「見てるよ」
私は、貴方の事を全て知ってるの。
貴方がプライベートで、ストレス発散で後輩をイジメている事も知っているわ。
そんな裏の顔が世間にバレたら、仕事を失うか、条件の良い仕事は貰えなくなるでしょうね?
でも私は、“貴方の居場所”を奪いたくないから、その件を誰にもバラすつもりが無い。
ーー只、一つだけ……仕事と称した匂わせが嫌なだけなの。
貴方をオカシくさせた女は誰なの?
今迄、「ファン、一人一人が応援したくなる様に、誠心誠意頑張りますッ!! 」って、一生懸命だった頃の貴方は何処へ行ってしまったの?
ファンの事を、“只の金づる”といった、見下す様な視線を向ける様になったのは、如何して??
「やめっ…」
怯えた顔で私を見る貴方。嗚呼……久々に、貴方の本心の表情が、ファンに向けられた。
「私は別に…貴方が誰と付き合おうが、結婚しようが、如何でもイイの…」
「だっ…だったら……なん、でっ…」
「貴方の魅力を奪った、貴方が匂わせする女や、貴方自身が許せなくなったから」
「ッ……昔の俺は、ファン獲得の為のっ、偽りの俺だ! そっ…それで、現在の俺が、真実の俺なんだッ!! 」
「……………へえぇ………で? 」
「!? だっ…だから……」
「“最低限でもファンを大事にしない”なら、こーゆう仕事に向いてないよ。…消えて? 」
「あ……あっ、あっ……あ…あぁ……」
翌日、マイチューバーで絶大な人気を誇り、それを機にテレビ等のメディアでも引っ張りだことなった男の変わり果てた姿が、偶々其処を通り掛かった通行人により発見された。
警察の発表によると、遺体には刃物で刺されたと思われる複数の傷が目立ち、怨恨によるものと分析し、現在捜査中だと、各メディアが報じた。
了
後書き
ホラー系も描ける様になりたいと書いたのが……うん…。。
あと、三百文字ぐらいで収めたかったのは内緒(>人<;)(←内緒とは??)