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TSした親友がヤンデレ化しました  作者: 如月
第二章 TSした親友がヤンデレになりました
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017 決意

 ハロウィンの日の翌日。まだ日が昇る前にも関わらず、智之は目を覚ました。状態を起こすとぐっと身体を天井に向かって伸ばす。


「うおっ……!!」

「すぅすぅ……。」


 智之は身体を伸ばしきり下を見ると、そこには当然蓮の姿があった。だが、蓮がいるのを忘れていた智之は驚きのあまり大きな声を出してしまい、慌てて口を押えた。

 蓮の口から規則的な吐息が漏れ出ており、その姿を見た智之はほっと胸を下した。


「びっ、くりしたぁ。」


 蓮が起きていないことに安堵した智之だが、それとは別に驚きに未だバクバクと心臓の音がなっており、落ち着かない様子であった。


「そう言えば、そうだったな。」

「すぅすぅ。」

「……綺麗だな。」


 智之は急速に冴えていく頭に昨日の情景を思い出す。特別な日という言い訳の下、手を絡め合わせて、そればかりか手以外にも触れ合わせた。

 智之はぼーと蓮の顔を眺めていたが、ふと視線をアイスブロンドの髪に移すと、その髪を一束持ち上げて、すっと唇を落とした。ふわりと蓮特有の香りが智之の鼻をくすぐり、少々の間その香りを堪能する。


「って、俺は阿呆か。寝ている親友の……親友。」


 しかし、智之はすぐにはっと我に返ったように髪から手を離した。美しい蓮の髪はふわりと音もなくベットの上に広がると、智之は後悔したように頭を抱えた。


「はぁ、どう考えても親友じゃないよな。」

「すぅすぅ。」

「こんなの一線は超えてるだろ。……一線どころじゃないか。」


 傍から見たら智之は美少女の前でぶつぶつと言葉を漏らす変質者の様だが、智之は至極真っ当に今までの親友という関係にどうにか戻れないものかと、思考を巡らせる。

 巡らせるが、思い出すのは親友などとは口にできない行動の数々。同棲している時点でそうだし、一緒のベットに寝るなど一般からは遠く離れているに違いなかった。

 智之にとって昨日の一緒にベットで寝るというのは致命的である。


「起きてない、よな。」

「すぅすぅ。んっ……。」

「……。」


 蓮の規則正しく漏れ出ていた呼気はいつの間にか止まっており、智之はまさか起きていないかと怪しむ。じっと顔を覗き込んでいると、蓮の口からまた規則正しく息が漏れでてくる。

 そんな蓮の様子に智之はほっと一息ついた。


「……もう、覚悟決めるしかないのか。」

「……すぅ。」

「今日だけなんて、そんなの無理に決まってるだろ。」


 智之が決意を胸にその言葉を漏らすと、蓮の規則正しい息は急に乱れる。そんな蓮の様子に智之は気が付かなかったようで、自身の握りしめた拳にさらに力を込めて、その決意を確かなものへと心に刻む。


「はぁ、顔でも洗うか。」




 智之が部屋を出て少しすると、蓮は目をぱちりと開くと視線を宙に彷徨わせた。


「ニヘヘヘヘ。」


 昨日のこと、今日の智之の言葉。蓮はそのどちらもを思い出すと、頬を際限なく緩ませて、ぼふっと枕に顔を埋めた。

 耳はこれでもかと真っ赤に染まっており、相当に照れているのが見て取れる。


「ニヘヘ。覚悟、ね。」


 顔を枕に押し付ける力を強くすると、今度は脚をばたつかせた。蓮は音が鳴るのを抑えることは出来ないようで、それだけ興奮しているらしい。


「ニヘヘ。いつかな、いつかな。」


 しかし、次の瞬間にはぴたりと動きを止めて、どんな妄想をしてか、幸せそうに笑いながらぽーと宙を眺める。

 そして、眺めていたかと思えば、枕をその胸に抱きよせてゴロゴロとベットの上を転がりだす。


「ニヘヘ、にゃっ。寝てないのばれるよね。」


 ひとしきりベットの上を転がっていた蓮だが、はっと我にかえると乱れたベットの上を不自然にならない程度に整えて、枕に頭を置くと目を瞑った。


「でも、寝れないよ~!?」


 だが、ばっと上体を起こすと枕に顔を埋めて小さく叫ぶように声をあげる。その後は枕を抱き寄せてゴロゴロ転がり、ベットを整える。そんなことを繰り返している。




 智之が朝の支度を進めると、自身の寝室へと向かいその扉を開けた。部屋の中は智之が朝出て行った時と何ら変わらず、目を瞑った蓮の姿があった。


「……。」

「……すぅすぅ。」

「……寝てるよな?」

「すぅすぅ。」


 無言で智之がじっと蓮の様子を見ていると、蓮は思い出したように規則正しい呼気を出し始める。そんな蓮を智之は目を細めて見つめるが、わざとらしく寝息を立てる蓮がいるだけである。


「……。」

「……。」

「……ま、いいか。」


 智之が蓮を無言で見つめていると、蓮も緊張したように呼吸するのを忘れており、智之はそっと目を離すと、部屋から出て行った。

 部屋に残った蓮は何故かどや顔でやり切ったような顔をしているが、きっと智之にばれているだろうことは気づいていないのだろう。

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