メイル姫との激突
俺たちはそれから2回戦、3回戦、4回戦を順当に勝ち上がり後は、メイル姫が決勝へ来るのを待つだけだった。
「ゼルーメイル姫の試合始まるよ」
「ああ」
少し時間の空いた俺たちはメイル姫の試合を観戦しようとしていた。メイル姫の相手はBランクの召喚獣を使う中々の強敵だ、果たしてどう戦うか。
「それでは準決勝、第2試合」
「右から出てくるのは、今まで負けたことのない、まさに無敗の女王、メイル・アルフレッド」
「左から出てくるのは、ここまで下馬評をひっくり返し勝ち上がってきた、またも大物ぐらいを見せてくれるのか、メアリー・ローズ」
メアリーさんの使う召喚獣はバステト、鈴蘭と同じ魔法が得意なタイプ。
「勝負開始」
「バステトまずは、アースクエイク」
「はい」
「バアルやっておしまい」
「はい、神の怒り」
バステトが魔法を発動する前に戦乙女は魔法を放ち全てを破壊してしまっていた。直接魔法を受けてしまったバステトは、立ち上がれそうにない。
「バステト」
メアリーさんは、すぐバステトに駆け寄る。だがそれをメイルは、見逃しはしない。
「まだ勝負は、終わってないでしょ」
「ひぃ」
「わかりましたもう降参しますから」
「あっそう」
「で、ですから剣を下ろしてください」
「ブッシャァ」
「えっ」
メイル姫は、メアリーが無抵抗にもかかわらず剣を振るった、そしてメアリーの体から血が吹き出す。
「がっがっがっ」
「弱い奴は嫌い」
「試合終了そして早く担架で運んであげて」
メアリーは確かに降参を宣言していた、それに対して攻撃を行ったメイルは、普通負けになる、だがメアリーの声は小さかっただから他の者には、聞こえてなかったのだ。そしてそれを利用してメイルは、さらなる追い討ちをかけた。恐怖という傷を与えるために。
「決勝の開始時刻は今から30分後です」
「ゼルあんなのと戦って大丈夫なの」
「心配するなよエル俺には鈴蘭がついてるしな、なっ」
「そうなのじゃ、エルは何も心配することはないぞ」
「アイラちゃんは何も言わなくていいの」
「私はゼル様が決めたことなら口を出すことはできません、でも危険だったら飛び出しますからお覚悟を」
「ああ、わかってる」
「ゼル君、勝ってきてね」
「絶対勝ってくるさ」
そして俺は控え室で鈴蘭と一緒に試合時刻を待つ。
二人とも無言のまま時がどんどん過ぎていく。そして試合開始の時刻がきた。
「うっ」
鈴蘭が拳を出してきた。俺はそれに拳を合わせる。そして鈴蘭はニコッと笑った。
「楽しんでくぞ」
「おお」
「ついに始まりました、決勝戦右から出てくるのは、もう落ちこぼれと侮る者はいません。英雄への歩みを進める男、ゼル・ベルセリオン」
「左から出てくるのは、ここまで無敗街道を進むこの国の王女、メイル・アルフレッド」
「少し前に戦った時からあなたにはむかついていたの、だからまた壊させてもらうね」
「壊す、壊されるは知らんが勝つのは俺たちだぞ」
「勝負開始」
「縮地」
「なっ」
「おおっと、ゼル選手目にも留まらぬスピードで姫の間合いに入ったぞ」
「ガキィン」
とっさの反応でメイル姫は、剣を止める。
「マスターにいきなり攻撃とは、いささか不愉快、くらえ、ロンギネス」
光の槍がゼルの上に降り注ごうとする。だがその槍は、横からきた氷柱によって弾かれる。
「ぬぅ」
そのまま、バアルは弾かれる。
「お主の相手は我じゃろ」
「貴様なぞ相手にもならん」
「へえ、分断しちゃうんだ、てっきり一緒に戦ってこれがチームワークだとでもゆうと思ったけど」
「違うさ、二人で戦うことに変わりはない」
「そんな見え見えの剣が私に通ると、なっ」
受け止めた剣は、姫の剣をすり抜ける。
「これは幻影」
「くっ」
かろうじてゼルの攻撃を避ける、だがメイルの頬からは、血が出でいた。
「貴様ーー」




