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喫茶店で打ち上げをするタイプのJK

 オリエンタルな雰囲気の喫茶店。喫茶店dreamerでヨイニがオレンジジュースの入ったコップを掲げる。


「エターナルシアの攻略を祝して!」


「か、かんぱーい!」


「いえーい!」


 ヨイニの音頭に合わせてシュクレとムエルケちゃんがコップを重ねる。私も一応それに続く。


「いえーい……」


「ボス、テンション低いっすね?」


「そりゃーねー」


 ムエルケちゃんの言葉に答えながら、テーブルにぐでーっと伸びる。


「結局、今回はシュクレの一人勝ちじゃんー」


 今回シュクレが手に入れたスキル、詠唱加速スペル・アクセラレーションは使用者の魔法攻撃力に比例して詠唱速度が上昇すると言う物だった。一応、私も魔法攻撃力はそれなりにあるけど、スキル発動時のMP消費を勘案すると全然割に合わない。


 だって、初めから私のAGIは高い。私の言葉に、ムエルケちゃんもちょとがっかりした様子で声を上げた。


「私も欲しいっすけど、当分は取得困難っすよねー」


「フォートシュロフ神聖騎士団は再攻略に挑戦したんだよね?」


 私の質問にヨイニは残念そうに方をすくめた。


「一応、様子見には行ったけど……あれは当分無理だろうね」


「どんな感じだったの?」


「配管は全部落ちちゃって、壁に張り付いて降りる必要があるんだけど、その状況であの蜘蛛のモンスターが襲いかかってくる」


「ひゃー、両手足が塞がって身動きできない状況であの蜘蛛の相手は無理ゲーっすね」


「奇跡的に一番下まで辿り着けても、配管の下から蜘蛛のモンスターが大量に襲いかかってくるし、不安定な足場の中であの巨大ワニとも戦わないといけない」


「うーん、あの時と同じだけの戦力を集めても攻略困難だろうねー」


「えっとあの、ごめんなさい……」


 シュクレが申し訳なさそうに頭を下げる。


「次はもっと良いスキル、期待してるからねー」


「頑張ります!!」


 シュクレが元気いっぱいに応える。研究者に出資するパトロンはいつもこんな気持ちなんだろうか。


「そういえばシュクレ、ゲームに違和感があるって言ってたよね?」


 私の言葉にシュクレが小さく頷く。


「はい……石碑とは関係ないんですけど」


「おお、何が変だったの?」


「このIAFっていうゲームその物に対する違和感? ですね」


「あー」


 シュクレちゃんが戸惑った様子の発言に、ヨイニがなんとも言えない声で頷いた。


「え、なに? なんで2人で通じ合ってるの?」


「アニーは久々にフルダイブゲームやってみて、どう感じた?」


「えっ超面白いって思ったけど?」


 だって人を殺せるの最高すぎる。

 以上、証明終了。


「昔にやったフルダイブゲームよりクオリティが高いって感じた事ない?」


「そりゃ昔の物より今の物の方がクオリティ高いのは当然じゃない?」


「IAFは最新のVRゲームだけど、近年の他のVRゲームと比べても、すごく良いんだよね」


「それが何か問題なの?」


「いや、問題は無いよ。ただまぁ、一部にはオカルト的な話もあるってだけ」


 IAF超すげー! だけど凄すぎて逆に何か怪しい!

 って事だね。


「あの石碑に何かその秘密に迫る要素があったの?」


 私の疑問にシュクレが答える。


「えっと、その説明をする為にはまず現代のAIと人類の関係について説明しないといけないんですけど……」


「もしかして数ヶ月かかるコース?」


「いえ! そこまでの事では無いです!」


「シュクレ先生の講義をこの場で聞いてみたい人!」


「もちろんっす!」


 ムエルケちゃんが真っ先に手を上げる。うん、君はそうだろうね。周りのみんなも各々が頷いていた。


「えっと、昔は今ほどAIが発達していなくて、人間が色々な事を自力で対応していたのはご存じですよね?」


「一応、日本史は履修(りしゅう)してるからね」


 あれでもこれ中学で習う内容だった様な? シュクレちゃん小学生じゃなかったっけ? ま、いっか。


「当時でいうAI革命、現代から見た場合の第四次シンギュラリティによって人間は細々とした作業はほとんど担当しなくなりましたよね」


「そうらしいね」


「でも、人間の仕事は無くならなかった、どうしてですか?」


「はにゃん? そんなの、当然じゃん。他人が他人の気持ちを理解できないのと同じで、AIも人間がお願いをしないと人間が何を望んでいるかは分からないんだから、AIに人間がやって欲しい事をお願いする仕事は残るでしょ?」


「そうですね、このVRゲームもそう言った形で作成されている……はずです。AIに対して参考となる時代背景の資料をアップロードしたり、より細かくて正確な指示をする為の言語を使ってAIと対話をしながらゲーム世界を構築します」


 過去の人たちはキャラクターやモンスターの配置とかグラフィックとかを全部人力で一個一個作っていたらしいね。狂気かな? 現代に生きる私たちには到底考えられない。


「AIの利点は莫大です。その代わり、全ての部分に人間の意思が介在している訳では無いので、AIにとって当然の事でも、人間にとっては間違いの様な実装がされる部分もあります」


「はーい、そろそろ着いて行けなくなってきましたー!」


 私を誰だと思っている。

 一貫校なのに進学できなくなるおバカだぞ。


「あっえっと。その、私も詳しい訳じゃ無いんですけど……おそらくAIに食わせている資料の中で、プライオリティ(優先度)が高い資料に意図的な(かたよ)りがありそうだなって事です。特別な指定がなければあまり作らない設定がかなり散見されるので」


「ふーん?」


「例えばダンジョン内でお話しした、攻略の深度が外側から内側に向かっていく構造などは、特別にそう言う指定をしなければまず作られません。あとはヨイニさんがおっしゃっていた様に、全体的なディティールの完成度に現行のAI技術との隔たりを感じるって事ですね」


 やばい、聞いてみたは良いものの思った以上に複雑な話がでてきて半分ぐらい理解できない。


「つまり、意図的に優先度を高められた資料が何かが分かれば、今後の隠しスキルゲットに役立つかもしれない! って事で良い!?」


「あっ確かにそう言う事もできるかも……」


 って考えて無かったんかーい!


 どう言う効果があるかは分からずにとりあえず原理や謎を探究するその姿勢、将来は立派なマッドサイエンティストだね。

 

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