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一 軍人は質素を旨とすへし

凡質素を旨とせされは文弱に流れ輕薄に(はし)驕奢華靡(きょうしゃかび)の風を好み遂には貪汚(たんお)に陷りて志も無下に(いやし)くなり節操も武勇も其甲斐なく世人(せじん)に爪はしきせらるゝ迄に至りぬへし其身生涯の不幸なりといふも中々愚なり此風(このふう)一たひ軍人の間に起りては彼の傳染病(でんせんびょう)の如く蔓延し士風も兵氣も(とみ)に衰へぬへきこと明なり朕深く之を懼れて(さき)免黜條例(めんちゅつじょうれい)を施行し(ほぼ)此事を(いまし)め置きつれと猶も其悪習の(いで)んことを憂ひて心安からねは故に又之を(おし)ふるそかし汝等軍人ゆめ此訓誡(このくんかい)等閒(とうかん)にな思ひそ



伊野上が言った。

「軍人は質素を旨とするべきである。

おおよそ質素を旨としなければ、座学ばかりして弱弱しい方向に流れ、軽薄になり、驕奢華靡を好み、ついには貪汚に陥って、志も間違いなくいやしくなって、節操も武勇も、その甲斐なく世の中の人に爪はじきされるようになる。その身は生涯の不幸だと言っても、なかなか愚かである。このようなことが一度軍人の間に起こったら、あの伝染病のように間年市、士風も兵気も急激に衰えることは明らかである。私は深くこれを恐れて、すでに免黜條例を施行して、ほぼこのことを戒めておいたが、なおもこのような悪習が出ることを憂いて、心が休まらないために、これをまた戒めるのである。君たち軍人は、この訓戒をおろそかに思ってはならないぞ。」

「質素ということは、絢爛豪華なものはダメって言うこと?」

「そうだね。あまりにも外れ過ぎているのはダメだっていうことであって、大礼服とか見ていると、どうも外れてるように見えるんだけどね」

「でも、普段はきっと質素倹約に努めていたんだろうね」

桃子が伊野上に言う。

「その通りなんだね。まあ、使う時にはドンと使うっていう感じだったのかもね」

伊野上がそう締めた。

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