6.急転直下です
「ここがフラワー国かぁ」
フルーツ国から旅立って数日、フラワー国に到着した。
青空の下、色とりどりの花が咲き誇ってて大変美しい。
街の人達も笑顔で、活気に溢れてる。見ているこちらまで、元気が出てくるようだ。
「よし!早速宿を取って、活動開始よ!」
「そうだね、疲れたし早く落ち着こう」
私と弟は、宿屋を探しに向かった。
「ふぅ。もうお腹いっぱい」
宿屋のベッドにダイブしながら、お腹をさする。
「姉さんよく食べたね」
傍らのベッドで、サファイアが呆れた様子で声をかける。
「そりゃあ、久しぶりのまともな食事だもの~。それにこんな豪勢な食事初めて。ベッドもフカフカだし、良い宿見つけたね」
「まぁね」
サファイアが気のない様子で返事をするが、満腹になった幸福感であまり気にならなかった。
むしろ、別の事が気になった。
「そういえば宿代は大丈夫?これだけいい宿なら、高いんじゃないの?」
するとサファイアがニヤリと笑った。
「大丈夫、良いアルバイトを見つけたって言っただろう?資金は十分さ」
そう言って、財布の中身を見せてくれる。
そこには金貨がぎっしり詰まってた。
「あ、アンタ、いったいどんなバイトを…ハッ!まさか」
唖然とした後、嫌な予想を思いついたが、サファイアが渋面で否定した。
「言っとくけど、犯罪とは一切関係ないからね。人助けの手伝いさ」
「そ、そうなんだ…」
こんな大金を払う人助けとはどんなものか気になったが、それ以上は「秘密にするのが条件の1つだ」と言われたので、追及できなかった。
翌朝、食べ過ぎが原因で腹痛に苦しむことになった。
ベッドで苦しむ私の傍らで、サファイアが呆れていた。
「姉さんってたまに、目先のエサにつられて失敗するよね」
「返す言葉もない…」
落ちこむ私にサファイアがため息をつきながら、薬と水を渡してくれた。
「とりあえずこれ飲んで、少し寝ているといいよ」
「うぅ…ありがとう」
痛むお腹を抱えながら、薬を受け取って飲む。するとすぐに眠気が襲って来た。
「…あれ?」
眠くて、とても目を開けていられない。
最後に見たのは見た事のない顔で「おやすみ姉さん」と、嗤う弟の顔だった…。