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模擬戦

契約できていい気分だったのに、いきなり水を差された。そんな気持ちで教室へと入っていく。ちなみに教室では召喚獣を出すのは原則禁止、契約ができてなくて収納に入ってくれてないとか、透明化状態なら大丈夫らしいが、だから鈴蘭は、収納に入ってもらっている。


「やあ、ゼルくん召喚獣とは、上手くいったかな」


「あー、なんとか昨日契約が完了したところだよ」


この余裕そうな顔なら、アイは契約に成功したらしい。でも、周りを見てみると少しの生徒達が俯いていて、心ここに在らずという感じ。召喚獣との契約に失敗してしまったのだろう。


「ねえねえゼル、召喚獣って女の子だったよね、私も女の子だし女の子だけで語り合わないといけないこともあると思うから、一緒に今日ご飯食べようよ」


陽気に話しかけてくるのは、俺の幼馴染エル、今回はかなり強引に来た。だが鈴蘭の可愛さを見せつける絶好のチャンス、受けて立とうと思った。


「それはいいがよく俺が契約に成功してるって分かったな、正直落ちこぼれだし、最初は嫌わられてたから契約できてないと思うのが普通だろ」


「ゼルが優しいのは知ってるもん、そんな優しいマスターを見捨てる馬鹿な召喚獣はいないでしょ」


流石幼馴染俺のことがよく分かってると言いたいが、正直そこまで優しいのかと言われると、最初はアホキツネとか言ってたし、どうなのだろう。


「みんな席につけ、ホームルームを始めるぞ」


アレン・バレンタイン、俺のクラスの教官を務めBランク召喚獣クラーケンを扱う、B級冒険者でもある。


「今日は契約完了日だったわけだが、契約出来なかった者もいただろう。そういうやつは、もう一度自分を見つめ直し、1ヶ月後の召喚に備えろ。契約出来たものは、まずおめでとう、、、だがここからがスタートラインだ、心を緩めるな」


教官のありがたい言葉を貰った。今日は、契約完了日でもあるが、他にも特別なことがある。


「模擬戦だぞーーーー」


エルの言った通り今日からは、実戦練習として模擬戦がある。模擬戦の勝敗は、成績にも影響する。そのためみんなが必死である。死にそうな場合は止められるがそれ以外は降参するまで、戦いが続けられる。


「やるぞ、鈴蘭」


「我に任せるのじゃ」


教官が組み合わせを、発表する。そして俺は自分の名前を確認する。


「ダイナVSゼル」


「ダイナは、最初に鵺を召喚獣にした奴、DとCというランクの違いはあるが、メイル姫にもCと間違われたんだ、それくらいの力は、あるはず」


「我も負ける気がせんわ、祝勝会用のまいまい棒を準備しとくのじゃ」


「それと鈴蘭、ひとつだけやりたいことがあるんだ」



「2人とも早く準備しろ」


そして俺たちが準備をしてから、笑いがおきる。


「あいつなんで剣なんか装備してんだよ、すぐ死ぬぞ」


「召喚獣もDランクならマスターもDランクって言うやつかよ」


基本的に召喚術師は、攻撃は召喚獣に任せ、ダンジョンでは、指示を出したり、場合によってアイテムを使うだけだ。だが、俺の憧れの冒険者は、剣で召喚獣の横に立って戦った、それに鈴蘭は、後衛向きだ。前衛をやることはできない。


「へえ、あいつ分かってんじゃない」


そう声を上げたのは、メイル姫だった。そして笑っている奴らに向けて言い放つ。


「あんたら、何のために剣や魔法を習ってるの、自分だけ楽して召喚獣を働かせようとでも、思ってるのかしら」


俺はここで少しメイル姫を見直した。まわりに合わせるのではなく、きちんと自分の信念を持っていることにだ。だが鈴蘭を馬鹿にしたことだけは許せん。


「何でもいいから早くやろうぜ、結果は分かりきってるんだからよ」


薄ら笑いを浮かべているダイナ、まるで自分が勝つのは、当たり前といった感じだ。二人での戦い方ってのを見せてやるよ。





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