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タイトル未定2025/06/08 21:26

魔導王ラグナの目覚めにより、世界の命運が揺らぐなか、アリアはすべての記憶を取り戻す。

彼女が選ぶのは、破滅か、再生か。

“チート”と呼ばれたその知識の真の意味、そして両親の正体が、今すべて明かされる。

「記憶が――流れ込んでくる……!」


アリアは苦悶しながら床に膝をついた。

魔印が肩を灼くように光り、その光が空間を満たすと、

かつての“記憶”が時を超えて蘇ってくる。



世界が滅びかけた、最初の終焉。

ラグナ=ファウストが暴走した魔導文明を止めるため、世界は自らを封印した。


そのとき、ただ一人残されたのが――


「この記録を受け継ぎ、世界がまた過ちを繰り返さぬよう導け」


そう言って、ラグナは記憶を持つ“観測体”を創り出した。


それが、アリアの前世だった。



アリアは“日本の女子高生”としての記憶の奥に、さらに深い層が存在することに気づく。


それは、人でもなく、神でもなく――

ただ、“繰り返される世界を記録し、未来に繋げるための存在”。


(私のチート知識は、前世のものだけじゃなかった……)


(この世界よりさらに前の、滅びた世界の――“記録”だった)



そして彼女は知る。


この世界に転生する直前、自ら記憶を封じる契約を交わしたことを。


「私が世界を導けるような人間だとは思えない。でも……それでも、誰かの役に立てるなら」


「記憶も力もいらない。私は、普通の女の子として幸せになりたい」


「でも、もしもまた、世界が滅びそうになったとき――

 そのときは、この身を捧げても、誰かを守れるように」


それは、“自分を人間として生きさせてほしい”という願いと、

“もしものときは世界の盾になれるように”という誓いを両立させた“魔導契約”。



現在――


アリアは目を開けた。


目の前には、ラグナ=ファウストが立っている。


「ようやく思い出したか。君は、私の――いや、世界の記録だ」


「そして今、そのチートと呼ばれた“知識”を、自らの意志で使えるようになった」


アリアは、まっすぐに彼を見つめ返した。


「私は、記録でも兵器でもない」


「私は、ただのアリア・ブレイユ。人として、生きて、愛して、笑って……家族を築きたいの」


「その夢が、誰かを救う力になるのなら――私は、それを“チート”と呼んでもいい」


その言葉に、ラグナは静かに目を閉じた。


「ならば――この命を賭して、試させてもらおう」


そして、空間がねじれる。

始祖の魔導――それは世界法則すら曲げる究極の力。



王都上空、二人の魔導がぶつかる。


アリアは、かつて封印されていた全記録を駆使し、

ラグナの魔力を“理解”し、対抗していく。


「私は、あの人たちの娘。だから――こんなところで負けない!」


その言葉に反応したのは、母・レイナと父・ガルド。


王都の結界の外にいた彼らが、ついに姿を現す。


「やっと……思い出してくれたんだな」

母が微笑む。


「ずっと、お前の未来を邪魔してきたが……もう、お前を信じてもいいよな」

父が涙を堪えながら頷く。


「――勇者と聖女の娘としてじゃない。

ただの“アリア”として、世界を救ってみろ」



戦いの終盤。


アリアは、ラグナに最後の問いを投げかける。


「あなたは、なぜ世界を滅ぼそうとしたの?」


「救うためだ。理想を叶えるために――だが私は間違えた」


「なら、もう一度、やり直しましょう。今度は――一緒に」


その言葉に、ラグナの魔導がふっと静かになった。


「……人間は、変わったな」


「いや、君が変えたのか。なら――未来を託そう」


彼の身体は光へと還っていった。



そして――


王都に、春が戻った。


アリアは王立学苑の卒業式を終え、

家に帰ると、両親が小さな家で料理を作って待っていた。


「ただいま」


「おかえり」


「明日からは、また“普通の生活”が始まるのね」


「うん。ようやく、私の“チート”が本当に活きる日常だよ」


彼女の右肩の魔印は、今も微かに光っていた。


だがそれは、重荷ではない。


それは、選択の証。

信じる力。

そして――


幸せになるためのチートだった。

最後までお付き合い頂き、ありがとうございました。


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