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TSした親友がヤンデレ化しました  作者: 如月
第二章 TSした親友がヤンデレになりました
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010 公園フリーマーケット

 公園でのフリーマーケットイベントの当日、早朝から二人はイベント会場にやってきていた。会場はすでに煌びやかに飾り付けをされており、騒がしく動く人々も多くいる。

 そんな中、二人はというと智之の受け持つエリアで開店準備を進めていた。


「意外と楽だね」。」

「ははは、ブルーシート敷いて商品並べるだけだからなぁ。」

「ニヘヘ、暇になっちゃったね。」


 基本的に公園でのフリマはブルーシートを敷いて、その上で商品を並べることが一般的である。場合によって持参した机などに広げたりすることもある。

 そのため、智之たちのエリアでの準備は早々に終わり、ブルーシートの上に数十体にも及ぶ大小さまざまなぬいぐるみが置かれている。


「周りに挨拶してくる。」 

「僕も行くよ。」


 準備が終わった二人は近隣の出店者へとあいさつ回りをした。こういった出品者同士の交流もフリマイベントの醍醐味だろう。




 ついにフリーマーケットの開催時間になり、公園の辺りをうろつく人が増えてくる。騒々とした公園はいつになく活気にあふれており、楽し気な人々の声が辺りを賑わかせている。

 ふと二人の女性客が智之のエリアで足を止めるとぬいぐるみを指さして、何かを話し出す。そして、ブルーシートの前まで連れ立って歩いてくる。


「店員さん。これどこのぬいぐるみですか?」

「私の手作りです。」

「えっ?すごい……!!」


 片方の女性が智之へと話しかける。どうやらぬいぐるみに興味を持ったようで、買うかどうか悩んでいるようだった。

 そんな客も智之の手作りと聞くと驚きに目を大きく見開き、口元に手を持ってくる。女性局の二人はお互いに顔を見合わせながら、驚きを共有している。


「ははは、そう言ってもらえると嬉しいです。」

「ね、どうする?」

「え~、可愛いし、迷うよね~。」


 智之は女性客の対応に慣れているようで愛想の良い笑みを顔に張り付けると、手を頭の後方へと置き、ぺこりぺこりと何度か頭を下げる。

 女性客の二人はきゃっきゃっとぬいぐるみを買うかの検討をし始めた。


「私、買っちゃおうかな。」

「なら、私も。」

「店員さん、これお願いします。」


 踏ん切りがついたのか、片方の客が買うと宣言するともう一方の客も購入を決めたようで、二人はお揃いのぬいぐるみを手に持つと智之へと受け渡した。

 受け取った智之は顔に笑みを浮かべると頭を下げる。


「ありがとうございます。」




「ママ、熊!!熊だよ!!」

「あら、本当。可愛いわね。」


 次にやって来たのは子連れの客である。女の子がぬいぐるみの方へと駆け寄ろうとつないでいた手を引くと、その子の母もふふっと微笑みを浮かべて子供の進行を促す。

 駆け寄ってきた女の子はぬいぐるみをきらきらした瞳で見渡している。どれもこれもをもの欲しそうな目で見ていることから、相当にぬいぐるみのことが気に入ったようである。


「……いいなぁ。」

「ふふふ、買ってあげるわ。どれがいいの?」

「……!!これ!!これがいいっ……!!」


 ぽつりと女の子が漏らした声は母の耳に届いたようで、母は女の子の頭にポンと手を乗せると目線を合わせるようにその場にかがんだ。

 すると女の子はぱっと花が咲いたように笑みを浮かべて、熊のぬいぐるみを手に取った。そして、そのぬいぐるみはぐいっと母の方へと突き出して、キラキラとした瞳で母の瞳と合わせる。


「そうなのね。店員さん、これいいかしら?」

「もちろんです。」


 購入が済んだ子連れの母はその場を離れていく。子供はまだぬいぐるみを眺めたりないのか、名残惜しそうな表情を浮かべながらも母に追従していく。

 そんな女の子に対して蓮は手を振ってやりながら、智之へと顔を向ける。


「意外と売れるものだね。」

「ははは、今日は中々に調子がいいな。いつもはこんなに売れないよ。」

「ニヘヘ、可愛い店員のおかげかな。」


 売れるということが想像できていなかった蓮だが、実際に目をしたことで実感がわいてきたのか言葉を漏らした。

 すると、智之は笑みを零しながらも謙遜するように手を振りながら、売れるのは稀なことなどという。そんな智之に蓮は冗談めかして笑ってみせた。


「あはは、確かに店員が美少女だからな。」

「ひゃっ……!!」


 智之は蓮の冗談に一層大きな笑い声をあげると、大真面目な顔をしながら蓮の目と自分の目を合わせる。そして、にこりと笑いながら言葉を放った。

 すると、蓮は珍妙な声を漏らしてしまう。


「ん?」

「な、何でもない。」


 蓮の様子を不思議そうに見る智之に蓮は何でもないなどと返すが、その蓮の耳は真っ赤に染まっていて何でもないなんてことはないだろう。


「そうか。」

「……冗談で言ったのに。」


 蓮の小さく漏らした声は智之の耳には届かなかったようで、蓮は恥ずかしさに耐えながら店番を続けることになった。

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