学年選抜戦開幕
「アイラそういうことだから今回は、鈴蘭と一緒に試合に出る」
「わかりました」
口では納得しているが少し不満が残るような感じだった。そんなアイラの頭を撫でる。
「むーーー」
悔しそうにこちらを見つめるアイラ、だが耳も尻尾ぴくぴく動いている、これはアイラが嬉しい時の合図だ。アイラを試合に出してやれないのは申し訳ないが、今回は二人しか試合に出れないし、メイル姫へのリベンジでもある。鈴蘭とやらなければ意味がないんだ、すまん我慢してくれ。
「アイラの分まで我が戦ってくるぞ」
「そうですね、鈴蘭頼みますわよ、私は応援で頑張ります」
がっちり握手をする二人、本当にこの1週間で仲良くなったと思う。やっぱり一緒に修行したおかげかな。
何はともあれこれでアイの家ともお別れである。なんかとても名残惜しいな。
「ありがとうなアイ」
「それは大会が終わってから聞くよ、あと僕が教えたのに一回戦負けはやめてよね」
「わかってるよ」
そのまま普通に学校に登校するが、やはりいつもとは空気が違う。
「おはようゼル」
こいつはいつも通りマイペースだが別の理由もある。今回の学年選抜戦は、全員が出るわけではない。
今回の優勝者は、自分の持ってるクリスタルをAランクに変えることが出来る権利が与えられる。ランクの低いクリスタルを持つものなら出たいかもしれないが、そもそもランクにこだわってなかったり、元からAランクを持っているものなら出る必要は無いのだ。メイル姫は試合に対して、へんな執着があるらしいので必ず出てくるらしい。そしてエルとかアイは、どうやら出ないらしいのだ。
「今回は学年選抜戦のため授業はないよって出場者は、会場の控え室へ、出ないものは、試合を観戦するように」
「よし、じゃあ行くか鈴蘭」
「ああ、借りは返すのじゃ」
「お二人とも頑張ってください私はアイさんと、エルさんと一緒に応援しますので」
こうして俺たちは各々別れ準備をする。
控え室に来てみたが俺らを侮る奴はもういない。多分模擬戦での連勝が効いたのかもしれない。そして俺は因縁のやつと会う。
「この前はどうも」
「あ、君かどうやら心が壊れなくて良かったよ、また壊せるからね」
「壊せるものなら壊してみろ」
「いいよ、二人ともぐちゃぐちゃにするから」
メイル姫と別れた俺らはトーナメント表を見る。
「戦うのは決勝か」
「お主まさか決勝まで残れんとでも思っとるのか」
「バカ言え、そんなこと考えてもない」
「それなら良かった」
そこから時は過ぎて次は俺の1回戦である、口では、ああ言ったもののとても緊張している。でも鈴蘭を見てこいつがいれば大丈夫と思える。自然と緊張は無くなった。
「右から出でくるのは、初めは落ちこぼれと言われながらも、進化をいち早く行いさらに模擬戦も1敗のみという好成績ゼル・ベルセリオン」
「左から出てくるのは、強力な力を持つオーガを召喚獣にし、相手のデータを取り完膚なきまでに倒すプレースタイル、ダリル・ルーク」
「勝負開始」
「いけ牛頭棍棒で攻撃だまずは狐からだ、打たれ弱いから重点的に狙え」
「やらせねえよ」
俺は牛頭の棍棒を受け止める。
「馬鹿な、召喚獣の攻撃を生身で受け止めるなんて」
「氷結華」
棍棒が止まった瞬間牛頭は、凍ってゆく。
「なっ」
驚いているダリルに急接近する。そして剣をダリルの首に近づける。そして途中で止める。
「参った」
「一瞬の攻防で決まった勝者は、期待の新星ゼル・ベルセリオンだー」
「ふーんちょっとは楽しめそうだね」




