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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

異世界転生・転移の文芸・SF・その他関係

スチームパンクっぽい感じの異世界転生の迷宮ものっぽいなにか

作者: よぎそーと

「よしよし」

 手にした成果に守安もりやすトモルは頷いていく。

 大小7つの魔力結晶。

 銃弾一発と銃剣による接近戦。

 それで得られる成果としては上々だ。



 相手は、鬼と呼ばれる人型の怪物。

 2メートルあまりの背丈に筋肉質の体をもつ体力に定評のある敵だ。

 レベルが高くない限り接近戦は避けるべきと言われている。

 そんな鬼に手下であろう小鬼が6匹ついていた。

 これを倒した直後である。



 もっとも厄介なオーガに、火縄銃で最初の一撃を。

 頭を撃ち抜いて瞬殺してから小鬼の中に突撃。

 鬼が死んで慌ててるところを、銃剣で貫き、切り裂いていった。

 絶命する怪物共は、魔力結晶をその場に残して消えていく。



 この魔力結晶がトモルの狙いだ

 魔力と呼ばれるエネルギーの塊で、様々な器具の動力源となっている。

 電池のようなものと考えればよい。



 これを手に入れるために様々な人間が迷宮に挑む。

 危険な怪物との戦闘に向かっていく。

 なにせ生まれも育ちも問わない数少ない仕事だ。

 身分による制限もなく。

 犯罪歴なども問われない。

 危険な迷宮に赴き、怪物と戦う。

 これがこなせるだけで良い。



 農家の四番目の子供に生まれたトモルは、そんな探索者になるしかなかった。

 家を継ぐ事は出来ない。

 就職先になるような職業もない。

 親の家業を継ぐしか働き口のない世界だ。

 そこから抜け出るには、探索者になるくらいしか方法がない。



 そんな探索者になるために迷宮都市にやってきて。

 13歳でなけなしの装備で迷宮に挑むようになって4年。

 ようやく装備も揃える事が出来て、一人で迷宮に挑めるようになっていた。



 もっとも、ここまでこれたのは前世の知識や経験があったからだ。

 そうでなければ、とっくに野垂れ死んでいただろう。

 蛮勇に走る事もなく。

 臆病に堕ちる事もなく。

 慎重に事を進めるだけの分別を最初から身につけていた。

 それが功を奏してる。



 なにせ、同時期に探索者になった者達で、生き残ってるのはほとんどいない。

 死んでるか死にかけてるものが大半だ。

 生きてる者でも、食い扶持を稼ぐのが限界という者ばかり。

 曲がりなりにも余裕のある生活をしてるのは、トモルくらいである。



 そんなトモルは、鬼と小鬼を倒して迷宮を出る。

 既にこの日は何匹もの怪物を倒してきている。

 日当分の稼ぎは叩き出した。

 消費した弾薬の値段を差し引いてもお釣りが十分に出る。



 そうであるなら、無理して稼ぎはしない。

 生き残るためだ。

 無理せず、無茶をせず。

 これが迷宮で生き抜く秘訣だ。

 出来ない者から死んでいく。



 生き残る事。

 それだけを考えて過ごしてきた。

 おかげで今日も生きて外に出る事が出来る。



 その際にマフラーを口まであげる。

 額のゴーグルを目にあわせる。

 フードをかぶっていく。

 外を歩くときの基本的な姿だ。

 こうしないと煤だらけになる。



 迷宮の外はそれだけ空気が悪い。

 迷宮都市に作られた工場のせいだ。

 立ち並ぶ煙突から、煤煙が常にあふれている。

 その黒煙が日差しすら鈍らせている。



 そんな工場のせいで健康にすら害がある。

 だが、その工場のおかげで様々な器具が作られている。

 前世の日本には遠く及ばないが、多少は文明的な生活が出来る。

 それくらいは分かるので、トモルはあまり文句も言えない。

 とはいえ、公害の類いは減らしてもらいたいが。



 そんな外に出て、駅まで歩く。

 ほぼ探索者専用の汽車は空いていた。

 発車時刻まで客車の中で待つ事にする。

 木で出来た座席は決して座り心地は良くないが。

 迷宮を歩き回った後だと、座れるだけでありがたい。



 あとは汽車が発車するまでに迷宮から怪物が溢れてこない事を願うだけ。

 そうそう発生するわけではないが、希に怪物が迷宮で大量繁殖する事がある。

 そうなると怪物は迷宮から外に向けてやってくる。

 迷宮災害と呼ばれる現象だ。



 それがいつ起こるかは分からない。

 ただ、今この瞬間に発生したら否応なしに巻き込まれる。

 さすがにそれは勘弁してもらいたかった。



 そんな心配は杞憂に終わり。

 定刻通りに汽車が発車する。

 その頃までには、町に戻る探索者がもう少し汽車に乗ってきていた。

 全員、フード・ゴーグル・マフラーで顔を覆ってるので表情は分からない。

 だが、席に座って微動だにしないあたり、それなりに疲れてるのが覗える。



 そんな探索者達と共に町へと戻っていく。

 以前は迷宮前にある旧市街で暮らしていたのだが。

 稼ぎが有る程度大きくなってからは、汽車に乗って行ける新市街に居を構えてる。



 迷宮の近くは危険だ。

 その分、家賃の安い宿や賃貸住宅がある。

 だが、安い所はその分治安が悪い。

 家に物を置いておけば、盗まれる可能性がある。

 それを避けるなら、新市街の方が良い。

 好んで迷宮前の新市街に住み続ける理由は無い。



 例外は大手の探索者の集団くらいだろう。

 こういった者達は少しでも活動時間を稼ぐため、狩場の迷宮の近くに居を構える。

 さすがにこういった者達に手を出すバカはいない。

 盗みにしろ暴行にしろ、やったらやらかした本人への制裁では終わらない。

 やらかした者の親兄弟親族はもとより、住んでる地域全体が焦土となる。

 それが嫌なら、悪さをするなという警告でもある。



 当然、警察や軍が動く事はない。

 探索者は戦闘集団だ。

 最終的に警察・軍が勝つにしろ、そのために費やす労力がバカにならない。

 また、損害もそれなりに出てしまう。

 なので、よほどの事にならない限りは、探索者達の報復行動は目をつむっている。

 好んで悪さをする探索者はともかくだが。



 そんなわけで、迷宮前の旧市街は探索者とスラムが隣り合ってる危険地帯になってる。

 大手に所属してる探索者でもなければ安全に暮らせない。

 そんな所に無理して住む理由もない。

 通勤時間が面倒だが、それに目をつむれば、様々な面で新市街の方がマシだ。

 安心と安全は何にもかえがたい。



 その為に新市街に住んでいる。

 迷宮都市に来た頃は旧市街にいるしかなかったが。

 その時に旧市街に愛想をつかした。

 こんな危険な町で暮らしていけないと。



 そんな念願がかなって今は新市街にて寝起きをしている。

 少なくとも喧嘩に巻き込まれたり強盗の心配をする必要はない。

 それだけでも十分だった。



 どうせ煤煙をかぶって生活しなくてはならないのだ。

 だったら、少しでもマシな所で生きていきたい。

 その為に今は危険な迷宮探索を続けている。

 楽して暮らしていくための手持ち資金を作るために。



 それを手にするのがいつになるのかは分からない。

 だけど、今はただ迷宮に挑むしかない。

 無理せず、無茶せず。

 命を大事にしながら。




 こういうのを書きたいと思ってる

 今、少しずつ書き溜めてるところ

 出来上がったら公開する予定


 上手くいけばいいけど





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よぎそーとのネグラ

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