ーPrologueー
はじめまして、けいっていいます。
この話は、何気なく描いた一人のキャラクターが主人公の物語です。
初めてなので、至らない点も多いですが、よろしくお願いします。
走る。
脇目もふらず,前を見据えてただ走る。
周りに聞こえるのではないかと思うほどの心臓の鼓動。
獣のような荒々しい呼吸。
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
ずりっ
はっはっはっ
はっはっはっ
ずりっ
はっはっは
ずりっ
呼吸に混ざる異音。
それは,重い何かを引きずるような音。
はっはっは
はっはっは
振り返る。
そこにあるのは黒。
ぽっかりと空いた,奈落の穴。
ずりっ
そして,聞こえる異音。
ずりっ
いる。
影はない。
カタチもない。
だがしかし,そこに確かにいる。
ずりっ
視界が揺れる。
足下がおぼつかない。
身体は震え,もはや何処をどう走ったのかも思い出せない。
すでに爪は割れ,自慢であったさらさらの毛並みも見る影もなくぼさぼさだ。
だが,それでも
私は,私のままで生きたいと,身体が叫んでいた。
―――逃げろ!
生き物としての本能が警鐘をならす。
あれは駄目だ。あれに関わっては駄目だ。
あれはいてはいけないものだ。
あれは私を●すものだ。
ずりっ
―――逃げろ!
生き物としての経験が警鐘をならす。
あれは無理だ。あれに挑むのは無理だ。
あれはそういうものだ。
あれに私は●される。
はっはっはっ
逃げて逃げて逃げて
はっはっはっ
走って走って走って
はっはっはっ
もっと速く
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
もっと遠くへ
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
あれの見えなくなるところまで
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
はっはっはっ
は
ずりっ
それは,私の耳元から聞こえてきた。