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ドロップが腐るタイプのJK

 皆で倒壊したビルの上に登る。ヴェロシティタンは大剣を振り回そうとするけど、スペースが足りずに動けないでいた。


「総員、撃ちまくれー!」


「おりゃー!」


 レッドバロンの面々が様々なスキルで攻撃を飛ばす。


「うおー!」


 シュクレ教の人達が、杖から強力な魔法を放つ。 


 私の号令で、メンバーが一斉にヴェロシティタンへ総攻撃を仕掛ける。私はそれをみて一度、大きく深呼吸をした。


「「「「セット・リボルビングマイクロミサイルバンカァー!」」」」


 多重発声によって1つのスキルを4回同時に発動する。両手と、両腰の翼にコンテナのような特殊な釘打ち機(パイルバンカー)がセットされる。


「フル・バースト!」


 発声によって全てのコンテナが開き、大型の三角柱形パイルが射出された。パイルはヴェロシティタンの間近まで迫ると炸裂する。


 炸裂した内部から更に大量のパイルが飛び出し、巨体の隅々に突き刺さり内部で爆発を起こす。


「おお、削れてる!」


「いける、いけるぞ!」


 爆炎の中、ヴェロシティタンのHPゲージがゴリゴリと削れていくのが見えた。MP回復アイテムを注ぎ込み、攻撃を降らせる。


 数分も攻撃を続けると、ついにヴェロシティタンのHPゲージがゼロに到達した。巨大なモンスターは崩壊しながら地面へと崩れ落ち、周囲へ地響きを引き起こした。


*「エリア内の全てのモンスター排除が完了しました。エリアの占拠が完了しました」*


 エリアチャットにシステムメッセージが流れる。


「よぉし!」


 思わずその場で勝鬨を上げて、ガッツポーズを取る。


「よっしゃー!」


「まさか本当に倒せるとは思わなかった!」


 メンバー達の間でも喜びが溢れ、お互いにハイタッチを交わしたり、労いの言葉が飛び交っていた。スリリングな緊張感の漂っていたボス戦から一変、開放的な空気がその場に溢れる。


 一方、ヴェロシティタンの倒れた姿は私たちの勝利の象徴であると同時に、ここでの戦いの過酷さも示していた。先週に引き続き、今回のイベントを通してクランメンバーに愛着みたいな何かを感じ始めている自分がいる。


「ねぇこれ、何に使うのかな?」


 アナウンスの直後ぐらいからボスドロップの抽選が始まった。私の手元には"魔晶コア:ヴェロシティタン"と表示されたアイテムがある。


「このエリアの通常モンスターからドロップしていた水晶みたいなアイテムと形状は似てるな」


 近くにいたレッドバロンの1人が顎に手を当て、水晶を眺めながら口を開いた。彼はさっき私に"化け物には化け物をぶつけるんだよ!"とか言ってきたふざけたプレイヤーだ。


「"暴君"が一番ダメージを入れていたんだし……多分、重要なアイテムだろうな」


 シュクレ教の人も答える。


「でも、使い道が分からないんじゃ意味ないじゃん」


「そういえばこの水晶、機関車の制御システムと似ているって言ってたよな? それならこれも似たような使い方ができるんじゃないか?」


「簡単な回路なら辛うじてわかるけど、ロボットの制御とかプレイヤーにさせるには難易度エグすぎない?」


「実夢境街の連中は最初の街の時点で銃を作ってたらしいし、まぁあり得なくは……」


 それぞれが意見を出しながら頭を捻る。そういえば、攻略の担当エリアを選ぶ時にされたAIの説明を思い出した。


「そういえば、攻略したエリアは今後、私達が運用する事になるんだけど工場の種類に"メカニクスラボ"とか"アセンブリヤード"って言うのがあったんだよね」


「ああ、じゃあそこで機関車とかを作る素材として使うのかもな」


 私の言葉に、レッドバロンの男が納得したように頷いた。確かに、その可能性はあるかもね。とりあえず、このイベントが終わったら各工場のメニュー画面を確認してみよう。


「機関車の制御システムよりだいぶ大きいし、これで何ができるんだろうね?」


「機関車より大きいとなると、船とか……この手のゲームだと飛空挺とかもありえるかもな」


「飛空挺かー、攻略に使えるかはともかく、空飛ぶ拠点は面白いかもね!」


「ヴェロシティタンみたいな大型ロボットも作れたりして」


「いやいや、それは流石に無いでしょ!」


 軽口を言いつつ、とりあえずボスのドロップはアイテムボックスへ突っ込んで置く。


「因みに、皆は何をドロップしたの?」


「俺は特殊大剣をゲットしたぞ」


 レッドバロンの男がドヤ顔で奇抜な形状の大剣を掲げた。これは、ヴェロシティタンが持っていたのと同じ形状の物だ。


「えー! 良いなー!」


「前は大剣持っていても使わないじゃん」


「そうだけどさー!」


「俺は火炎放射器みたいな杖をゲットしたぞ」


 シュクレ教の1人がこれまた自慢げに答えた。彼の持つ杖の先端にはヴェロシティタンのブースターの様な物がついている。


 木製とは違う、機械的なデザインの杖だ。


「えー! 私も装備欲しかったー!」


 なんで私だけクラン共用になりそうなドロップなのさ! 差別だ! クランマスター差別だ!


「よーし、皆、個人ドロップは好きにして良いけどイベント素材はなるべくクラン倉庫に突っ込んでおいて!」


「おう!」


「しゃーねーなー」


「それで、それが終わったら他のエリアの様子見にいくぞー!」


 そう言いながら、私はマップを確認する。一番近いエリアはシュクレの所だけど、ここは放置。彼女なら多分なんとかするだろう。


 問題はムエルケさんとゴングマンさんの所だ。ヴェロシティタンと同等のボスが居るとしたら苦戦している可能性がある。

最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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