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一 軍人は武勇を(とうと)ふへし

(それ)武勇は我國にては(いにしえ)よりいとも(とうと)へる所なれは我國の臣民たらんもの武勇なくては叶ふまし()して軍人は(たたかい)に臨み敵に(あた)るの職なれは片時も武勇を忘れてよかるへきかさはあれ武勇には大勇あり小勇ありて同からす血氣にはやり粗暴の振舞なとせんは武勇とは謂ひ難し軍人たらむものは常に能く義理を(わきまえ)へ能く膽力(たんりょく)を練り思慮を(つく)して事を謀るへし小敵たりとも侮らす大敵たりとも(おそ)れす己か武職を(つか)さむこそ誠の大勇にはあれされは武勇を尚ふものは常々人に接るには温和を第一とし諸人の愛敬を得むと心掛けよ由なき勇を好みて猛威を振ひたらは果は世人も忌嫌ひて豺狼(さいろう)なとの如く思ひなむ心すへきことにこそ



続けて、伊野上が桃子に言っている。

「軍人は武勇を重んじなければならない。

武勇とは、我が国では古くから最も尊ぶべきものであり、我が国の臣民たる者であれば、武勇が無くてはいけない。まして軍人は戦争に臨んで敵と戦闘を行う職であれば、片時も武勇を忘れて良い時などはない。

武勇には大勇や小勇があって、同じ物ではない。血気にはやり、粗暴のふるまいをするような者は、武勇があるとは言い難い。軍人である者は、常によく義理をわきまえ、よく胆力を練り、思慮を尽くして事を行うべきである。小敵であっても侮らず、大敵であっても恐れない。自らの武職を果たす者こそ本当の大勇である。つまり、武勇を尊ぶ者は、常に人と接する時には、温和を第一として、人々の愛敬を得るべきと心がけよ。理由が無い勇気を好み、猛威をふるった場合は、その結果は、誰もが忌み嫌って豺狼のようだと思うであろう。これらを心がけよ。」

「…豺狼?」

桃子が伊野上に聞く。

「山犬と狼のことだね。欲深い人とかという意味もあるよ」

「で、軍人は、武勇を重んじよということなんだ」

「そうだね。武勇というのは、武術に優れており、勇気がある人のことを言うんだ。そのような人を、軍人は尊べということだね」

「なるほどね」

「じゃあ、次に行こう」

伊野上が桃子に促した。

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