第三章〜来襲
間が開いてしまいました。書きづまっておりました。申し訳御座いません。再び執筆開始、継続します。どうぞ宜しく御願い申し上げます。
2時限目の授業は終わった。
僕は緊張していた。何かが起きるという予感が教室中に蔓延しているようだった。
あの倫子が何故だかはわからないが、お怒りモードにあるようなのだ。もう誰もがただでは済まないのではという確信じみた予想が皆の中にあったのだ。
さて、なにからしたらいいか?どう行動するか──?
僕は席を立った。とにかく急がねばならなそうだった。倫子を探し出すのだ。
その時だった。
きゃあ!
女子生徒による黄色い悲鳴が響いたのだ。
教室の後ろの方からだった。僕は咄嗟に振り返った。
教室の後ろの方から、生徒たちが前に向かって駆けてくるのが見えた。
「どうしたの?」
僕は叫んだ。他にもそえ叫ぶ者はいた。僕は身構えた。
あ──。
その瞬間、僕は息を呑んだ。
肩にかかる艷やかな黒髪。鋭く光る切れ長の眼。遺志の強さを物語る太い眉。皺一つない清潔感に溢れるセーラー服。膝を隠すには充分な程には丈の長いプリーツスカート。
静かな呼吸音。
倫子だった。彼女の方から姿を現してくれたのだ。
彼女の姿を見て 誰もが恐怖していた。彼女の行書 から その感情を読み取ったんだ。間違いない。倫子は激おこモードにある。ただじゃ済まない 。そう思った。無意識のうちに 僕は走った。
先に動かなければならない。彼女の足は早かった。授業の短距離走ではいつも1位を取っていた。彼女は優等生でもあるのだ。
倫子のもとまで走った。狭い教室だ。元にたどり着くまでに 通病もかからなかった。
僕は、彼女と目を合わせるようにしながら、立ちはだかる倫子のすぐ脇を走り抜けた。
走り抜けながら、さりげなく触ってあげた。そう。ドサクサに紛れて。
その訪問にも見えるが、まだ幼さも残るその胸の膨らみを。つんと上を向いた小さな林檎の実のような膨らみを。むんずと掴み取るように。
触ってやったさ。みんなを危機から救う為に、さ。
──案の定。思惑通り!
彼女の視線は僕に釘付けになった。
「ちょっと、なにするのよ、アンタ!!」
鋭い声が飛んできた。
構わず僕は走り続けた。一度振り返ると鬼の形相の倫子が、そこにいた。
僕はそのまま走って教室の後ろ側のドアに向かった。して ドアから廊下に飛び出した。
「お待ちなさい!」
倫子が後を追ってくる気配があった。
思惑通りだ。デリケートな部分を無造作に触られた彼女の怒りは男の僕には、計り知れない。だが、彼女の怒りの矛先が僕に向かってくるだろう こと は予想通りだった。
「待って!お待ちなさいって」
声は追ってきた。僕はそのまま 会談する 転がり込んだ。二段飛ばしで階段を駆け上がっていった。3階建ての校舎 屋上に向かう 階段を目指して。倫子の脚は速かったが、階段を登るとなると勝手が違うはずだった。階段 書き上がるには普段 鍛えてるのとは別の筋力が必要になる。その筋力は僕の方が鍛えられているはずだった。
後ろから 荒井行きの音が聞こえた。僕はそれでも 走った。
──だめだもう体力の限界だ 走れない。
そう思った時だった。僕の手は屋上に出る ドアのノブに触れていた。
南無三!
もう天に任せた。鍵が開いてなかったら仕方がない、そこまでということだ。
果たして鍵を開いていた。業務員のおじさんが 閉め忘れたが 先生の 誰かが屋上を使ったか何かだろう。僕は屋上に踊り出た。屋上の床のコンクリートは夏の日に照らされて 熱くなっていた。
すぐ後ろは倫子も追ってきていた。
ここなら思う存分 戦える。そう思った。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました。物語は さらに展開していきます お楽しみくださいませ。