4.しつこい変態にご注意
「悪いけど、ウチじゃ雇えないよ」
「他を当たっておくれ…って、この国じゃ雇う者はいないだろうけどね」
「お嬢ちゃんは外国人みたいだから知らないようだけど、この国の法律じゃ18歳以上でないと雇えないんだよ。悪いね」
「………」
早くも躓いた。
「あ~あ、当てが外れたなぁ~」
夕食後、宿屋のベッドにダイブして天井を見上げる。
「まさかフルーツ国では『18歳以上でないと雇っちゃいけない』なんて、法律があるとはね…」
隣のベッドに座りながら、サファイアも深くため息をつく。
私でダメなのだから、当然サファイアも雇ってもらえない。
幸いにして宿屋が食事付きで何とかなっているが、家から持ち出した金は宿代1か月分(前払い)で、底をついた。
何としても1か月以内に、職を見つけなければならないのだが…。
「ああああああ~。他国に行く金が無い!」
突然うつぶせになって、頭を抱える。
この国で職を見つけるつもりで、有り金全部宿代に使ってしまった。
この国を出ても旅費も他国の入国税も、その日の食事代さえ出せない。
「とりあえず、手持ちの物を何か売るしかないよ」
「そうよね…あぁこんな事なら馬鹿親父のガラクタコレクション、がめて来ればよかった~」
「あんな物、重いだけで一銭にもならないよ。我が家で2番目に邪魔なゴミ達だ」
「1番目は?」
「父さんに決まってるじゃないか。そもそも父さんのせいでこんな事になってるんだから、文字通りの粗大ゴミだよ」
「それもそうか」
枕に顔を乗せて愚痴ってると、サファイアの冷静なツッコミが入った。
ふと好奇心が湧いて1番目を聞いてみたが、至極当然の答えが返って来た。
とりあえずその夜は、方針が決まったところで就寝した。
「姉さん、そっちはどう?」
「う~ん…こっちもイマイチかな?」
方針を決めた翌日、早速手持ちの荷物から最低限の必需品と、売る物を分けてみたが…イマイチ芳しくない。
「急いで荷造りしたからなぁ~」
ため息をつく。
「まぁ仕方ないね、少しでも高く売れることを祈ろう」
サファイアもため息をつきながら言う。
とりあえずそろそろ夕食時なので、階下の食堂に行く事にした。
階段を下りると、何だか騒がしい。
疑問に思って騒ぎの中心を見て…目を疑った。
見覚えのある金髪の青年が、椅子に座りながらお茶を飲んでいた。
(な、な、な、何でここにいるのよ―――!!)
心の中で絶叫する。隣にいたサファイアも目を丸くしていた。
するとこちらに気づいたのか、青年―――第一王子が軽く手を上げて挨拶してきた。
「やぁ、我が婚約者殿。会えて嬉しいよ」
「ぎゃあああああああああ!!!!」
慌てて宿屋を飛び出した。
そのままひたすら逃げ続けた。