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最終話 monochrome

 「ねぇエモ、僕、この前いいもの見つけたって、言ったでしょ?」

 虹を仰いでいると、突然チョンが話し始めました。

 「うん」

 エモは答えました。いいもの。そういえば、そんなこと言ってたっけ。

 「はいっ」

 チョンがエモに手渡したのは、白と黒のお花の花束でした。

 エモのお家の玄関先に隠していたようです。チョンは、少し照れくさそうでした。

 花びらが朝露に濡れて、エモの胸元の宝石と同じくらい、きらきらきれいに輝いています。

 「きれいでしょ? 町の向こうでみつけたんだ」

 「……っうん……! ありがとう……!」

 エモがお花を受け取ると、チョンはとても嬉しそうな顔をしました。

 「チョンくん、嬉しそうだね?」

 「? だって、エモが嬉しそうに笑うから。エモの笑った顔、キラキラしてて、僕、大好き!」











 森のいちばん大きな木は、虹を見るといつも思います。今日も、思いました。



 嬉しいことがある。


 でも、苦しいこともある。


 両方あるから、あぁ、なんて世界は美しいんだろう。


 なんて、人が愛おしいんだろう。











 「ねぇエモ、どうして虹がすぐに掛かったのかなぁ?」

 エモが白黒のお花の香りをかいでいると、チョンはたずねました。

 「うーん……あ、きっと涙だよ! 虹は、雨の後に出るの!」

 「! エモ、どうしてそんなこと知ってるの?」

 「えへへ、あのね、昨日……」






 虹が出た日。


 やっと見つけた、やっと気付いた。


 わたしの色はとても味気の無い物だけれど、虹色みたいに輝くことも、虹色みたいに感動することも、出来るということを……。









 それはとてもきれいで、わたしとあなた……そしてみんなの笑顔が輝く、そんな町のお話。




 白黒で描かれた、カラフルな町の物語。










このお話はここでお仕舞いです。

ここまで読んでくださって、本当に本当に、ありがとうございました…!!

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