表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/8

一 軍人は禮儀(れいぎ)を正くすへし

凡軍人には上元帥(かみげんすい)より下一卒(しもいっそつ)に至るまて其間に官職の階級ありて統屬(とうぞく)するのみならす同列同級とても停年に新舊(しんきゅう)あれは新任の者は舊任(きゅうにん)のものに服從(ふくじゅう)すへきものそ下級のものは上官の(めい)を承ること(じつ)は直に朕か命を承る義なりと心得よ己か隷屬(れいぞく)する所にあらすとも上級の者は勿論停年の己より(ふる)きものに對しては()へて敬禮(けいれい)()すへし又上級の者は下級のものに向ひ(いささか)輕侮驕傲(けいぶきょうごう)の振舞あるへからす公務の爲に威嚴を主とする時は格別なれとも其外は務めて(ねんごろ)に取扱ひ慈愛を專一(せんいち)と心掛け上下一致して王事(おうじ)勤勞(けいろう)せよ(もし)軍人たるものにして禮儀を(みだ)(かみ)を敬はす(しも)(めぐ)ますして一致の和諧(わかい)を失ひたらんには(ただ)に軍隊の蠧毒(とどく)たるのみかは國家の爲にもゆるし(がた)き罪人なるへし



伊野上が桃子に言う。

「本文の二カ条目だね。

「一つ、軍人は礼儀を正しくしなければならない。軍人という者は、上は元帥から下は一平卒までその間に官職の階級があり、統制に属するだけでなく、同列同級であったとしても定年に違いがあるため、新任の者は旧任の者に服従すべきである。下級の者は、上官からの命令を受ける時には、実際には直に私からの命令を受け取っているのであると心得よ。自らが所属しているところでなくても、上級の者に対してはもちろん、定年を迎えた者に対しても、全て敬礼を尽くすべきである。また、上級の者は下級の者に向かって、わずかであっても軽侮驕傲な振る舞いをしてはならない。

公務のために威厳が必要である時は別としても、その他の時は務めて懇に取り扱って、慈愛を第一と心がけ、上の者も下の者も一致して天皇の為に勤労せよ。もしも軍人に対して礼儀を乱し、上の者を敬わず下の者を思いやらず、一致の調和を失った場合は、ただ軍隊の害悪となるばかりでなく、国のためにも許しがたい罪人である」」

「上司の命令は天皇の命令って言うことなんだ。ところで階級ってどんなのがあるの」

「大日本帝国軍は海軍と陸軍という二つがあったのというのは知ってるよね。昭和19年8月10日に制定されたもので、陸軍の下の階級から順番に、二等兵、一等兵、上等兵、兵長、伍長、軍曹、曹長、准尉、少尉、中尉、大尉、少佐、中佐、大佐、少将、中将、大将、元帥大将。海軍は、2等水兵、1等水兵、上等水兵、水兵長、二等兵曹、一等兵曹、上等兵曹、兵曹長、(海軍生徒、少尉候補生、)少尉、中尉、大尉、少佐、中佐、大佐、少将、中将、大将、元帥大将だね。海軍生徒と少尉候補生は、階級章はあるけど、まだ学生という扱いになっているので、ここではカッコ書きにしておくよ」

[作者注:カッコは作者が付しました。なお、海軍の階級については:http://www42.tok2.com/home/fleet7/Museum/RankJN5.htmlを、陸軍の階級に就いては:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A4%A7%E6%97%A5%E6%9C%AC%E5%B8%9D%E5%9B%BD%E9%99%B8%E8%BB%8Dをそれぞれ参考としました]

「元帥も一つの階級なんだね」

「本当を言うとね、大将の中から選ばれた人が元帥府というところに列せられ、天皇の軍事的な顧問としての役職を得たんだ」

[作者注:元帥については、明治5年から明治6年までは陸軍元帥として階級の一つとされました。元帥府は明治31年から終戦まで存続しています。元帥府は「元帥府設置の詔」によって設置された機関です。]

「元帥も大変だったんだね…」

「そうだよ」

桃子の言葉に、すぐに伊野上が答えた。

「それでね、軽侮驕傲ってどういうこと」

「侮ったり、驕ったりするって言うことだね。二つの熟語をつなぎ合わせているんだ」

「なるほどね」

「そろそろ次に行くね」

伊野上が桃子に確認をして、うなづいたのを見てから、ページを移した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ