルのマの字がちょこっと出てきただけじゃないですか!いきなりメタ発言は作品の質が問われるのでちょっとどうかなーっと私は思いますよ?それに!」

 と,錯乱する私に向かってリュミエールは身を乗り出すように宝石を私に突き出してきた。

 あ,やっぱりそこが顔だったのね…。

「まだ手がないとは言っていません」

「―――――へ?」

 現実逃避をしていた私に向かって,リュミエールは続ける。

「確かに,私の魔力はもうほとんど残ってはいません。このままでは,数分ともたず結界は破られるでしょう。もちろん,張り直すようなことは出来ません。そこで!」

 ずいっと,さらに一歩乗り出す。


「私と契約しましょう」


 妖しく紅い宝石がキラリと光ったような気がした。


「け,けいやくって?」

 思わず聞き返す。

「契約とは一定の当事者間において締結される法律上の拘束力を持つ合意を結ぶことなのですが,まぁそれとは関係なく。つまり,あなたに魔法少女になってほしいってことです」

 …大体予想通りの答えが返ってきた。

 ただ,それだけではまだよく分からない。第一,

「なんで私?えっと,私あまり人に誇れる特技とかもないよ?」

 私は普通の小学4年生であり,決して特別な力を持っているとかそういうのは

「それは,あなたが強い魔力を持っているからです!いやー,これぼどの魔力量もっている人って中々いませんよ?」

 あったらしい。

「魔力の杖,”マジカルステッキ”は魔力を持った人間と契約し,魔素を払うことを使命づけられています。そのために,私たちにはマスターの魔力を変換し,魔法の構築を行う機能が搭載されています。つまり,明菜さんの魔力を借りて,私が魔法を発動させるといった感じでしょうか?」 

 そこまで言ったとき,ピシッと空間が歪む。

 見ると,すでに結界の亀裂は私達を覆っている空間の半分まで進んでいた。

「時間がありません,いいですか?今から私の言う言葉に続いて復唱してください!」

「え,ちょ,ちょっと待って」

 あまりの展開の速さに頭が付いていかない。

「待てません!いいですか,『汝の体は我が剣,我が命は汝の盾!』はい復唱!」

「え,えっと『な,汝の体は我が剣,我が命は汝の盾!』」

 つい勢いに押されて,リュミエールの後に言葉を続ける。

「いいですよぉ!『我は全ての善を守る者!我は全ての悪を刈り取る者!我は今一振りの剣となりて,誓いを此処に打ち立てん!』」

「『我は全ての善を守る者!我は全ての悪を刈り取る者!我は今一振りの剣となりて,誓いを此処に打ち立てん!』」

言葉は続く。

それは、どこか懐かしく。

 

「「『全てを導く光をここに!全てを救う勇気をこの手に!』」」

 

―――なぜか聞いたこともないはずなのに


「「『我が名は明菜!汝の名はリュミエール!輝きを司る純白の乙女よ!今この声に応えるのならば,その力を我に指し示せ!』」」


  そうするのが当たり前のように,自然と言葉が紡がれた―――


 途端,光が弾ける。

 自分を中心に突風が吹き荒れ,暴れ狂う熱が肌を焦がす。

 いつの間に自分は立ち上がっていたのか,それさえ気づかないまま。

 目を閉じ,その力の奔流が収まるのを待つ。

 

 数秒ほどの,しかし長い時間を経てそれは終わりを告げる。

 目を開けると,リュミエールを両手で握りしめていた。

 よほど強く握りしめていたのだろう,力を入れすぎて指先は真っ白になり,グローブ越しに爪が手のひらに食い込む感覚がよく分かる…って

「あれ?」

 …グローブなんて私は着けていなかったはすだ。

 それなのに,手首まで覆うピンク色のフィンガーレスグローブをいつの間にか身につけている。

「な」

 全身を見渡してみれば,先ほどまで着ていた服ではない。

「な,な」

 ピンクのパステルカラーのノースリーブシャツの上に,胸元には黄色いリボン、純白で赤のラインが入ったケープ。

 シャツにも赤のラインが入っており,腰には調整用の小さな赤のリボン。

 また、背中にも大きなリボンが着いており、より可愛らしさを強調していた。

「な,な,な」

 下は赤いラインの入った白のプリーツスカートで、同じ色合いのニーソックス。

もひとつおまけにピンクのブーツに、いつものサイドテールには大きなリボン。

「な,な,な,な」


―――それはまさに、テレビ番組などでよく見る”アニメの魔法少女”そのものだった。


「なにこれーーーーーーーーーー!?」

 私の絶叫が木霊する。

「いえーーーっす!デビルぷりちーですよ明奈さぁん!ぐっどぐっどべりぃぃぃぃぐぉぉぉっど!」

「聞いてない!聞いてないよこんなの!?戻して、元の服にもどしてぇ!」

「聞かれてないですからねぇー。あ、ちゃぁんとやることやったら元の服に戻れますのでご安心を!」

 まるでいたずらが成功した子供のように、声を弾ませた詐欺師は告げる。

 戻れると聞いて少しほっとするも、この格好は恥ずかしい。

 人がいないからまだいいものの、こんな姿を知り合いに見られた日には数日間部屋から出ない自信がある。 

 いや、もしこの現場を知らない人が見たら、私絶対変な人って思われる!

「ってそんなこと言ってる場合じゃないですよ明奈さん!現実は待ってはくれませんよ!」

「そんなことじゃ澄まないレベルだよ!私のこれからがかかって、って―――!?」

 リュミエールの言葉に正気に返ると。

 ぴしっぴしっと割れるような音が、すでにぱきんぱきんと物を折るような音に変わっている。

 すでにひびは結界全体に広がっており、いつ壊れてもおかしくないほど軋んでいた。

「どどど、どーするのリュミエール!私コスプレしただけで何も変わってる気がしないよ!?」

「何を言いますか!いいですか明奈さん!その衣装は燃えと萌えが混合した由緒正しい魔法少女の―――」

「いいから!後でいいから!この状況をどうにかしてー!」

―――既に結界には小さな穴が開き始めていた。

「っとそうでした!いいですか明奈さん!今明奈さんと私は魔力のリンクが繋がっています!後は明奈さんがあの”魔獣”に向かって攻撃の意思を持ち、私に魔力を提供すれば魔法を構築、迎撃が出来ます!」

―――穴が広がり、獣ー魔獣―とよばれたそれの腕が結界の中に入ってくる。

「つ、つまりどうすればいいの!?」

―――ばきんっ、とした音と供に、結界が砕け散り,魔獣がこちらに飛び掛ってくる。


―――あぁ、ほんとに今日は朝から悪い夢を見ているみたいだ。

   

   変な夢で起きて。

   変な犬に襲われて。

   変な杖が出てきて。

   変な格好をさせられて。

   

―――目の前には死が迫っている。

   

   私の日常はこれじゃない。

   私の世界はこれじゃない。

   私の現実はこれじゃない。

   

―――魔獣が腕を振り上げる。


   これが日常だというのなら

   これが世界だというのなら

   これが現実だというのなら


「思いっきり,ぶちかましてやってください!」


   そんな日常

   そんな世界

   そんな現実なんて――― 


―――振り上げた腕は、一直線に私に向かい―――



「―――吹っ飛べえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」


 

 世界が震えた。

 リュミエールを構えた両手に、体内の奥の奥から力が濁流のように流れ込む。

 体全体が蕩ける様な灼熱が襲い、

 その力を魔獣へと、最適な形で叩きつける――――


――――光が、その場を覆い尽くした。


       ◇


 落雷が落ちたかのような轟音と光が収まった後、そこには魔獣の姿はなかった。

 すでに周りには夜の帳が下りており、駐車場は以前の静けさを取り戻している。

 空には気の早い星がうっすらと輝いており、私はそれを呆然と見上げていた。

「た、倒した・・・の?」

 熱に浮かされたかのようにぼぅっとする頭で現状を理解する。

 足に力が入らなくなり、その場にへたり込んだ。

 いつの間にか魔法少女然とした服装は元の私服にもどっており、リュミエールも見当たらない。

「リュミエール?」

 声に出して呼ぶが、返事はない。

 まるで蜃気楼のように、ここで起きた非日常は跡形もなく消えてしまっていた。

「夢・・・だったのかな」

 そう考えれば、確かに理解できるかもしれない。

 あんなことが、現実で起こるわけがない。

「は,はは」

 不意に,笑いがこみ上げる。

 なんて夢を見ていたんだ,私は。

「はは,あはははは」

 しゃべる杖に魔法少女に魔獣なんて。

 なんて―――乙女チック。

「あはははははははははははは!」

 リアリティのありすぎた,しかし現実味のなさすぎた夢に,ついに私は大声を出して笑い始める。

 時刻は6時をすでに回っていた。

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