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閑話.とある側近の憂鬱

~ルビー達がフルーツ国につく、少し前のジュエリー城にて~


(アイオライト視点)


エメラルド王子と共に廊下を歩いてると、前から兄のガーネット王子が歩いてきた。

「やぁエメラルド、久しぶりだね。元気かな?」

爽やかな笑顔で、軽く片手を上げて挨拶をしてくる。

「お久しぶりです兄上、この通り元気です。この間は立派な刺客をありがとうございました、お陰様でステキなひと時を過ごせました」

エメラルド王子のひねくれた物言いに、ガーネット王子は笑顔で返す。

「なぁに礼はいらないさ。この前とっても効果のある毒を贈ってくれたお礼さ」

「あはは、気に入っていただけたなら嬉しいです。兄上が風邪をひいた時は、また同じ物を贈りましょう」

「それはありがたいな、良薬口に苦しというからな。お前が風邪をひいた時も、同じ刺客を送ってやろう」

「ハハハ」

「アハハ」

廊下の真ん中で、兄弟が寒々しいやり取りをする。それを周囲の人間が様子を伺いながら、ヒソヒソと何かを話す。エメラルド王子の後ろでそれを見ながら、僕はため息をついた。



「全く、何なんですか。あのやり取りは!」

私室につくなりエメラルド王子が、行儀悪くソファーに寄りかかりながら、勝手にワインを注いで一気に飲み干す。

そんな王子に先ほどのやり取りについて、文句を言う。

「何をそんなに怒ってるのさ?微笑ましい兄弟のやり取りじゃないか」

ワイングラスに2杯目を注ぎながら、エメラルド王子が首を傾げて言う。

「ええ、ええ!中身は微笑ましかったですよ?風邪をひいた兄に弟が、毒のようにクソマズいけどよく効く風邪薬を贈り、数日後に風邪をうつされた弟に兄が、厳しいけど高名な医者を送ったという兄弟愛に満ち溢れた内容なのに、何で毒だの刺客だの物騒なフレーズが入るんですか!?そんなだから次期国王の座を狙っているとか、不仲だとか言う噂が流れるんですよ!」

こちらが結構本気で怒ってるのに、相変わらず王子はどこ吹く風だ。

「アハハ。愛情表現だよ、愛情表現」

そう言ってヘラヘラと笑う主を、殴ってやりたい衝動にかられるが、どうにか飲みこんで代わりにため息をつく。

(やっぱり国王夫妻が、悪かったんだなぁ…)

国王と王妃は真面目で国政に力を入れており、国民に慕われているが親としては失格だった。

仕事に夢中になって家族を顧みない、典型的なダメ親だった。

おかげで2人の王子は親の愛どころか、親の顔を知らずに育った。

5歳くらいの時に初めて両親と対面し、第一声が「この人達誰?」だったそうだ。

それで改善すればいいものの、ショックを受けつつも「親の顔を忘れるとは何事だ!」と、叱りつけるだけで変わらず放置だからなお悪い。

子供からすれば、初対面の人間にいきなり怒られて、印象は最悪だ。

結果として親を『家族』として認識せず、代わりに兄弟の結びつきが強くなった…周囲に影響される形で。

ガーネット王子とエメラルド王子は同母兄弟だが、3歳違う。

そして学園に通いだすと、その差が大きくなった。

学園は中等部に3年通い、その後高等部に3年通って卒業だ。つまりエメラルド王子が中等部に入る頃、ガーネット王子が卒業し、高等部も同じで学園で接する機会が無く、また友人(という名の側近候補)も別々だ。

その為自然に派閥が出来上がってしまった。

彼らも家の為、それぞれの王子に肩入れする。その結果本人の望まぬ形で、対立するようになった。

(最初に王子達が面白がって、相手を狙ってるフリをしたのもマズいんだろうなぁ…)

周りが対立し始めた頃、王子2人が面白がって相手を狙ってるかのような発言をしたのだが、そのせいでエスカレートしてしまった。

今ではすっかり2人が王位を巡って、争っていると思われている。


「色々考えてるようだけど、王位を狙ってるのは本当だ。兄上より僕の方が向いてると思わない?」

考えこんでいると、エメラルド王子がワイングラス片手に声をかけてくる。

手振りで座るように促されて、王子の正面に腰掛ける。

「はぁ、まぁ…やる気も才能のうちと言いますが、ガーネット王子は優秀ですよ?」

学園でも優秀な成績を誇っており「あの性格さえなければ…」と、誰もがため息をつくくらいだ。

「年齢差で不利だが、僕だって優秀だ。それにあの一件で兄上の派閥は大分崩れた…あと一押しだ」

「………」

反論したいが事実なので黙りこむと、王子が話を変えて来た。

「ところで兄上の婚約者殿は、どこへ逃げた?」

いきなりの質問に、驚く。

「よく逃げたって分かりますね」

僕の返答に、王子が大笑いする。

「そりゃあ逃げるさ!よっぽどの恥知らずでない限りはね」

(それもそうか)

納得しつつ答える。

「南の門番が、弟と一緒に国を出るところを目撃してます」

「南か…男爵家は貧乏だし、そう遠くへは行けない。せいぜい隣のフルーツ国だな」

ニヤリと笑う主君に、嫌な予感がした。

「今夜『あの人』と話をしよう…今後の対策について」

ため息をつきつつも、せかされるまま『あの方』に連絡を取った。




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