強敵
俺はあの模擬戦の後連勝に次ぐ連勝であった。最初の鵺に関しては、かなり面倒くさい相手であったが、他は力に頼った攻め。所詮1つの攻めであれば二人の力を合わせてどうとでもできる。だか次の相手はひと味違う。
「ゼルも次はお姫様か、いやー、残念残念だよ、あっはははは」
「エルはっ倒していいかな」
俺が真剣になんやでいるにも関わらずこいつは、なんと能天気というか、人に気が使えないというか、次のメイル姫は、正直いつものやつとは、格が違う。なんてったって始めて当たるAランク召喚獣。こっちは進化してCランクの仙狐となった鈴蘭。ランクでは、完璧に負けている。たしかにランク差だけで勝敗が決まるわけではない。鈴蘭一人で倒せたBランクもいたし。だがここまでメイル姫は、圧倒的な力で全勝。そして俺はぎりぎり勝利を何度も繰り返している。
「やあ、ゼルくん次は姫様らしいじゃないか、何か対策は考えているのかな」
話しかけてきたのは、同じくAランクの召喚獣を持つ、アイだった。アイとはあれから買い物などをして結構仲良くなっている。
「まあ、やれるだけやろうかなとは、思ってるよ」
正直言って何も思いついてないだけだ。そしてまだメイル姫は底を見せてはいない。今は物理攻撃のみで勝ててしまっているからだ。これでは対策の立てようがない。
「まあ、我に任せておけば問題ないのじゃ」
こいつは、だめだ。というかどこから出てきたその自信。まあ、戦闘能力において俺はこいつのことをとても信頼してるし、相棒としてもこいつほどの奴はいない、そう言える。わがままを言えばもう少しだけ知性があれば。
「負ける気はないのじゃ」
「はは、やっぱり鈴蘭ちゃんは大物だ」
「ゼルも、もうちょっとポジティブにいかないと、めっ、だぞ」
俺は大事なことに気づかさせれた。勝つ気がなければ、勝てるもんも勝てないじゃないか。
「やるぞ鈴蘭」
「やるのじゃー」
鈴蘭の尻尾がなんか立っていた。とてもむしょうに触りたくなっちまう。うん、これは俺は悪くないな。
「えい」
「きゃ、や、や、やめるのじゃ」
身体をくねくねとくねらせる鈴蘭。なんかとても可愛い。俺はそのまま調子にのって触ってしまっていた。
「ゼルのバカー!」
俺は、エルにひっぱたかれて目を覚ます。
「俺は何を」
「汚されたのじゃー」
泣き出してしまった鈴蘭、ジト目で見るエル。そして、アイは。
「それは引くよ、ゼルくん」
そして俺は、意を決してある言葉を言う。
「まじで、すんません」




