種明かしです(後)
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とりあえず誤解がとけたので、縄を解いてもらい今後の事を話し合うことになった。
「ところでこれからどうするの?」
「もちろん『ガーネット王子は、婚約者を捜索中に死亡した』と、工作するだけさ。証拠として遺品などをエメラルドや騎士達が持ち帰ることになっている」
聞いてみたが、ガーネット王子から的外れな答えが返って来た。
「いやそうじゃなくて、どうやって死んだと見せかけるの?」
今度答えを返したのは、エメラルド王子だった。
「それは君がヒントをくれたかな」
「?」
「兄上は婚約者と食事中、食べ過ぎで胃を壊して死んだことにするよ」
「は?」
思わず目が点になる。
「おい、ちょっと待て。そんな死因は嫌だ。もっと美しい死に方にしろ」
エメラルド王子の提案に、ガーネット王子が待ったをかけるが、エメラルド王子はお構いなしだった。
「遺体は腐敗するから運べなかったという事で、フラワー国に埋葬したと伝えることにするよ…プッ」
「笑うな!エメラルドお前、さっきの宿屋の件を仕返ししてるだろう」
「嫌だなぁ純粋に兄上のためですよ?アホな死因の方が追及されにくいし、兄上の名が後世に残りますよ?『食い意地の張ったナルシスト王子』って……ププッ」
「笑うな!!」
「「………」」
突如始まった兄弟喧嘩を、私とサファイアが当惑しながら無言で見ていると、声をかけられた。
「気にしないで下さい、いつもの事なので」
「ある程度言いあったら収まるので、大丈夫です」
第二王子のお付きの人と、パールさんが困ったような顔で笑っていた。
「あの二人なりのじゃれ合いなんです」
「何だかんだ言って仲の良い兄弟ですから」
「そうなのか」
「そうなんだ」
私と弟は驚きつつも、納得した。
2人の王子を見ると言い合いしつつも、楽しそうに笑っている。
国王と王妃も仲睦まじそうだし、家族が健在で仲良しなのをちょっと羨ましく思ったのは内緒だ。
結局ガーネット王子の死因は、馬車の事故という事になった。
「それじゃあこれは約束の報酬だ」
「助かったよ、ありがとう」
エメラルド王子一行が帰り支度をしてる中、王子達が声をかけて来てサファイアに金貨の入った袋を渡した。
「報酬?」
私の疑問にエメラルド王子が答える。
「兄上の駆け落ちに協力してくれた報酬さ、あと口止め料も入ってる」
「なるほど」
「ありがとうございます、充分いただきましたので頑張った甲斐がありました」
サファイアの言葉に両王子が口が引きつる。
「あぁ本当に、ガッチリ取られたよ」
「君なら、どこに行ってもやって行けるね」
「恐れ入ります」
王子達の嫌味にも動じず、サファイアは一礼した。
「王子、そろそろ…」
アイオライトさんが、エメラルド王子に馬車に乗るよう促す。どうやら帰り支度が終わったようだ。
「それじゃあそろそろ失礼するよ、2人とも元気でね」
「「はい、お世話しました」」
弟と一緒に一礼すると、王子が苦笑いした。
「本当にいい性格だね……あ、そうそう忘れてた」
「「?」」
馬車に乗りこもうとしてたエメラルド王子が、何かを思い出して振り向く。
「君たちの父親、コランダム男爵だけど支度金詐欺で今牢屋に入ってるけど…どうする?慰謝料込みで支度金を返金するか、ルビー嬢が王国に戻れば釈放できるけど」
「このままだと、どうなるんですか?」
さすがに死刑にはならないだろうが、一応聞いてみる。
「一生ただ働きだね」
「「是非こき使って下さい!!」」
私とサファイアがハモる。
あの馬鹿親父は、お金を稼ぐ大変さを思い知ればいいのだ。
私とサファイアの返答にエメラルド王子が爆笑しながら、馬車に乗りこみ去っていった。
次でラストです(´-ω-`)




