第五章〜反撃?
時間がかかりました。書かせていただきました。、新たなる展開の始まりです。お楽しみいただけますように。
その時、である。
うふ
突然、そこらの空気が蕩けるような笑みが、彼女の口の端から漏れた。
僕が一番見たかった彼女の笑顔だ。
「あら、そお?」
彼女の常套句が出た。何度も聞いたことのあるセリフを僕は確かに聞いた。
そう。それは、お怒りモードが解けた時の台詞だ。
画面のような鬼の形相 だった彼女の表情 割れたガラスのように砕けている。面の中から柔らかい彼女自身の素顔が現れているのである。
僕は見とれた。倫子は美しかった。他のどんな女性よりも。倫子が口を開いた。
「今日はピアノのお稽古ごあるのよ。たまから、授業が終わったら早めに帰らなくちゃ」
澄んだ高い声だった。
「あら、わたくし、どうしてこんな場所におりますのやら」
僕は何とか誤魔化さなけれぼならなかった。
「さ、さあ。何故だろう?なんか屋上に用事あったとか?人の居ないところで僕に告白しようとしたとか?」
と、その途端、である。
まあ!なんですって?なんということを!
声が響き渡った。
「このわたくしともあろう人間があなた如きに?なんという出鱈目を!」
の表情が変わっていた。また元の能面だ。般若だ。
許しませんわ!
倫子が脚を一歩前にずらした。何らかの攻撃が来るに違いない、僕は覚悟した。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました