第九章〜ギャップ萌え
お読みになってくださいませ。
「あら。どうなさったのかしら?こんな場所で。大丈夫?なにかあったの?」
倫子が囁きかけてきた。俺は目を開けていたが、何を答えることもできずにいた。
──君にやられたんだよ。
とは、口が裂けても言えまい。またお怒りモードになってしまうから。
なら、なんと答えればいい?僕は静かに言った。
「ただ、ねていただけだよ」
と、倫子の顔つきが瞬時に変わった。眼は吊り上がり、顔が紅潮していた。
「ただ寝てたどけ?どういうこと?このわたしがこんなにも心配していたのに、ただ寝られるものなの?おかしいわ。許せない」
倫子の平手が僕の頬を打った。僕はその反動を利用して飛び起きた。
「倫子ちゃん」
「なによ。気安く呼ばないで」
僕の掌が彼女のセーラー服の袖口に触れた。僕は目を上げた。
ふたりの視線が交錯した。彼女の目は澄んでいた。
僕は、今度はわざと袖口に触れ、そしてそれを掴んだ。
僕は倫子の身体をそのまま、引き寄せた。それは、意外な程に軽かった。
あ!
倫子が呟くように声を出した。
次の瞬間、てまあった。
お読みになっていただきまして誠にありがとうございました