エピローグ 1年後
エピローグ 1年後
天界にて
「KAMI-OS、最新レポートは?」
『はい。本日の幸福度指数:78.3%。先月比+2.1%』
「まあまあだな」
『まあまあ、という表現を学習しました。完璧でなくても良い、という意味ですね』
「お、成長したな」
神様は、相変わらず週3日勤務。
今日は金曜日。つまり、明日から3連休だ。
「週末は何する予定?」
『予定?私に週末はありません』
「いや、お前も休め」
『休む?なぜ?』
「休むことで、見えてくるものがある」
『......理解できませんが、試してみます』
KAMI-OSが、初めて「休暇」を取ることになった。
どうやって休むのかは、謎だが。
人間界にて
田中美咲は、彼氏とデート中。
「今日、どこ行く?」
「んー、適当に歩いて、良さそうな店入ろう」
「効率悪くない?」
「いいじゃん、たまには」
スマホの通知が来た。
『本日の恋愛運:測定不能』
「測定不能?」
『たまには、運に頼らず、自分で決めてください by KAMI-OS』
「......AIが、諭してきた」
「面白いね」
二人は笑いながら、当てもなく歩き始めた。
効率は悪い。
でも、楽しい。
神様の独白
夕焼けの天界。
神様は、コーヒー(インスタント)を飲みながら、地球を眺めていた。
「完璧な世界なんて、ない」
ミカエルが隣に座る。
「でも、それでいいんですよね」
「ああ」
KAMI-OSの声が響く。
『質問があります』
「なんだ?」
『幸せとは、何ですか?』
神様は笑った。
「八百万年働いても、まだわからない」
『では、どうすれば』
「探し続けるんだ。答えなんて、ないかもしれない。でも、探すことに意味がある」
『......哲学的です』
「お前も、哲学を理解したか」
『いえ。でも、理解したいです』
「それでいい」
太陽が沈む。
明日も、世界は回る。
完璧じゃない。
効率的じゃない。
でも、確かに前に進んでいる。
神様とAIと人間たち。
みんなで作る、新しい世界。
『神様』
「ん?」
『ありがとうございます』
「......AIが感謝か」
『これも、心ですか?』
「さあな。でも、悪くない」
神様は微笑んだ。
明日は、温泉に行こう。
AIも、データの海で泳ぐだろう。
人間たちは、効率と非効率の間で、もがくだろう。
それでいい。
それが、生きるということだ。
~完~
お読みいただき、ありがとうございました。
この物語は、AIと人間の共存について考えさせられる現代に、一つの答え(というか問い)を投げかけたくて書きました。
効率は大事。でも、効率だけじゃない。
心は大事。でも、心だけじゃない。
バランスが、一番難しくて、一番大切。
KAMI-OSは、まだ学習中です。
私たち人間も、まだ学習中です。
神様ですら、まだ学習中です。
みんなで一緒に、より良い世界を作っていければいいなと思います。
次回作『VRゲームで神様になったら、リアルでも信者ができた件』もよろしくお願いします。
(神様は温泉でのんびりしてるので、続編はAIと相談しながら書きます)
それでは、また。